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フリクリ プログレ 第4話-2

イラスト/吉成鋼

【MM施設前】

ハル子(探検隊ルックス)、井出、ジンユ、ヒドミ(ヒドミは3話のパジャマのままジンユに押されるベビーカーに乗せられている。)MMアイロン外壁を歩いている。
ズンズン歩くジンユ、井出の後ろ、のらりくらり歩いているハル子。

ハル子:ほんとに行くの~?もう~~

ハル子、草を引っこ抜いて

ハル子:(藤岡弘風)こいつはいい。ぼかぁね、こういった自然に囲まれると、この星に産まれて本当によかったなって、つくづく思うんだよねえ。草も木も太陽も、全部、フレンドなんだよなぁ。(草に話しかける)離ればなれだったけど、必死に生きて来たんだな、フレンド。ようやく会えたんだなぁ、フレンド。(食べる)モグモグ

井出:フレンドなら食べないでよ

ハル子、ポパイ。

ハル子:(ポッポー!)草を食べて元気になるっていうのはどういう意味なのかねえ!?草なんて食べたって元気にならないけど、中には元気になっちゃう草があるっていう意味合いなのかねえ!?

井出:やめなさいよほんとに…

ジンユ:静かにして…警備員だわ

警備員らしき男が一人、立っている。
ゆっくりと近づいて行く、ハル子一行。
警備員1、ハル子達に気付く。

警備員1:あ、すみませーんお姐さん達

ハル子:え?はい?

警備員1:あなたたち、あれですか?ここに入ろうとしてる?

ハル子:えー、、まあ、そうですね

警備員1:なるほどね、、ということは、、じゃ僕は、それを、、止める?感じ?

ハル子:は?それをわたしたちに聞くの?

警備員1:え?違うんすか?

警備員2が現れる。

警備員2:どうした?

警備員1:あ、なんか、お姐さん達、ここに入りたいって

警備員2:えー珍しい。え、入れるんですか?ここって

ハル子:入れるかどうかも知らないの?

警備員2:(笑い)いやいや、知らないですよ

ハル子:知らないで警備してんの?

警備員1:うわあ…きついわ〜お姉さんキツいわ!止めた方がいいなら止めるよちゃんと!

ジンユ:ラハル、行きましょう

ハル子:え、うん、いいの?

ハル子達、歩き出す。

警備員1:うわあ、きついわ〜、止めた方がいいなら止めるってば!

ハル子:止めなくていいよ〜

警備員1:え!?いいの!?なんなの?もう!

ジンユ、ハル子、井出、歩いて行く。
落ちていた植木鉢を拾い上げる井出。

井出:これでいい…

ハル子:なにそれ

井出:いや、素手で戦うのは危険すぎるからね…

ハル子:それ、武器のつもり?

井出:少々使い勝手は悪いが、いい武器だ…

ハル子:…

井出、アイコの言葉を思い出す。

アイコの声:結構高いんですよ?

悪い笑顔の井出。

ハル子:でさあ、これ、どうやって入るの?

超でかいMM施設アイロン。

みんな:…

【遊園地】 

バイキングの座席に座ったマルコに、遊園地のスタッフジャンパーを着た老人(村山屯吉:連合軍)がヘルメットをかぶせている。

屯吉:いつもありがとうなあ

マルコ:いえいえ、アルバイトですから

屯吉:ふふぉふぉ、

マルコ:あ、ちょっと聞いてもいいですか?

屯吉:なんだ?

マルコ:友達が、このモニターのバイトやりたいって言ってて

屯吉:…ほう

マルコ:どうかな、と思いまして、僕、すごく怖がっちゃうから、あんまりモニターに向いてないっていうか、それに、僕が来れない時に、友達に来てもらうっていうのでもいいかなって、、、

屯吉、ヘルメットやノートパソコンをいじりながら、

屯吉:う~~ん、それは、、やだなあ、、

マルコ:嫌、ですか、、

屯吉 、マルコを見つめ、

屯吉:お前がいいんじゃあ

マルコ:あ…そうですか、、

屯吉:お前が、、、好きなんじゃあ、、

マルコ:…あ、それは、、どうも、、

屯吉:これでよし、準備はいいか?

マルコ:はい。大丈夫です

屯吉はバイキングの操作係に声をかける。

屯吉:(大声で)じゃあ、動かしてくれ~

ゆっくりと動き出すバイキング。
速攻で怖がり出すマルコ。

マルコ:あはああああはあはあああ

それを見ている、屯吉。

屯吉:…そんなお前が好きなんじゃあ…

【MM施設外壁】

ベビーカーにてパジャマで眠っているヒドミを見ている、井出。(植木鉢を持っている。)

井出:むふふ…

それをよそにMM施設を見上げているハル子とジンユ。

ハル子:で…どうやって入るのよ、これ。

ジンユ:…あなた、分かんないの?

ハル子:はあ?わかんないよ!

ジンユ:ほんとにどうしようもないわね…

ハル子:なんなの!?あんたこないだ一人で入ったでしょ?教えてよ!

井出はヒドミの口元を見ている。
うっすら開いたヒドミの口元から、ヨダレが出ている。

井出:(オフで寝起きレポーター)えー、ごらんください、ヒドミちゃんの口元に輝いている不思議な液体、これは一体、なんなのでしょうか、もう少し近づいて見てみたいと思います…!

井出、植木鉢を頭に載せ、ちょいと口先を伸ばし、ヒドミに近づく。

井出:んふ~~~♡

ヒドミ:うう…

ヒドミがうっすらと目を開ける。

ハル子:お前はなにしとるんじゃー!

ハル子が井出の後頭部をリッケンで引っぱたく。

井出:どあ!!

植木鉢が揺れる。
パッ、と、画面が真っ暗になる。
ちょっと沈黙。

ハル子:あれ?…なにこれ…放送事故?

【マスラオの研究室】

カンチに段ボールを巻いているマスラオ。

アイパッチ:単なる資料とはいえ、なんだか切ないねえ

マスラオ:ああ、でも、こいつのおかげでだいぶ捗ったよ。こいつっていうか、こいつについた残りっカスだけどな。全く異なるタイプの生命体の遺伝子が残ってたから、ややこしくて仕方なかったよ

アイパッチ:ほう

マスラオ:この残りっカスの持ち主は、宇宙的な解釈では、生物じゃないな、もっとでっかい、言ってみれば、生物と星の間の存在、みたいなもんだ。

アイパッチ:星かあ、、

マスラオ:ああ、だから、何年って単位での行動周期みたいなもんがあって、んん?

「植木鉢」モニターが信号音を鳴らす。
マスラオ、モニターを確認する。
モニターに「Active」の文字。

アイパッチ:どしたの?

マスラオ:植木鉢が、動いてるぞ…

アイパッチ:はあ?なんでだ?

マスラオ:わからん…あれはN.Oにだけ、反応するはずだ…

アイパッチ:どういうことだ…N.Oの手に「植木鉢」が渡ったのか…?

マスラオ:…


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