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最高裁判所長官・石田和外ーーー朝ドラ『虎に翼』桂場等一郎のモデルとなった気骨の裁判官


モデル・石田和外

皆さん、現在放送されているNHK朝の連続テレビ小説(朝ドラ)『虎に翼』はご覧になられているでしょうか。主人公の伊藤沙莉さん演じる猪爪寅子は、女性初の弁護士の一人、三淵嘉子がモデルになっています。他の朝ドラと同じく、『虎に翼』も実在の人物や事件がもとになったものが数多く出てきますが、今回の朝ドラでも印象的な人物や事件が多く出てきました。例えば、主人公の父が巻き込まれた「共亜事件」は実際にあった「帝人事件」を元にしており、これは冤罪どころか「事件そのものが存在しない」という仰天の判決が出ているものです。そして劇中で左陪審を務めた松山ケンイチさん演じる桂場等一郎、およびその印象的な判決文もまた、実在のものなのです。モデルとなったのは、戦後最高裁判所長官も務めた石田和外(かずと)。私の家にはテレビがなく、朝ドラも見ることはほとんどないのですが、たまたま実家に帰っていた時に石田をモデルにした裁判官が出ているのを知りました。彼は裁判官としてはもちろんのこと、一人の思想家としてもユニークな人物でした。彼は一体、どんな人物だったのでしょうか。

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