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海に恋をするようになったのは

私はいつから海に恋をするようになったのだろう。

八重桜の花が落ちて葉桜になったいつもの郵便局からの帰り道、足元に真っ青なビー玉が落ちているのを見つけた。

小学生の頃、地元愛知の海に地引網をしに行った時、網の内側に集められた色々な魚や初めて見る海の中で泳ぐ海蛇に夢中になっていたら、足をつってしまい海に溺れかけてしまったところを少し年上の男の子が助けてくれた。

浜に上がってしばらく休んでいたら、その彼が瓶ラムネをくれて、飲み終わった後、瓶から綺麗なビー玉を取り出して渡してくれた。
瓶からどうやったらビー玉が取り出せるか知らなかった私には、まるで魔法みたいに感じたのを覚えている。

どこの誰かはもう分からないけれど、彼のおかげで、私は海を嫌いにならないで済んだのかもしれないと、何年も経った今、道端に落ちた真っ青なビー玉を見つけて気がついた。

印鑑を忘れて一度家に取りに帰り、同じ道をもう一度通ったら、そのビー玉の側にピンクの花が落ちていた。

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