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皇位継承を考えるー立憲民主党・山尾志桜里氏の奇妙な論理

参院選終了後、立憲民主党所属の山尾志桜里氏が「論座」ウェブ上において  「安倍総理!皇位継承の議論をすぐ始めましょう・上」と題する論考を掲載しました。山尾氏はなにかと話題に事欠かない人物ですが、この論考もまた奇妙な論理に満ち溢れており、国政で政治を語る人間が、こんな間違った認識で皇位継承などと重大なことを語っていいのかと、不安になります。以下、順を追って山尾氏の論を批評していきましょう。

1.「男系男子」を軽視する態度

山尾氏は言います。

<新たな天皇陛下の即位した現在、皇太子は不在となり、皇嗣となられた秋篠宮殿下の次の世代の継承資格者は悠仁親王殿下お一人となった。そして、お一人に皇室の存続のすべてがかかっているという「極限状態」は、決して偶然ではなく必然である>

このあたりは、まあ理解できる人も多いでしょう。実際、悠仁親王殿下お一人では、皇位の次代への継承には不安が伴う。多くの識者も考えるでしょう。そして山尾氏は、そこから「男系男子を見直すべし」と論を進めます。

<皇位継承の先細りの原因が資格要件の厳格さにある以上、要件を見直す必要があるのは明らかだ。「男系男子」以外の3要件、すなわち「嫡出であること」「皇統に属すること」および「皇族の身分を有すること」については、これを見直す議論は見当たらず、少なくとも現代における選択肢にはならないだろう。とすれば、「男系男子」という要件を見直すしかない>

確かに、近世以前には女性天皇もおられましたが、それは全て中継ぎの役目で、女性天皇が皇族以外と結婚し、その子が天皇になるようなことはありませんでした。そうなると、「男系」は移ってしまうからです。王朝が交代してしまうのです。

しかし山尾氏は立憲民主党で作成した「象徴天皇制の未来のために~安定的な皇位継承を確保するための論点整理~」に基づき、皇位継承問題解決のためのロジックを発表します。

<そのロジックは極めてシンプルである。すなわち、
①天皇制を自然消滅させないために、女性天皇をも認める必要がある。
②女性天皇を認めるなら、女系天皇をも認める必要がある。
③女性・女系天皇を認めるなら、女性宮家をも認める必要がある。
である。>

山尾氏は、以下にこの項目を説明してゆきます。

<男性天皇のみならず女性天皇も認めれば、男子が生まれないことによる天皇制の自然消滅のリスクを抜本的に解決できることは明らかだ。一方、今年実施された各種の世論調査を見ると、女性天皇を是認する国民世論は約7割から8割を占めている。国家の象徴、国民統合の象徴として天皇をイメージする際、国民が女性を思い浮かべることに違和感を持たない時代なのだ>

先にも述べた通り、女性の天皇は過去何代かいらっしゃいました。だから、天皇その方が女性であることに違和感を持つ国民は確かに少ないでしょう。しかし、山尾氏の説明にはその女性天皇も「男系」であり、また中継ぎであったという事実が抜けています。歴史的敬意を踏まえないで、皇位継承の議論などできるのでしょうか。

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今日は。歴史研究者(自称)の岩井と申します。平成29『多田駿伝』(小学館)でデビューし、「第26回山本七平賞奨励賞」を頂きました。専門(?)は日本近現代史。読書、書店(古書店)巡り、猫が好き、ぬるいサブカル好き。強迫性障害です。7月1日『永田鉄山と昭和陸軍』(祥伝社)発売。
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