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秦の始皇帝から学ぶワンマン組織(DAO)の弱点

今回は漫画『キングダム』で有名な秦の始皇帝の話を元に、ワンマン組織(DAO)の弱点について解説していきたいと思います。
組織に強大なカリスマっていらないんじゃね?って話を
①始皇帝とは
②強大すぎた始皇帝
③始皇帝の死後、没落する秦王朝
④ワンマン組織の弱点
⑤DAOはロケットの打ち上げ?
という5つのトピックで説明していくよ!

①始皇帝とは


まず軽く秦の始皇帝について紹介します。
始皇帝とは、紀元前200年代ごろに、史上初めて中華を統一した人物です。
名前は政といい、統一後に始皇帝と名乗り始めました。

先代の王が早くに亡くなり、13歳で即位したと言われています。
ただ現代でいう中学生の少年に国の統治などできるはずもなく、最初の何年かは側近で権力を持った者たちに実権を握られ、好き勝手されていました。

きっと幼いながらも王座に座らされ、良いように利用された政は悔しい思いをしたことでしょう。
そんな時、政はある本と出会います。

かの有名な『韓非子』です。
ざっくり『韓非子』の内容を説明すると以下の通り。

「国のトップである王が最も力を持つべきだし、そうじゃないと側近が暴れて好き放題しちゃうYO!!きっちり大臣たちを法律で制御して働かせることが王の最大の役割だYO!!」

まさに側近に実権を握られていた政にとっては、脳天が揺さぶられるような言葉だったに違いありません。
ここから政の王としての覚醒が始まります。

②強大すぎた始皇帝


『韓非子』によって覚醒した政は、国を強くするために法律を定め、側近たちであろうと容赦無くルールに従わせました。

すると秦はどんどん強くなり、敵国をバッタバッタとなぎ倒して最終的に中華を統一します。
そして政は自らのことを王ではなく始皇帝と呼び、改めて即位しました。

この時代の中国は大荒れの戦国時代で、誰もが王と名乗っていたため、権威を示すために王よりも位が高い始皇帝を名乗る必要があったんですよね。
始皇帝は統一後もせかせかと働き、王宮内で誰よりも仕事をしていたとも言われています。

書類を毎日30kg以上さばき、広大な中国を回って皇帝の権威を元敵国にもしっかり示していたようです。
※当時は紙がなかったので、竹簡と呼ばれる竹でできた記録媒体でしたが、それでも30kgはとてつもない!!!

また始皇帝は統一後も贅沢や遊びほうけることはせず、国に向き合い続けたそうです。

③始皇帝の死後、没落する秦王朝


超絶優秀な能力で中華を統一し、その後も働きつづけた始皇帝でしたが、無理が祟ったのでしょう。
病に倒れ急死してしまいます。

国内最大の権威を失った秦は荒れに荒れます。
単純に始皇帝が捌いていた仕事量を誰もこなせないですし、今まで始皇帝の力が怖くてルールに従っていた側近たちが、自分の利益を最優先にするために動き始めました。

さらに運の悪いことに始皇帝の息子は「馬鹿」の語源になるほどのポンコツという始末。

結局、始皇帝というくさびが外れてしまった秦は中華統一後わずか15年で滅亡しました。

④ワンマン組織の弱点


ここまで長々と書いてきましたが、つまり何が言いたいかというと、組織において1人の人間が力を持ちすぎると、その人がいなくなった時に何も回らなくなってしまうということです。

始皇帝は能力も高く、クレバーな人物でしたが、優秀すぎたが故に1人で仕事を抱え込みすぎてしまったんですね。
逆に言うと、秦という組織は始皇帝に依存しすぎていたわけです。

※ちなみに始皇帝は不老不死を追い求めたそうですが、自分が死んだら秦は滅びるとわかっていたのかもしれません。

DAOでも同じことが言えます。
1人あるいは数人の能力に依存してしまう設計になると、何かの拍子でその優秀な人材が抜けてしまった際に、とんでもないことになるでしょう。

ましてやDAOは人に対しての強制力は弱いですので、特定の人物に頼らない設計が肝になります。

⑤DAOはロケットの打ち上げ?


私はDAOの立ち上げはロケットの打ち上げに近いと考えています。
ロケットの打ち上げには地球の重力圏を抜けて宇宙の無重力圏に到達するために、ロケットブースターが必要になります。

最初は思い切りブースターの力で宇宙へ向けて押し上げるわけですね。
ただ宇宙に到達したら無重力ですので、衛生軌道に乗れば推進力がなくとも自然と進み続けます。

そのため必要なくなったブースターは切り離すわけです。
DAOの立ち上げもこれと同じで、最初は1人あるいは数人の中央集権的な勢いのある押し上げが必要です。

ですが一旦軌道に乗ってしまえば、衛星軌道をシャトルが回るように、DAOの力だけで進み続けます。

そこまで行けば、最初のブースター、つまり中央集権的に引っ張る存在は必要ありませんので、切り離す必要が出てくるのです。

無重力圏に到達した宇宙船にとってロケットブースターはお荷物ですからね笑
同じように分散化が進んだDAOにとって中央集権の存在はイノベーティブなマインドを阻害してしまう要因にもなります。

要するに、DAOには初めから中央の権力を切り離す、あるいは分散化する設計を組み込んでおくと、スムーズに自律分散化が進み、持続的な組織になる可能性が高いということです。

まとめ


・秦の始皇帝は優秀すぎたが故に力を持ちすぎてしまった
・組織で1人が力を持ちすぎると、穴埋めが困難に
・DAOにおいては中央集権で引っ張る人の権限の切り離し方までデザインしよう


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