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『小さくて強い店』について考えてみた 17.

※こちらの内容は、ウェブサイト(現在は閉鎖)にて2016年~2019年に掲載したものを再投稿しています。内容等、現在とは異なる部分があります。ご了承ください。

ぼくが「小さくて強い店」を懐疑的に思う理由と「それでも、もしぼくがやるなら」といったことを書いてきたけれど、やはりぼくにとって小さくて強い店というのは、ピンと来なかった。
そもそも小さくて強い店という定義もよくわからなければ、何を持って強いというのかもよくわからない。それでも強い店かどうかはともかく、小さなお店を維持継続していくためにベターな方法というのは、きっとあると思う。

できるだけ初期投資額、借入を抑える、流動性のない保証金は可能な限り抑えてもらえるよう交渉する、商品やメニューの構成、仕事の動線をできるだけシンプルにする、機器や道具の方が早い、良い結果に繋がるものあるいは手作業と同等以上の結果をもたらすのならできるだけそれらを使う、いただいた対価以上のものをお客様に提供することを前提にできるだけ単価を高く設定する、利益率を上げる、生産性を上げる、納税をちゃんとする、昔は正しかったとされることを無思慮に踏襲したり鵜呑みにしない、自分のやっていることに関わると思われる時代背景や潮流、人口推移なども少しくらいは意識する・・・・
他にも考えればたくさんあるだろうけど、ぼくの思いつくものは大抵書いてきたと思う。

「これだけやれば大丈夫」「これを、この人の言うことを信じていれば大丈夫」なんてものはないし、そもそも一応の理論があったとしてもお店や商売、ビジネスをやっていく上で「これが答えです」「これが正解です」なんてものは恐らくどこにもない。
それから本人がどれだけ賢くても、どれほど腕が良くても、リスクがあるからとやらない人、踏み出せない人は、この先もお店や事業をされることは恐らくない。
何屋さんを始めるにしてもゼロリスクなんてことはありえない。

どこまでも主観でしかないけれど、ぼくがこの話を書いてみようと思ったのは、最近下の世代の人でお店をはじめようとされている方から相談を受ける機会が増えたからだった。
ぼく自身、何か思い付いたときには「やってみなはれ、やらなわからしまへんで」と自分に言い聞かせるし、若い人のはじめようとされていることが例えば「6畳一間を借りてPC1台あれば始めれます」といったフットワークの軽いものだったら、「どんどんやればいいやん、すぐに始めればいいやん」と言うに違いない。

ところがやろうとしていることはお店であり、それは6畳一間を借りてPC1台程度の初期投資では到底できることでもなければ、壁に穴を開け床をはつり、大きな設備を入れ、内外装をつくるという決してフットワークの軽いことでもない。
それにほとんどの人はそれだけの大きなことを決して小さくない資本、それも借入でされるのだから、はじめないと何もはじまらないとは思うものの考え得るリスクの認識があるに越したことはないと考えた。
今後ますます厳しい時代になるし。

「これが答えです」「これが正解です」なんてものは恐らくどこにもないのだから、孫正義さんの口癖じゃないけれど「脳がちぎれるほど考えろ。ちぎれるほど考えても脳はちぎれない」というほど自分の頭で考えても損はしない。

小さくて強い店について考えはじめるとまだまだ話を広げることができそうだし、例として友達のお店のことなども書こうと思ったけれど、本当に終わらなくなりそうなのでこの辺りで。


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