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THE CITY BAKERY

※ こちらの内容は、ウェブサイト(現在は閉鎖)にて2016年~2019年に掲載したものを再投稿しています。内容等、現在とは異なる部分があります。ご了承ください。

ニューヨークの THE CITY BAKERYさんを訪れたぼくの第一印象は、やはり「体育館みたいなお店」だった。
もうこれだけで来て良かったと思えるほどで、正直に書けばそこで売られている商品や有名なプレッツェルクロワッサンでさえ、ぼくにとって興味は二の次だった。

ぼくに刺さった理由が大箱であること以外にもう一つ、心を鷲掴みにされた決定的なものがパリのChartierさん同様、THE CITY BAKERYさんにもあった。
それが中二階席で、どうやらぼくはこういったお店を見ると自分の中のスイッチが入るらしい。

THE CITY BAKERYさんは入っているビルこそとても大きく立派な建物だけれど、お店の内装はChartierさんのような重厚な空間というわけでもなければ、どちらかといえばシンプルで簡素という印象すら受ける。
それでも「楽しくて仕方がないからこのお店にしばらくいたい」「予定を変更して明日もこのお店に来たい」と言っていたくらいなので、やはりぼくは体育館のようなお店に惹かれるらしい(中二階席まであれば完璧)。

ぼくが「いつか、Chartierさんや AUX BACCHANALESさん、BALTHAZARさんのような店をつくりたい」と思ったところで、そのために必要な投資額を考えると残りの時間すべてをかけても不可能としか思えない現実があるけれど、THE CITY BAKERYさんの簡素さは、本気で頑張れば生きている間につくれるかもしれないと僅かな期待を持たせてくれるものだった。
ちなみにTHE CITY BAKERYさんはマンハッタン島に位置し、もちろんぼくの話は 「家賃が東京の3倍以上はする」と言われる地価の事情を完全に無視して書いている。

ぼくが高校生のときにアルバイトでお世話になったファミレス、ある意味3つ星レストランへ行ったときよりも遥かに感動しずっと記憶に残るChartierさん、衝撃的だった原宿の AUX BACCHANALESさん 、やはりカッコよかった BALTHAZARさん 、そして心を鷲掴みにされた THE CITY BAKERYさん 。
思い返してみるとぼくの飲食業人生で琴線に触れたお店は決して美食がウリのお店というわけでもなく、それらに共通するのは体育館のようなお店であることと、もう一つ。
「いつも多くのお客さんで賑わい、心地よい喧騒を生み出しているお店」ということだった。

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