ハイパーリアル婚活記


昔はよく好きなタイプの男性を聞かれると、

「グレイプバインの田中和将みたいな人がいい」

と答えていた。

私の塩顔好き、メジャーじゃない人好きは中学生の頃からの筋金入りなのである。


数ヶ月前に五年付き合った彼氏と方向性の違いで解散したので、

鬼のように婚活を始めた。

結婚するつもりで付き合っていたので、

解散と同時に結成に向けて歩み出さなければ、

34の私には時間が残されていなかったからである。


そんな私のリアル婚活日記を、

先日ZINEの販売イベントで売ったら完売したので、

このnoteでも売ってみることにする。


新興宗教にハマっているクレイジーな毒親持ち、兄に障害あり、私本人も難病持ち、おまけにメンヘラ、

というどう考えても事故物件としか言いようのないこの私が、

婚活に奮闘する様をリアルに、なるべく詳細に描いていきたい。

興味がある人だけ読んでもらえたら嬉しく思う。






【鬼婚活のはじまり】

 五年付き合った彼氏と別れることになったので婚活を始めることにした。
というか、別れた瞬間に婚活をスタートさせようと別れる前々からめちゃめちゃ思っていた。
ちなみに長年付き合った彼氏と別れた理由は、むしろ別れない理由がない、くらいにたくさんあったので割愛する。

三十代に入って長年付き合った彼氏と別れたらメンタルが死ぬんじゃないかと思って別れるに当たってその一点のみが怖かったけれど、仕事と猫と友人と推しがいれば案外、というか全然大丈夫だった。
別れたその日に始めた婚活のおかげで日々忙しかったせいも十二分にあるかもしれない。


友人やネイルのお客さまでも、とにかく周りの多くの人が最近マッチングアプリを通して結婚したという話を聞いていたので、まずは何がなくともマッチングアプリだ、マッチングアプリを始めようと思っていた。
何年もに「婚活パーティー」に行ったことがあったが、なにせ人見知りな上コミュ障気味の私には端的に言って婚活パーティーは「地獄」だった思い出しかなかったのもあって、とにかく片っ端からマッチングアプリに登録した。
マッチングアプリのシステムを簡単に説明しておくと、男女ともに自分のプロフィール(顔写真や自分の好きなものの写真のほか、自己紹介文、学歴、職種、年収、身長、体型、血液型、趣味、結婚までの希望時期、子どもは欲しいかなど)を登録するようになっていて、相手がそれを見て「この人と話したい!」と思ったら「いいね!」を送り、相手も自分のプロフィールを見て話したいと思ってくれたら「いいね返し」をしてマッチングし、そこからメッセージのやりとりができるようになるというシステムになっている。
ちなみにプロフィールのどれを記入してどれは記入しないかは個人の好きに決められるが、当然記入項目は多ければ多いほうが相手は安心するのでいいね率が上がるらしい。(とマッチングアプリ内に書いてあった。)
私はとにかく「効率・結果重視婚活」をしたかったので、プロフィール欄は埋めに埋めた。100%記入した。出会いの分母を高めるという意味で様々なマッチングアプリに登録もした。1%でも出会いの可能性が高めたかった。
そして大切なプロフィール写真は、元彼が撮った写真ではあるが、家でメガネで満面の笑みで猫を抱っこしている写真にした。猫を飼ってますよというアピールと、メガネでサブカル女子感を演出したかったためである。

アプリに登録したて、というのはいいねが山のように届き、その一つ一つをチェックし、いいね返しをするかどうかの判断、そしていいね返しをした途端始めるメッセージのやりとりなど、マッチングアプリは始めた瞬間は割と忙しいものであった。
だがしかし、日本語を正しく使える人間、初めましての人に敬意を持って丁寧に話せる人間、きちんと挨拶ができる人間、マナーがちゃんとある人間、がいかんせんマッチングアプリには驚くほど少なく、「え?本当にみんなここで結婚したの?本当に???私がやってるやつはみんなが結婚したのとは違うやつなんじゃない?????」と思ってしまうほど一言で言うとマッチングアプリ開始当初は「やばめな方」の登場率が異様に高かった。
マッチング後のマナーとして、だいたい「マッチングありがとうございます。●●と申します。よろしくお願いします。」という挨拶がなされるのがマッチングアプリ内の常識的な人間のマナーのようであったが、最初からいきなり「ドライブは大好きかな?^^」と謎のドライブ好きかどうかの確認があったり、投資の話をされたり、いきなり「どこ住みー??」と住所を特定しようとしてくる人がめっちゃいたり、ていうか「住み」ってなんだよ、せめて「どちらにお住まいですか」やろ、いきなり住所を特定しようとしてくるだけでもめっちゃ怖いのにこんなに日本語不自由なやつに住所を教えるわけがないやろ・・・と思ってそういう「やばめの方」は基本的にスルーをしていた。
だがしかし、やばめの方というのはなにせやばいので、返事をしていないと「元気?」もしくは「生きてるー?」とのメッセージを高確率で送ってくる。
この現象はなんなんだ。リアルな非モテ人間にも多いが、返事を返してないと生きてるか元気か確認してくる現象は一体なんなんだ。何かの本にそう書いてあるのか。「カノジョから返事がない場合は死んでいるかも?生存確認してみよう!」とでも書いてある本があるのか?????と思ってしまうくらいにみんな生存確認してくる。
元気だし生きてるし、あなたが「やばめの方」だから返事をしていないだけなので安心してほしい。

マッチングアプリと言うと現代的で聞こえはいいけれど、昭和生まれの私からすると「結局は出会い系だよね?!やばい人に会ったら殺されるやつだよね?!??!」と思っていたので、(やばい人に会ったら殺されるとは今も思っている)そんなやばい人たちに会ってうっかり殺されるわけにはいかないので、メッセージのやりとりして、「この人には殺されなさそうだ!条件も合いそうだ!」と思ったら、結局は会ってみないと何もわからないので積極的に会っていくことにした。
この本は私が会ったリアルな人々について書いていきたい。


【第1章・人間に会いたい】


・婚活面談一人目〜メンヘラホイホイ〜

彼は自称国家公務員で、年収の欄に「800万〜1000万」と書いている35歳で、私は思い切り趣味がサブカル文系方向に舵を切っているのだが、その趣味がほぼ一致し、会話が盛り上がり日曜だったこともあり勇気を出してその日にすぐ会うことになった。
見た目もいかにもサブカルメガネ男子といった感じで、特別おしゃれではないがダサすぎもせず、いい感じだった。
話も楽しく盛り上がっていたところ、元カノトークになった際、彼はさらっと「あ、俺一回結婚失敗してて子どもがいるんだけど〜」と言った。

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