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『小さくて強い店』について考えてみた 12.

※こちらの内容は、ウェブサイト(現在は閉鎖)にて2016年~2019年に掲載したものを再投稿しています。内容等、現在とは異なる部分があります。ご了承ください。

潰れそうだった店も4年め以降は、順調に毎年前年比でプラスになっていた。
そのころには交代制の公休にして定休日をなくし、年末年始を除いて基本的には毎日営業をしている状態だった。

毎年増収増益だったある年、過去最高売上を記録しながら赤字になった年がある。
これは税理士先生と検証するまでもなく、人件費がかなり増加したことが原因だと自覚があった。
このころ、特に週末ともなれば他府県からのお客様が殺到されるようになり、とにかく店をまわすことに精一杯で経営云々といった余裕もなかった。
足りないと思った販売スタッフさん、製造補助のアルバイトさんをどんどん増やした結果がこれだった。

すぐに手を打つ必要があると思い、ぼくがやったのが週末3日間だけの営業だった。
京都という観光地としての土地柄もあるし、店自体も「金閣、銀閣、プチメック」と何かに書かれたことがあるほど観光地と化していて、そのため月〜木と週末の売上に驚くほど乖離があった。そこで、ぼくはこう考えた。

週末金、土、日のみの営業にできるのではないか。
平日の水道光熱費がゼロにはならないし、その分の家賃は発生していることを思うともったいない気もするけれど、それでも人件費は下がるし平日残って廃棄している分のコストも大幅に減らすことができる。
そして何よりも課題になっている労働時間を劇的に減らすことが可能になる。
もし週末の売上がいまの1.5倍から2倍になってくれれば十分やっていける。

このころ、クリスマスが近づくと大阪のホテルで西川シェフ(当時コムシノワさん)を中心に関西のパン屋さんや業者さんが100名以上集まるクリスマスパーティーが毎年開催され、ぼくもスタッフを連れて参加をしていた。
諸先輩方や下の世代の方たちとの歓談の席で「実は来年から週末だけの営業にしようと思っているんです」と話してみたところ一様に驚かれ、「大丈夫か!?」「お前はアホか?店潰すぞ」といった声が挙がった。
数日後、店に電話をくれ「聞きましたよ、西山さん大丈夫なんですか?」と心配してくれた下の世代の人までいた。

内心自信のあったぼくは、当時のスタッフに「大丈夫。確実に減収にはなるけれど、増益になるはずだから」と話し、翌年から週末営業をスタートすることにした。

つづく









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