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久保田利伸さま、ごめんなさい

22歳の思い出

大学を卒業した春、私は新聞社の契約社員として勤めていました。アルバイトの女子大生ともすぐに仲良くなって、仕事の合間にこんな会話も。
「昨日の夜ヒット見た?」「はい。いろんな歌手が出ててよかったですよね〜」
「ねー。確かに色んな人が出てたよね。」「はい。」
「久保田利伸って歌上手いね。さすがトンガの人だけあるよね」
「えっ?」「うん?」「トンガ……って」
「そうじゃないの?あのリズム感であの歌唱力。どうみてもトンガの人じゃないの?」
「いえ…多分というか違うと思いますよ。」
「えっ違う?そうお?トンガじゃないの?」
「だって、あの…名前が…久保田利伸ですから」
「あっ!そうっか。そうよね。😂私見た目と歌唱力でてっきりトンガの人と思ってた」
「えーなんか、ショックー。私久保田さん好きなのに。そんなに日本人離れしてますかね?確か静岡の八百屋さんの息子さんですよ」
「ほんとう!あはは🤣 思いこみっておかしいね!」
私が真顔でトンガの人って言うから、彼女は久保田さんが日本人とわかっていても、どことなく戸惑っているようでした。
しかも歌唱力やリズム感の良さでそう言っているので、なんか複雑な心境だったのでしょう。
きっと大学の友達に明くる日この日のことを言っていると思います。
「変わった人が会社にいてね。」って。


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