雑文


空白からは何も生まれない。いや違う。空白からはたった1つのものしか生まれない。そうだ、たった1つのものしか空白からは生まれないのだ。それは…


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 彼はほのめかす。部室棟も、校庭も、葉の落ちきった桜並木も、何もかもが雪に染められていく。彼は赤く染まった指先でつまんだ鍵を鍵穴に差込み、かじかんだ手でノブをまわして扉をあけた。土間にひかれたすのこの上に荷物を置くと、すぐに電気ストーブをつけた。

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 僕らは時に思い出にすがりつく。僕らは時に記憶を噛み千切ろうとする。僕らはいつだって矢印を抱きしめていた。僕はたった一つのことしか証明しようとしていなかった。僕は狂ってなんかいない。ただそのことだけを僕は証明しようとしていたのだ…。


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