ギュスターブの独白


「アルフレッド、終わってしまった。完全に終わってしまったんだ。昨日までの終わりは終わりなんかじゃない。それは単なる人形劇の終幕、普段と何の変わることもない日没に過ぎなかったんだ。目覚めることが保証された昏睡状態…偽物の終わりにすぎなかった。しかし僕が今直面している終わりは違う。それこそもう全く、次元が違うんだ。そこから先は断崖絶壁で進むべき道が存在しないとか、一向に時計の針が前に進んでくれないとか、その程度の終わりじゃない。それは絶対を伴った終末。終末だけが唯一の世界の実体になってしまったかのような感覚…。そんなものが今の僕を完全に支配してしまっているのだ。

 なあアルフレッド、ここは君のいる場所よりも光がないと確信できるよ。

 それとも君は、「明日になれば今日の終わりもまた偽物になってるさ。ギュスターブ」などという冷たいことを言うのだろうか?」

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