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『小さくて強い店』について考えてみた 15.

※こちらの内容は、ウェブサイト(現在は閉鎖)にて2016年~2019年に掲載したものを再投稿しています。内容等、現在とは異なる部分があります。ご了承ください。

借入をし、1人2人といったギリギリの人数で労働集約型の典型であるパン屋さんをはじめられた方は、数年も経てばそれが決して気楽なものでないことも、お店をはじめること自体は実はそれほど難しいことでなく、本当に難しいのは維持継続していくことだときっと気付かれると思う。

小さなお店、特にパン屋さんをぼくがあまりお勧めしないのは、他の業態に比べどうしても初期投資が大きくなることもあるけれど、それ以上に長年に渡り本当に続けていくことが可能なのか、といったことがある。

借入してお店をつくる場合、大抵7年間での返済が目安になると思うけれど、言い換えれば最低でも7年間は作り続け、売れ続け、返済し続けなければならないということでもある。
無事に7年間で返済を終えたとして、それでお店を辞めるのかといえば恐らくそうはならない。辞めてその後どうするの?となるだろうし、7年間維持継続できたということはお客さんも付いてくださっているのだから「借金も無くなったことだし、じゃあこのまま続けよう」ということになる。

ぼくもそうだったけれどお店をはじめるときは、一つの目標が叶ったことで大抵の人は気持ちが前のめりになる。
ここで意外と意識から抜け落ちているのが自分も歳をとるといった当たり前のことだったりする。そんなバカなと思われるかもしれないけれど、お店をするような人は、はじめたときの前のめりな気持ちでずっといけると結構本気で思っていたりする。
店をはじめ、狂ったように働いていたぼくは、そんなわけがないと思いながらも頭の片隅ではどれだけ働いてもぼくだけは衰えないんじゃないか、死なないんじゃないかとさえ結構本気で思ったくらいだった。
もちろんそんなはずもなく、30歳でお店をはじめた人が10年続ければ40歳になり、35歳ではじめた人は45歳になる。
当然歳を重ねていけば体力的にも衰えてくることになるけれど、お店というのは不本意なことでも起こらない限り恐らく10年、それ以上と続いていくことになる。

すでにお店をしている人たちがよく「(お店を)やるなら30歳くらいで、遅くとも35歳までにはやった方がいい」と話されるのには、こういった理由があるからだと思う。

つづく


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