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あの人の話

※ こちらの内容は、ウェブサイト(現在は閉鎖)にて2016年~2019年に掲載したものを再投稿しています。内容等、現在とは異なる部分があります。ご了承ください。

いろいろと書きたいことがあるけれど、どうも上手く言葉が出てこない、文章がまとまらないので巷の話題を少し。
テレビやSNS、ネットを開けば勝手に飛び込んでくるほどの最近の話題、経歴詐称のお話。

ぼくが彼のことを知ったのは、まだ最近のこと。
報道ステーションを観ていたときに「なんて男前な上に素敵な声の持ち主なんだ・・・」と思い、コメンテーターとして話される内容を聞いては、神様はこの人に一体何物を与えたんだ。やはり神様なんていない証拠だよ、なんて思ったものだった。
憧れたり羨ましいと思う対象でもなく、ないものねだりをしないぼくにとっては、もう別次元の違う生きものくらいの感覚であったけれど、コメンテーターとしての彼に好感を持っていた。

”この人は、きっと性別関係なく好感を持たれる方なのだろう” と思っていたし、何よりもあの容姿と美声に引っ張られがちになるけれど、あれほどの知識、語学力はご自身の努力による賜物以外の何ものでもない。
昔、必要に迫られて少しフランス語を勉強しかけたことのあるぼくにとって、母国語でない言語を流暢に話される方は、もうそれだけで年齢性別に関係なく尊敬の対象になる。
また語学だけでなく生放送の報道番組でコメンテーターをするのは、付け焼き刃程度の知識で到底務まる仕事とも思えない。
どうやら彼とぼくは年齢が同じらしく、そこでまた何なんだ、この差は、とほぼ同じ時間を生きて来たはずの人間として、その圧倒的な努力の差を思い知らされることになる。

で、今回の騒ぎ。
もちろん嘘がいけないことは子供でもわかることだし、これほど賢く著名な方にしては脇が甘いなぁと思うけれど。
今回、経歴詐称そのものよりもぼくが気になって仕方がないことがあった。
一つは、こんな話を本人だけでなく周りの人たちが本当に気づかなかったのか、彼のサイト制作なり運営している人の中に1人くらい気づく人、注意してあげれる人はいなかったのかと思わずにいられない。

そして、もっと気になったこと。
この件で彼がFMの番組内で謝罪されたときの音声やそれを文字起こししたものが何度もテレビで流れていたけれど、ぼくが気になったのは謝罪内容そのものより画面端のワイプに映る番組司会者や出演されているコメンテーターの何とも形容しがたい表情だった。
この人、嬉しい気持ちが顔に出るのを堪えているけれど、抑えきれないのが全国に流れているって気づいていないのかな、と人間の浅ましさや妬み、ひがみ、嫉妬が起因しているであろう表情を垣間見た気がした。

消費者の数が無限でない以上お店が無限に増えていくわけなどなく、お店が増えればその分、人知れず消えていくお店があるのと同じで、テレビの人たちにすれば限られた椅子を取り合っているのだから、その参加者が自身の失態によって椅子取りゲームから脱落する人がいれば、限られた椅子が自分に回ってくる可能性があると考えるのはわかるけれど、抑えきれずに嬉しそうな顔を全国放送で晒してしまうのは、個人的に嫌悪しかない。

競技で対戦相手が棄権になり、不戦勝となった選手がニヤけている姿は想像し難いし、仮にそういった選手がいたとして、その姿を観客が見たときにその選手を応援したくなるかと考えるとやはりそうはならないと思う。
また、こういったことがあると鬼の首を取ったかのように意気揚々と出てくる人たちがいるけれど、この人たちは自分が不特定多数の人たちから見られている場所にいるという自覚がどれほどあるのか。
また、そんな自分が視聴者にどう映っているのかと考えないのかなと、ぼくには経歴詐称そのものよりそちらに関心の向いた話題だった。

何はともあれ、嘘はいけません。
最近ではぼくも取材やインタビューをしていただく機会があり、その際にプロフィールを訊かれることや校正の段階で送るよう依頼されることがあるけれど、そんなもの読みたい人いるの?と思うくらいなので、ぼくにはプロフィールの雛形もなければ宣材写真なんてものもない。
名刺にも代表取締製造補助と自ら肩書きを付けているくらいなので、詐称どころかこれほど本当の肩書きもない(画像は、ぼくが実際に使用していた名刺)。

でも外食業界、ぼくらの業界って、オーナー・シェフ(えっ、オーナーは別にいるの?)とか、どこどこで◯年間修業してきました(あれ、そんなにいなかったんじゃないの?)とか結構ある気がしますが・・・。


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