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神様は穂先に宿る

長野県伊那谷環境保全活動」のカウンターパートであるNPO法人いなだに竹Linksは、放置竹林の整備、竹の利活用の一環で国産メンマの生産を行なっている。
今回は、学生2名と職員1名で、竹の収穫からメンマへの加工までをお手伝いさせていただいた。動画も交えつつ、活動の様子をご紹介したい。

午前3時半に東京を出発した私たちは、8時頃に長野県飯田市に到着した。天竜川鵞流渓沿いにある活動場所に向かうと、威勢のいい声が聞こえる。私達が本活動でお世話になっている、NPO法人いなだに竹Links代表の曽根原さんと、飯田市役所職員でIVUSAのOBでもある小原さんだ。ご挨拶を済ませ、今日の作業予定の説明を受けていると、一緒に作業をする竹Linksの萩原さん(ハギさん)と熊谷さん(トメさん)も到着し、さっそく作業が始まった。​

作業場所は鵞流渓のすぐ側にある

気合を入れ、まず取り掛かる作業は竹の伐採。メンマに加工する竹は、成長しきる前でまだ柔らかく、鎌で簡単に切れるくらいのものが適している。背丈くらいの竹やそれよりも少し伸びた竹がちょうどいい。成長し伸びた竹は揺らしてパキッと折るのだが、この作業が意外と難しい。次の動画は一見竹と戯れているように見えるが、至って真面目である。

収穫した竹は斜面上のトラックまで運ぶ。作業場所は急斜面のため、一本ずつ運ぶのはキツすぎる。ここで使うのがロープだ。まき結びという方法で竹を固定し、皆で協力し引き上げる。ゴールデンウィークにしか行わない「鯉のぼり巻き上げ」という方法も教えていただいた。一度で5本もの竹を引っ張り上げる特別な方法だ。

世間が休みの期間も動き回る竹linksの皆さんは本当にかっこいい。憧れだ。私たちも時期に関わらず皆さんと頑張りたい。だが、鯉のぼり巻き上げは身体が悲鳴を上げる。次はゴールデンウィークではない時期に来たい。

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竹の収穫が完了すると、竹のカットや湯がき作業のために場所を移動する。竹Linksの他メンバーの方と合流し、メンマ作りの作業に取り掛かった。
竹を切るためにまず皮を取り除いていくのだが、実はこの皮も染色用として再利用される。実際に現物を見せてもらったが、青と緑の中間のような色合いでとても素敵だった。竹の再利用の幅広さに感動した。

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(※感動のあまり染色した布の写真を撮り忘れてしまった)

皮を取り除いた竹は節と節間、穂先に分けていく。一緒に作業していた竹Linksの皆さんは、皮を取り除いた穂先を見て「拝みたくなる」と表現していた。
それを聞き、大げさなと心の中で思っていたが、本当だった。皮を取った穂先には後光が指し、まさしく神々しかった。柔らかく脆い穂先から丁寧に皮を取り除く作業をしたことで、私の心は清らかになった。ストレスを抱え生きている皆さんにも体験してほしい。

私たちを極楽に導く穂先はきっと美味しいに違いない。できあがりが楽しみだ。

部位ごとに分けた後は、食事用の大きさにカットし湯がく作業に移る。ひたすら私たちもカットした。カット。カット。カット。今回は全部で約60kgの竹を加工したが、時には100kg以上の量を一日で扱うそうだ。途方もない。そして最後に大釜で1時間ほど湯がき、洗ってから塩漬けにする。
途方もない作業に追われ余裕がなかったため、残念ながら写真が撮れなかった。去年の様子をお届けしたい。

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ここからさらに、1ヶ月程度塩漬けをし発酵させてようやくメンマは完成する。

ご厚意で塩漬けしたメンマを一部いただくことができた。せっかくなので美味しいレシピを開発したいと考えている。例えば、メンマチップスのようなものはどうだろうか。手軽に食べられて健康にもいい。そして、竹の利活用の中で生まれたメンマを皆さんに食べてもらい、いなだに竹Linksの皆さんの活動や私達の活動をもっと知っていってもらいたい。

今回は、竹の収穫とメンマづくりの過程をご紹介したが、その他にも長野県伊那谷環境保全活動ではやりたいことがまだまだたくさんある。
これからもぜひ、本活動の取組みを楽しみにしていただきたい。

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東洋大学3年 鈴木 萌香

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