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それでも月が転ぶなら

周りを見るとうんざりしてくる。
しょうもない音楽で盛り上がる馬鹿を心の中で馬鹿にして、気づけば心の中は散らかり放題。もう元の位置に戻せないほど感情がぐちゃぐちゃになっていて、ついさっき怒りの感情がどこかへ逃げ出した。
聴き手はそんな音楽で満足してんの?もっとやばい音楽聴きたくねえの?俺らの音楽の方がやばいだろ??

だなんて、正直まだ言えない。ライブでの俺の歌はやっぱり下手くそだしまだまだだわ。そりゃ世間はまだしょうもないバンドを選ぶ。


ライブハウスも今のバンドシーンもはっきり言って得意じゃない。クソみたいなバンドも多いと思う。
でもそんな悪口を言えるほど、俺らはまだなんもやれてない。
料金が高いからって理由でレコーディングもあんまりできてない。
そのおかげでまだアルバムを発表できずにいる。
こんな悪口ばっかりで性格の悪い俺は、それでもやっぱり肯定されたい。

肯定されたくて、認められたくて、友達が欲しくて。

思えば曲を書き始めたのはそんな理由だったし、今でもそれは変わってない。最近はやっとThe Night Recordsとしての音楽が確立されてきて、これが俺らの音楽だと胸を張って言えるようになってきた。
全身の細胞が興奮して自然と広角が上がるようなライブもした。
逆に客が冷めた目でこちらを見つめてくる屈辱のライブも何本もした。
ライブは真っ向から世界を殴ることができるが、それは客も一緒だ。ステージにいると客から真っ向から殴られることだってもちろんある。
特にこんな音楽、現代のシーンに逆行するバンドをするなら尚更だ。
同じ道を歩んでくれているバンドメンバー、ファンのみんなには本当に頭が上がらない。(もうファンって言葉も使っていいかな)



先日、僕個人での弾き語りライブで、まだ誰にも聴かせたことがない楽曲を披露した。バンドすらやる気がなかった時にこそこそと書いた曲だった。



2/28 GERA-GERAにて

「それでも月が転ぶなら」という曲だ。

我ながら良い曲名だと思う。
自分が書いた歌詞にはこう書かれていた。

子供の頃より目も悪くなって
寂しい気持ちも徐々に増えて
人間が動物に見える時もあるけど
あなたの笑顔が僕は好きだ

それでも月が転ぶのならば
歩いていくしかいけないから
僕とどうかお気に入りのその靴で
自転軌道を歩いてくれないか


自分、わかってるじゃんって思った。
どんだけ死にたくなっても日々の自分が惨めでも、歩いていくしかないって。ちゃんと自分は理解できてるじゃん。

どんだけ惨めでも、自分でお気に入りの靴選んで履いて、そうやって歩いていかなくちゃいけないって、それはちゃんと自分の中でわかっていた。
そしてそんな言葉をライブに来てくれたお客さんの前でちゃんと歌えた。
多分緊張してて下手だったと思うけど。

詰まるところ人間は独りで、死にたい夜に手を差し伸べてくれる人間っていうのはドラマか漫画でしか出てこない。てかそんな人がいたとしても、本当に死にたい夜にはそんな人がどんな素敵な言葉を語りかけてくれても耳に入ってこない。死にたい夜に唯一手を差し伸べてくれるのは、間違いなく自分自身だと俺は思う。
自分でラーメンを食べたり、自分でなんとか目を瞑り眠れるように頑張ってみたり、死にたい夜の解決方法なんてそんなところだと思う。
何度も人に裏切られたを俺は正直そう思ってしまう。



こんな駄文を読んでくれているあなたは俺にはどんな人かわからないし、そもそもいないかもしれない。
俺らのバンドを応援してくれている人なんて実はいないのでは?
なんてそんな最悪なことを考えてしまう夜が今日で、そんな夜は度々やってくる。

でも、それでも。

月が転ぶたびに何度も自分の足で歩んできた俺たちならきっと大丈夫だよって、無責任な「大丈夫」をみんなに言いたくなってしまう。
その「みんな」っていうのも、俺にはよくわからないのだけど。

そんな時俺らの曲が傍にあったら、音楽をやってる身としてそんな嬉しいことはない。
まだ2曲くらいしかリリースしてないくせに何言ってんだって感じだけど。

とりあえずレコーディング頑張ります。
金ないけどなんとか搾り出してレコーディングします。
本当に金ないんで飲みの誘いとか多分それなりに断ります。
どうしても俺と飲みたい人はぜひ奢ってください。

嘘です。



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