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本当の狙いは、そこじゃないでしょ

ついこの前までのドル高・円安が進行していた時のことを少し思い出してみてほしい。

以前、このnoteで為替介入について書いた。その中で「こういった場合、大抵は事前に財務官からそれを示唆するコメントがあるので」と述べたけれど、円安が急進すると、お約束のように神田 元財務官なり鈴木財務相は、以下のようなコメントを出された。

行き過ぎた動きにはあらゆる手段を排除せずに適切に対応をとっていきたい

為替の過度な変動は望ましくない、適切に対応

過度な変動は企業活動の不確実性を高める

行き過ぎた動きに対しては必要な対応を取っていく

過度な変動が投機などで発生して経済に悪影響を与える場合には、適切な措置を取る必用がある

などなど。

要人発言であり、あまり調子に乗っていると為替介入やっちゃうぞー、という市場に対する牽制で、いわゆる ”口先介入” である。
鈴木財務相は置物のようだし、まるでテンプレのような発言ではあるけれど、それでも管轄でもないデジタル大臣や幹事長のように余計なことを話されないのは、市場を混乱させない配慮を感じて好感が持てる。

しかし、それにしても円安に対しマメな反応をしていたわりには、「行き過ぎた動き」「過度な変動」の円高進行には特段の反応もないんだな。
ぼくの知る限り、林官房長官の「為替の過度な変動は望ましくない、しっかり注視し万全の対応行う」くらいか。

円安に歯止めをかけようと為替介入があった際、ほとんどの投資家は政府(財務省)の意図をこう読んだと思う。

1ドル・160円以上は容認ならねぇー

つまり、政府は1ドル・160円を防衛ラインと考え、それ以上の円安は看過できない、と。

しかし、同時にこうも感じたと思う。

「行き過ぎた動き」「過度な変動」でなく、緩やかに160円を超えるならいいんじゃね? 

ぼくには、そう聞こえた。

結局この時は、さも私は国民生活を心配していますよ。だから党員の皆さん、総裁選の際にはよろしく。と言わんばかりの大臣や幹事長が円安是正を求める発言をしたため空気が変わってしまったけれど。絵に描いたようなポピュリズムだと思うし、ぼくは手のひら返しじゃないのか、と訝しんだ。

以前、ぼくは noteで、こう述べている。

そもそも金融政策を正常化しないようにしていたのは自民党で、個人的には「インフレ・円安」は意図した国策とさえ思っているんだけれど。

困った人たち

この推察(邪推)は、今も変わらない。
あわよくば、国民が「よくわからんがインフレだから仕方がない。みんなも言ってるし」とでも思ってくれて、文句が出ない程度の緩やかさで円安が進むことを狙っていたんじゃないのかな。
ところが、思いのほか円安の進行が「行き過ぎた動き」「過度な変動」だったため、これを放置すると物価高騰で苦しむ国民からの大バッシングを受けることになる。だから風向きが悪いと察した大臣や幹事長が余計な発言をしたのではないか。

政府・日銀やメディアは、建前として「インフレになれば企業収益が上がり、それに賃金が追いつくようになる」と謳っている。

けれど、おそらく本当の狙いはそこじゃないでしょ。

なんか、陰謀論みたいになってきたけど。

つづく



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