雑文

　道路を作りたかったが、山が邪魔になっていた。その場合トンネルを掘るか切通しを作るのが普通のやり方であるが、そこでは切通しの方法が採用されていた。切通しとは要するに道路を作るのに必要な分だけ山を切り崩すやり方だ。結果としてそこだけへこんだような形になる。昔はよくこの技術が採用されていたようだが、今ではトンネルを作るのがより一般的なようで、この切通しの処理がなされている場所は減っていっているという。

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　地学の先生が黒曜石の標本を見せてくれたことがあった。それは東京で発掘されたものなのだという。東京で黒曜石が発掘されるのは珍しいことなのか？と僕は先生に聞いた。先生は「それが本当に君の聞きたいことなのか？」と聞き返した。僕はじっくり考えた後で今度は別の質問をした。「僕は東京で黒曜石を見つけることができますか？」と聞いた。先生はにっこり笑って「信じる気持ちを失わなければきっと夢は叶うよ」と答えた。その後先生は痴漢の容疑で逮捕されてしまった。その後裁判が進むにつれて被害者の証言にあいまいなところが次々が見つかり、どうも無罪になる公算が高くなってきたが、僕はなんとなく先生は本当に女の子の尻や胸を揉みしだいたのではないかと思っている。なんとなく。

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　踊りつかれた僕はクラブを抜け出し、あちこち歩いた末に目に入ってきた路地裏のバーに入った。客は僕以外には二人しかいなかった。二人は深刻そうな表情で、顔を寄せ合いながらひそひそと話しをしていた。僕は適当な席について「ジャックダニエル」と言った。バーテンダーは頷き、棚から瓶を取り出し、氷を砕いてコップに入れ、酒を注いだ。差し出された酒をちょっと飲んでみたが、美味しいともなんとも思わなかった。ジャックダニエルがウイスキーなのだということも今初めて知ったのだった。なぜ僕はこんなところにいるのか、と思いながらつまみとしてフライドポテトを注文した。

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　Heroの語源は「半神」で、ギリシャ語由来の言葉らしい。Heroは英雄、あるいは勇者などと訳されるが、どちらの言葉にも「半神」というニュアンスは含まれていないように思われる。