東京芸術祭グループディスカッションにて、「自分が舞台芸術を続けていく上での問題と、その解決に向けたアイデア」

2019年11月15日

東京芸術祭のグループディスカッションに参加してきました。

「どうすれば舞台芸術を続けていけるのか?」というテーマで、俳優やダンサー、演出家、制作など、職分ごとにグループを作り、対話する場です。

演劇における問題意識を、「演劇」という枠組みの中で考えていくことに、僕は思うところがあって、これからどこに身を置いて、誰と問題意識を共有していきながら「社会」と関わっていきたいかと、思いを深める時間となりました。
ほかの職分のグループからの声も聴くことができて、とてもよい機会でしたし、こうした場を設けてくださり、参加させてくださった企画者の方々に感謝しています。

応募の際に「自分が舞台芸術を続けていく上での問題と、その解決に向けたアイデア」を提出したので、共有します。

 * * *

「開かれた場」が必要だ。

劇場へ足を運ぶ人々に向けてではなく、むしろ劇場に来ない人々に向けて。これからの時代、私たち現代人は多様な人々が同じ社会において「共存」していける文脈を作り出すため、さらなる舵を切る必要に迫られている。
生まれ育った背景、価値観、物事の基準の異なる他者同士がいかに「共存」できるか? そのために社会的な立場や役割を超えた「対話のための」場づくりをどのように押し進めることができるか?

劇場や舞台芸術は、率先してこうした問題に取り組むことのできるポテンシャルを持っている。劇場は多様な人々が「共存」するための場になり得るし、舞台芸術はそうした「共存」のための道を模索するのに役立つ。
なぜなら劇場のように、日常とは別のルールが機能させられる場所では、生活のなかでは話しづらい切実なテーマも本音で話せる状況を作りだせるから。そこでは深いレベルで人々が対話を交わせる場ができる。

そしてまた舞台芸術のアーティストは、クリエーションの場で日々「共存」のための道を模索しているようなもので、その特権的な経験は「作品そのもの」以上に貴重な知見として、多くの人々に分配できるものになり得る。

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しかし、そのポテンシャルが十分に発揮できていない現状がある。

劇場にはほとんど固定客が集まっている。とくに東京では商業演劇であれ小劇場演劇であれ新劇であれ旧劇であれ、観客が流動しているとはあまり感じられない。
そのため演劇作品と観客との関係性も固定化しており、一種の競争社会が生じている。作品を発表し続けなければ、評判や動員を伸ばしていくことが困難になるという無益な競争。

それよりも、舞台芸術のアーティストは劇場に来ない人々に向けて、「作品そのもの」を上演する以外のアプローチの方法も試みなければならないのではないか。

プロデューサーやキュレーターの仕事に任せるだけでなく、アーティスト自身がそのことにもっと取り組んだほうがいい。
演劇やダンスのワークショップを劇場でやるのでもまだ足りない。劇場に来ない人々は、劇場で行われていることに関心をもっていないから。

だとすれば、「劇場」や「演劇」という言葉からひとまず離れた方が進めやすいかもしれない。

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「開かれた場」を作ることからまずは始める。

劇場や演劇と関わりなく、人々が集まってくれる場。生まれ育った背景、価値観、物事の基準の異なる他者同士が集まり、社会的な立場や役割を超えて「対話」を始めることのできる場。それも都市部ではなく、地域共創を目指す地方で、より実現の可能性は高まる。

「共存」という高尚なテーマを掲げることはさておき、地域住民の抱える具体的な社会課題(子育ての困難、小中学生への教育、高齢者との世代を超えた交流、移住者との不和、防災など)にアプローチしながら、地域コミュニティに関わる。加えて、外から来る人々がその「場」で出会うことで、新しいコミュニケーションを生む。そんな解放区を作る。

「共存」のための道を模索していくための実践として。舞台芸術のポテンシャルを「開けた場」において、広く「社会」に共有するために。

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ローカル(地域住民)とゲスト(旅人・アーティスト)が出会い、演劇、ダンスの手法を用いたワークで、地域コミュニティを流動・活性化させる「場」を作りたいと思っています。ご支援・情報共有、よろしくお願いいたします。

うれしいー
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あらゆるひとが社会的役割や立場、自らの属性、共同体の規範から解放される〈自由のための場〉をつくること。目の前のひとと向き合い、一対一の関係性をみつめる〈演じない〉ための演劇ワークショップ|2020年東京から豊岡へ移住。