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「短時間でゲストの信頼が得られる」接客サービス


今回は以前書いた「接客サービスの理想形」の5つのサービスの一つに挙げた「短時間でゲストの信頼を得る」サービスについて深掘りしたいと思います。

飲食だけに関わらず、「接客サービス」で大切なのは、「ゲストの信頼を得る」ことです。
そのゲストからの「信頼感」を元に私たちは「ゲストを心地よくさせる」ようにサービスを展開していくことが仕事になっていきます。

しかし、食事の時間は大抵1時間から2時間。その短時間でゲストの信頼を得て、心地よいサービスを行うにはどうすれば良いのでしょうか。

飲食サービスにおいて「短時間で信頼を得る」必要性の理由には2つあると思います。

一つは、先に書いた通り、「時間の問題」そもそも接する時間が短いのだから、少しでも早く信頼感を得なければ「心地良いサービス」には繋がりません。そして、次も期待できなくなるかもしれません。

もう一つの理由は「ゲストをコントロールするサービスをやりやすくするため」です。
「この人に任せておけばよい」という信頼感を得られれば、こちらの都合で動いている動きでも(またはゲストを動かしている動きでも)ゲストに不快感を与えにくくなるからです。
また、あえて一つ付け加えるのならば、信頼感を勝ち取っておけば、多少のミスは目をつぶってもらえる…可能性も出てきます(笑)

では、どうやったら、短時間でゲストの信頼を得られるようになるのか。

その為に必要な能力とは「洞察力」だと思います。

「視診」という言葉があります。医者が患者と対面して始めに行う事で、いわゆる目で行う診察の事を言います。しかしただ「見る」のではなく、患者の表情、肌の色艶、体格、栄養状態などを「視る」事で患者に対するあらゆる情報を集め、治療の取り掛かりを作っていくのです。

サービススタッフにもこの「視診」が必要になります。ゲストを迎え入れた瞬間から、ゲストの表情、仕草、話し方など外部から見える情報を素早く収集し「このゲスト(達)に対してどういうアプローチが適切か」を診断し、実行に移さなければなりません。

そして、その情報を手掛かりに「そのゲストにとっての信頼の出来るサービススタッフ」を演じ、ゲストの信頼を素早く勝ち取らなくてはなりません。この接客サービス的「視診」を成功させる為には、深い洞察力と経験が必要となってくるのです。

ゲストを「視診」した上で、信頼を得る為にどういったアプローチをしていけば良いか。
一番効果が高い方法は、やはりゲストに話しかける際の工夫が一番です。

  • 話し方のテンポや口調を変える。

  • 使う言葉の表現を変える。(例:専門用語を使うor使わない)

  • 相手の興味のある話を雑談に盛り込む。

などが上げられます。
その他にも男女ペアの場合は、話題の中で女性を持ち上げてみたり、逆に男性を持ち上げてみる事で信頼を得られたりします。このあたりの駆け引きは、数をこなしてデータを取り、自分の引き出しとして増やしていく事でしか成功率を上げる事は出来ません。

私が大事だと思うポイントは、肩書や見た目に左右されないという事でしょうか。社長と呼ばれる人だからと言って、カッチリとしたサービスを望んでいるとは限らないし、見た目がパッとしなくても私のようにサービススタッフのやり取りをじっくり観察している人もいます(笑)
「視診」による見極めが大事ということですね。

このように「ゲストからの信頼感」を得る為には、情報戦を制し、ゲストとの「駆け引き」に勝たなくてはなりません。
そして、その「駆け引き」に勝つための武器は「洞察力」とそれによって培われた経験という名のデータです。

このゲストの人となりを解析し、推理して対応していくのが接客サービスの難しさであり、面白さでもあります。
「短時間でゲストの信頼を得る」という作業は、その「駆け引き」をより面白くする為には必要不可欠な作業だと思います。

「洞察力」の大切さについては、こちらの記事に詳しく書いているので、よろしければこちらも読んでみてください。

今回は信頼を得る為の具体例として、「会話の工夫」を挙げましたが、その他の方法としては、私がサービスの理想形として挙げている他の4項目も大事になってきます。あの手この手を使ってゲストの信頼感を勝ち取っていきましょう。

さて、今回は「短時間でゲストの信頼を得る」サービスについて書いてきました。ポイントをまとめると

  • 短時間で信頼を得ようとする目的は、ゲストの時間をコントロールしやすくすることで、「心地よい空間」を作りやすくするため。

  • 「洞察力」を持って「視診」を行い、そのゲストにふさわしい接客を推理、実行する。

  • 話しかける際の工夫が効果的。

  • 「信頼を得る」ことは、ゲストとの駆け引きの一つ。他の4つのサービスと並行して進める。

といったところでしょうか。
「ゲストにとって心地よい空間」を作り出すには、様々な手を使って、ゲストとの駆け引きを制していかなくてはなりません。
私のこういった考えや方法を見て「接客サービスって面白いな」と思っていただけると嬉しいなと思っています。


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