中国および日本の田螺の話

 田螺の話を調べた。太平広話にのっていた話で、元は捜神記に収録されていた天女伝説が変形してできたものらしい。田螺を拾って育てていたが、ある時女性があらわれて結婚をせがむようになった。物陰に隠れてその女性の様子を見ていると、その正体が田螺であったということが知れた。上司がその女性があまりに美しいことに嫉妬してあれこれ難題をふっかけるが、その全てを田螺の力を借りてクリアーし、最終的には夫婦ともどこかへと姿をくらます、というものである。捜神記に収録されていたものは「羽衣」のような話で、田螺の殻を男が隠すと田螺は元の姿に戻れなくなる(つまりずっと人間の女性の姿のままというわけだ)。その後田螺はなんとか殻を取り戻し、田螺に戻って川の中へと帰っていく、という話だ。


 日本の民間説話にも田螺をモチーフとした話はあるらしい。こちらの場合は田螺はずっと子どもがいなかった夫婦に出来た息子、ということになっている。観音様への祈りが通じて子どもが生まれたが、それが田螺だった、というわけだ。最終的には田螺は人間になる。

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