「私は伝えました。」では不十分な理由
ここまで2回にわたって「人に何かを伝えるのは難しい」という記事を書いてきました。
その中で「相手の理解度を確かめる」のが重要という話を書きました。
前回はスタッフ間での場面で書いたのですが、実はゲストとのやり取りでも重要なことなので、今回はその視点で書いてみようと思います。
「ゲストが理解したことを確認したか?」
よくゲストに伝えておかなくてはいけないことが伝わっておらず、それが元でトラブルになるケースがあります。
その原因を探った時に必ず出るのが「私は伝えました。」というセリフ。
私はマニュアル通りの内容をゲストにきちんと伝えました。という話をされるのですが、大抵の人はそこに原因があります。
その人に私が質問するのは、
「その時にゲストが理解したかを確認しましたか?」
というなんとも意地悪な質問です(笑)
何度も書いていますが「人に何かを伝える」ことはとても難しいです。
難しいことなので、「伝わっていない」ことを前提に話を進めていく必要があります。
相手の理解度を確認する
伝わっていないことを前提に話を進めるとはどういうことか。
結論は最初に書いた「相手の理解度を確認する」を徹底することです。
「私は説明が上手」と言う人が陥りやすいパターンなのですが、マニュアルに書かれている文章をそっくりそのままゲストに伝えてしまう人がいます。
しかも、そういった人は、演技の長台詞のように一気に話してしまい、それで終了。というのがほとんどです。
言っている方からすれば、意味を理解していることなので、ペラペラと話すことが出来ますが、話を聞いている側は初めて聞くことなので聞き取れない部分の方が多いはずです。
こういった一方的な伝え方を避け、相手に出来るだけ確実に物事を伝える為には、話の中で定期的に相手に理解しているかを確認していく必要があります。
その方法はこれだ!という限定は出来ないのですが、ポイントとして挙げるならば以下の通りです。
伝える話は一気に伝えるのではなく、いくつかのポイントに分ける。
ポイントごとに、「ここまでは大丈夫ですか」などの確認を挟む。
話をしている最中もゲストの表情で理解をしているかを判断する。
最後に「説明は以上ですが、ご質問はございますか。」で念を押す。
特に最初の「話を分ける」については、私も意識的にやっていて、話の最初に「お伝えしたいことが3つあります。」などと数字で内容を表すことで、3つ理解しなければならないことがあるのだなと聞く側も準備が出来たりします。
その後は、ポイントごとに確認を取ります。この項目については大丈夫か。これは慣れてくると話している最中の相手の表情からもわかったりします。
ゲストが困った表情や渋い顔をしている時は、何か説明にわからない単語があった時です。他には「ん?」という顔もありますね。これは聞き取れなかった時の表情です。こういった表情を見た時には一度話を止めて、どこが理解できなかったか確認する必要があります。
そして最後に必ず「ご理解いただけましたか。」という最後の確認を入れること。これがとても大事です。ゲスト側は、解らない時はそこで質問が出来ます。
ここまで確認を徹底しても「言った、言わない問題」が起こるのが人の会話です。
しかし、何度も確認を入れていれば、この問題は限りなく減らせます。それに、ポイントごとに確認を入れておくことで、そういった問題の際にこちら側も伝えたという事実を自信を持って証明することができます。
「私は伝えました。」は、自分主体の見解である可能性が多いです。
「相手には伝わっていない可能性が高い」という意識を持って伝えていけば、何度も確認をするという作業は必然となってきます。
伝わっていないことを前提に「確認を取る」のが大事
「人に何かを伝える事は難しい」というテーマでここまで書いてきました。
今回は「ゲストに対して正確に伝えるにはどうすればいいのか」を考えていきました。
これだけ問題にならない方法を書いても問題が起きてしまうのが「人に伝える」という行為。
難しいですが、難しいからこそ対策を立てなくてはなりません。
その対策としてもっとも有効なのは「確認を取る」に尽きると思います。
相手がゲストであろうと同僚であろうと伝えたいことが伝わったのかをしっかりと確認する。
これこそが、より良い関係を作るために必要な行動だと思います。
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