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『小さくて強い店』について考えてみた 2.

※こちらの内容は、ウェブサイト(現在は閉鎖)にて2016年~2019年に掲載したものを再投稿しています。内容等、現在とは異なる部分があります。ご了承ください。

小さくて強い店ということは、小さくない店と比較してメリットがあったりリスクが低いから強い店だと思うので、それらを考えてみる。

設備や什器備品に極端な投資をしなければ、小さなお店は初期投資を少額で抑えることができる。また規模が小さいので家賃や水道光熱費等の経費も低いと考えられるし、何をやるかどこまでやるかにもよるけれど少人数で運営をすることが可能だから恐らく人件費も低く抑えることができる。

初期投資が低く固定費も低く抑えることが可能ということは、上手くいけば投資回収期間が短くなるし損益分岐点が低くなり当然リスクは下がることになる。
これは、強い店であることの大きな要因であることに違いない。
もう一つ。小さなお店は、そうでないお店に比べ「だから美味しい」とか「頑張っているから」といった好意的なバイアスがお客さん側の心理に働いている気もする。もしそうなら、これも小さなお店であることのメリットであり強さの一つだと思う。

ここに挙げたものは、いずれも強いお店であるための大切な要因に違いないと思うけれど、書いていてもやはりこれくらいかというのが率直な印象だった。
前回、ぼくはこう書いている。

「ぼく自身は、以前からこの小さくて強い店という抽象的でザックリとした括りに多少なりとも違和感を覚えていて、率直に書けば懐疑的な見方さえしている。」

そう、ぼくは 漠然と小さな店 = 強い店とは決して思っていない。
なんだかめっちゃ嫌われそうなことを書いている気がしないでもないけれど、本当にそう思っているからこればかりは仕方がない。

なぜそう思うかを書くその前に。

他人の成功事例を聞くより失敗事例を聞いた方が参考になる、といった話をよく耳にする。それなら耳障りの良い抽象的な感情論や希望的観測だけでお店を始めるより考え得るリスクやデメリットを想定し、それを理解した上で(覚悟した上で)はじめた方が良いとぼくは考える。

リスクがあるから踏み出さないでは話にならないし、何をするにしてもゼロリスクなんてことも有り得ない。また、どれだけ考えても思い通りになるなんてことはないけれど、それでも考えないより考えた方がリスクに対する受け身の準備にだってなる。
精神論や感情論で闇雲に頑張りさえすれば小さなお店を守り続けることのできた幸せな時代も確かに昔はあったと思うけれど、いまはそんな容易な時代でもない。

ソフトバンクの孫正義さんは社員に向かって「脳がちぎれるほど考えろ。ちぎれるほど考えても脳はちぎれない」というのが口癖だったと読んだことがある。
あそこまでの方は、やはり言われることもすごいなと思ったけれど、もし考えることを止めたり変化を受け入れないのであれば、やはりそういった人は小さなお店であったとしてもやらない方がいいとは思う。
大きなお世話なんだけれど。

つづく

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