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#血肉

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日々の出来事を地肉に換える、ノンフィクションです。
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2021年8月の記事一覧

「やりたいことが一番だ」

商店街の床屋小さい頃から高校の途中までの10年ほど、近所の商店街にある床屋さんで髪を切ってもらっていた。当時私の家族は商店街に面したアパートに住んでいて、床屋に限らず商店街でお店を開いている大人のほとんどは家族のようで、地域の繋がりを身近に感じていた。髪を切られている間は居心地が良すぎたのか、必ずと言っていいほど寝ていた。また小さい頃の私は長髪に伸ばし、よく女の子に間違えられたものだが、小学校に上がる前には髪を切らざるを得ないことから、家族以外の誰かに切ってもらうことになった

「それおれに関係あんの?」

檄(げき)いや~きつかった。上京するまでアルバイト等で社会に出た人間と触れ会うこともせず、地元の方言でない言葉で叱られることの疎外感。私にだけ優しくないのではないかと思わせる絶望感。でも失敗は失敗、私が言われた通りに対応できなかったのが悪いです。発端は私が指示された作業中、他の方の作業を手伝うことを優先したがために、指示された作業の完了を遅らせることになった結果、先輩に言われた言葉。本来なら、イレギュラーなことがあればそれを乗りこなしたうえで、作業をこなすべきだったろうと思い

「そこにもっと笑いがあれば」

以前に、いじめから始まった事件が情報番組で取り上げられていました。言葉にしたくないくらいの事件の詳細に、情報番組の出演者も、当然に視聴者目線でも言葉を失ってしまう。もともと好きなお笑い芸人さんたちが出演されることもあって、気兼ねなく見られる番組でした。 出演者がそれぞれ色んな見解を話す中で、その最後にお話しされる、番組の顔である松本人志さんの言葉が印象的でした。いじりは笑いに繋がり、いじめはそうじゃない。そこにあるものは絶対的に面白いもの、笑える状況ではないこと。「いじりと

「やりたいことなんてない、というだけで進路を狭めることはない」

補助金に関する仕事をしております。ざっくりと言えば、経費の基とした請求書や、実績を記載した報告書を、申請者より提出してもらい、その両方の整合性を調査しております。日付や金額が合致していて、報告通りの経費の使い方をしているかどうか確認するだけの、経理めいた、ほとんどの場合で型に則った、間違いの少ない仕事だと思います。申請者によって関わる取引先や、経費の使い方を知ることに面白みのある仕事ですが、前述の型を逸脱することもないため、仕事が下手になることはありません。現在の私は、その合

「報われない努力もあるんだ」

内村航平選手が受けたインタビューで仰った言葉のひとつ。最初は率直に、悲しかった。その練習や試合、家族を含めて日本中にその努力を見せてきた。世界で戦ってきた彼は私と同年代で、私が遊んでいたときも、おそらく頑張って練習していただろうし、私が頑張って練習をしていたときは、彼は遊んでいたかも知れない。でも、私が社会に出て働いたり遊んだりしていたとき、彼は絶対に頑張って練習を続けていたと思う。体操という競技ただひとつを。 好きなことでも好きでなくても、始めたことを続けること。さらにそ