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転生

「先日の大風の止むころより、極楽鳥の羽がこのような命を宿したのです」

親王の言葉に、麗和の姿が脳裏をよぎった。円儀の落ち窪んだ頬に、ひとすじの涙が伝う。そして、自分でも訳が分からぬまま、つぶやいた。

「ああ、なんだ、こんなところにあったのか」

刹那、円儀の耳に女の声が響いた。麗和のものではなかった。蘭の花の馥郁たる香りを湛えた声だ。

「あなたがみこにお与えくださった夢が、うつし世にとけだして、まじりあい、いつしかあなたまでを捕らえてしまったのです。これよりのち、あなたはみこのご覧あそばす夢のなかで生き、みこの夢のなかで死んでゆくこととなりましょう」

鏡子の声を聞いた円儀の意識は、やがて穏やかなまどろみの中へと沈んでゆく。

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