江藤颯真

Twitter以上、エッセイ未満。

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生活、そしてバンド

年を越すと19歳になる。 年を重ねると、徐々にワクワクできることが減っていく感覚がある。 子供の頃はもっと身近なことにもっとワクワクできていた。 例えば今日の夜ご飯のこととか、サッカーゲームでどの選手を使うかとか。 友達は多い方ではなかったが、かなりワクワクするのが上手な子供だったのではないかとさえ感じる。 最近は半ば諦めを感じていた。 自分という人間に生まれてきてしまったからにはもう何かでワクワクしたり、普通の人間のように日々の生活を楽しむことはできないだろうという諦め

    • 看護師を口説く爺さんと過ごした夏

      みなさんご無沙汰してます。 江藤です。 えー、早い話が最近入院しまして、そのエッセイでも書こうかなと思いました。現在、他で長めの文章を書いてるので息抜きがてら崩した文章を書いてみます。それでは、当時の僕の日記なども交えながら、笑話として読んでいただければ幸い。 大学二年生夏。僕は恋に焦がれるでもなく、仲間とBBQするわけでもなく、彼女と花火大会に行くわけでもなく、真っ白な壁の病院で入院していた。 僕はこの夏、十万人に一人の病気になった。 抗MOG抗体関連疾患視神経炎とい

      • もっとくらべる図鑑

        昔この図鑑を手に取ったとき、この図鑑は今よりもずっと大きかった。 10数年前、世の中がまだ平成と呼ばれていた時代に僕はこの図鑑と出会ったわけだ。小学一年生という小さい僕が、誕生日に買ってもらった大きな本。 この世の中での動物、もの、宇宙などを比べる図鑑。 もしかすると、無意識のうちに僕のはこの本を世界の教科書にしていたのかもしれない。 正直な話、この図鑑に大それた思い出はない。ただただ、食い入って見ていたというだけです。 ワニとカバ、または19歳 最近、実家と祖母の家を

        • 時空旅行

          真っ白の中に真っ黒があって、そこには無限の宇宙が広がっていると信じている。例えばコンビニにも宇宙はあって、君の柔肌のなかにも特大の宇宙が広がっている。先程購入したパックの牛乳にだってもちろん言える話だ。 高校生の放課後、腹を空かせては友達と近くのスーパーで安いパンを買い、どこかの大学の敷地内で食べていたことを思い出した。そこにだって小宇宙はあったのかもしれない。 時間の歪みを感じながら、夜道を歩く。 いつだって時間の進みは平等とは限らない。 いつ終わりが訪れるか、またいつ

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        生活、そしてバンド

          "creep"について

          今回引用させていただく楽曲は「Radiohead」の「creep」だ。 「creep」は1993年にイギリスのロックバンド「Radiohead」がアルバム『Pablo honey』から先行シングルとしてリリースされた楽曲である。言わずと知れた大名曲だが、この楽曲がなぜ30年以上経った今もなお愛され続けているのか、と言う点について考えて行きたい。 最初に私が注目したいのは、歌詞だ。ボーカルのトムヨークの書く歌詞は、英国人らしいと言うか、正直湿っぽくなかなか卑屈なものが多い。「

          "creep"について

          狂犬病になってしまえば

          狂犬病は一度なったら水が飲めなくなって死ぬらしい。 一度感染すると致死率はほぼ100%。特効薬も今のところない。 尿管結石は死ぬほど痛いらしい。 僕が日頃から悩まされいる偏頭痛の何百倍も痛いらしい。痛みで意識が飛ぶらしい。この病気は生活習慣病なので、僕もこの生活を続けているとなるかもしれない。 ニートはまじで苦しいらしい。 Twitterで得た情報によると、「宿題をやっていない夏休みの最終日」がずっと続くような感覚らしい。多分死にたくなる。 僕もこの生活を続けているとなる

          狂犬病になってしまえば

          「だって君だって孤独じゃん」

          最近は本ばかり読んでいるので、できるだけ言葉のない音楽をよく聴いている。もうすでに言葉は追っているのだから、それ以外の歌詞などの言葉が入ってくると混乱してなかなかページが進まない。 元来、集中力のない人間なので、本を読むときはできるだけ環境を整えてやりたい。 主に聴いているのは、ジャズかピアノインスト。 ジャズを聴いていると、「自分がこんな洒落た音楽聴いていいはずがないな」と捻くれてしまうが、やっぱり聴いていると心地良い。 永遠に続くような希望、人間の熱さ、みたいなものが時々

          「だって君だって孤独じゃん」

          限りなく透明に近いブルー

          深夜2時、この本を読みきった。 喉が渇いたのですでに祖母が寝ている中、リビングにお茶を汲みに行った。 コップは半日使って洗ってないものが机の上に置いてあった。 その薄汚れたコップに僕は、半分ほどお茶を淹れてやった。 ふと気になってカーテンを開けてみる。祖母を起こさないようにそっと小さな音で開けてみる。 そこには確かに、リュウの言う通り黒い鳥がいた。 雲と、都会特有の小さな星と共に、黒い鳥がいた。 ただ、僕にはその黒い鳥を視認することができなかった。 鳥がいることはわかって

          限りなく透明に近いブルー

          それでも月が転ぶなら

          周りを見るとうんざりしてくる。 しょうもない音楽で盛り上がる馬鹿を心の中で馬鹿にして、気づけば心の中は散らかり放題。もう元の位置に戻せないほど感情がぐちゃぐちゃになっていて、ついさっき怒りの感情がどこかへ逃げ出した。 聴き手はそんな音楽で満足してんの?もっとやばい音楽聴きたくねえの?俺らの音楽の方がやばいだろ?? だなんて、正直まだ言えない。ライブでの俺の歌はやっぱり下手くそだしまだまだだわ。そりゃ世間はまだしょうもないバンドを選ぶ。 ライブハウスも今のバンドシーンもはっ

          それでも月が転ぶなら

          空洞に恋をした

          ロックミュージックで虚しさや虚無感を描くことにそこはかとない魅力を感じるようになってきた。 ロックが持っているものはとても「怒り」だけではなく、人間が当たり前に持った「虚しさ」を描いても、なんら問題のない音楽だと思っている。 しかしやはり「虚しさ」の根底には怒りがあると思うし、「虚しさ」は少し怒りを変形させた感情に近いと思っている。 人がロックバンドを始める理由は僕は「怒り」であってほしいと思っているし、実際そういったバンドがたくさんいると思う。しかし近年、どう考えてもそうい

          空洞に恋をした

          カネコアヤノ大阪城音楽堂公演

          彼女のライブを見るのは初めてだった。かなり前から彼女のことを知っていたつもりだったが、今回のライブで改めてカネコアヤノというアーティストのことを知ることとなった。カネコアヤノのライブの凄まじさをこれからなんとか言葉にしていきたいと思う。 今回のライブはあくまでも「カネコアヤノワンマン公演」と名付けられていた。 特にアルバムのツアーという訳ではなく、カネコアヤノの「これまで」と「これから」を知ることができるライブであった。 昨年度リリースされたカネコアヤノ最新アルバム、「タオ

          カネコアヤノ大阪城音楽堂公演

          僕のロックスター

          僕のロックスターが死んだ。   彼のことを初めて知ったのは高校一年生の頃、寒い冬だった。 友達が突然「ミッシェルガンエレファントって知ってる?」と声をかけてきた。 解散ライブの世界の終わりが映ったスマホを僕に預けてきた。 初めてミッシェルの音楽に触れた。 この時、僕は妙な納得感に襲われた。 これがロックスターなんだな、とこれまでの人生の疑問を解決したような感覚だった。圧倒的なカッコよさがそこにあった。 もうその言葉でしか形容できないし、実際それ以上の言葉は必要なかった。 バン

          僕のロックスター

          自分という標本

          それでも創作をする。 現代、いやいつの時代でも表現することは冷笑の対象であり、馬鹿にされ続ける。実際自分も何度言われたかわからない。 歌が下手だから歌わないほうがいいよ。 君の声は通らないし向いてないね。 君の言葉の言い回しくさいんだよね。 バンドなんてやってるんだね。 売れるわけないのに。 ざっとこんな感じ。 先に言っときたいのだが、この文章はぜったいに売れてやるんだ!という 意気込みを孕んだものではない。売れるか売れないかは、創作をした後の話であり創作をするかしない

          自分という標本

          無様な宇宙飛行士

          文章が終わる時、終わるのは文章だけであり、生活は無情にも続いていく。 世界は簡単に僕らを解放してくれない。 もしこの文章を書く行為をやめるときがきたら、 それは孤独からの解放だろうか。 表現者としての諦めだろうか。 青春の終わりだろうか、 それとも生命の灯火にそよ風が吹いてきたときだろうか。 僕にはわからないし、分かろうともしていない。 わからないものは素晴らしい。同時に美しい。 わからないとは未来への光だ。 全てをわかってしまう世界で僕は一日でも生き残ることができないだろう

          無様な宇宙飛行士