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『小さくて強い店』について考えてみた 13.

※こちらの内容は、ウェブサイト(現在は閉鎖)にて2016年~2019年に掲載したものを再投稿しています。内容等、現在とは異なる部分があります。ご了承ください。

週末営業をスタートし、結果から書けば想像以上にぼくの狙い通りになった。
スタッフに話していた通り、減収にはなったけれど増益で黒字に戻った。
特にパン屋さんにとって一番の閑散期である夏などは、定休日なしで営業していた前年と比較すると明確に営業日が少ないにもかかわらずほぼ売上が変わらなかった。
またこの数年後には、定休日なしで営業していたときの過去最高売上を週末営業のみで凌駕する記録を出している。

毎年恒例のクリスマスパーティーでは、うちがどうなったのか興味津々なみなさんが話を聞きに来られ、結果を伝えるとやはり一様に驚かれていた。
ちなみに「お前はアホか?店潰すぞ」と、ご心配をしてくださった方に報告をした際には「お前は天才。やると思ってた」と何とも軽薄な褒め言葉をいただいた。
普通や常識なんてその程度のものだし、きっとそれらも時代とともに変わるものなのだと思う。

その後、「オレもお前んとこの真似するわ。一応言うとこ思うて」と律儀に電話をくださった先輩や「うちも西山さんの真似して週末営業にしたんです。不安だったんですが、やってめっちゃ良かったです」と言ってくれる下の世代の人も現れた。

※追記 最近(2023年現在)も独立した元スタッフの子から「いまは金、土、日の3日間だけの営業にして連休を取るようにしました!西山さんが今出川を3日間にした理由がわかった気がします」と連絡をくれた子がいる。

ぼくの場合は、平日の売上の低さや労働時間の課題もあって、当時は苦肉の策としてやったことなので最期の切り札を切ってしまい、1軒の店としてはもうこれ以上切る札がないと思い、2軒目の出店へ向かうことになった。
だけど、小さなパン屋さんを少人数でされ一店舗一店主主義の考え方をされる方なら、こういった方法も長く続ける手段としてはありなのでは、と思う。
それに、これならある程度の種類があったとしても恐らく身体を壊すほど働く必要もないと思う。

少し前、地方で1人だけでお店をされているという女性からFBでメッセージをいただいたことがあった。
そのお店は週に1日だけ営業をされている食パンのみのお店だそうで、最初はさすがにそれでやっていけるのかなと思ったけれど、自宅の一部を改装され店舗にされているので家賃もかからず、いまではサンドイッチやスコーンなども作られ生活は成り立つとのことだった。

彼女のお店が設備投資などのために借入をされたのかはわからないけれど、家賃などの固定費が掛からないのは大きいし、週1日の営業で成立するのなら体力的にも継続していくことが可能に違いない。
こういった条件面で恵まれている方はかなり少数派だと思うけれど、それを差し引いてもあれもこれもやろうとせず、食パンに絞られたのが維持継続していく上での大きな要因だったと思う。

つづく


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