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振らないの?

※ こちらの内容は、ウェブサイト(現在は閉鎖)にて2016年~2019年に掲載したものを再投稿しています。内容等、現在とは異なる部分があります。ご了承ください。

先日、切れてしまったと思われる電球を耳元でシャカシャカと振っていると、横にいた20代前半の女子スタッフAちゃんが不思議そうな面持ちで見ていたので、「あれ?電球が切れたら、こうやってシャカシャカしない?」と訊くと「そんなの知らないですよぉ」との返答。
「えっ、うそっ、知らないの ⁉︎」と言いながら今度は別の20代前半の女子スタッフBちゃんをつかまえ、「なぁ、なぁ、電球が切れたらこうやってシャカシャカするよね?」と訊いてみる。

「いや、わたし知らないです」

マジか…

「じゃあ、Cちゃんは?知らない?こうやってシャカシャカするの」
若干ムキになってくる。

「えっ~聞いたことないです。それにわたし、電球を交換したことないです」

「はぁ!? Cちゃん、電球交換したことないの? じゃあ、家の電球が切れたらどうするの?」

「切れたことがない・・・かなぁ。とにかく交換したことないです」

「本当に!?君らLEDしか知らない世代ってわけでもないでしょ? まさか交換したことないって、LEDだからなの?」

すでに3人が、おじさん、何言っているの? 意味わかんね、みたいな顔をしていたから、ぼくはとりあえず「こうやって、本当に(フィラメントが)切れているかを確認するの。特にドアの近くにあるブラケットライトなんかだと、ドアの開閉の振動で口金とソケットが緩んで消えただけということもよくあるから」と説明をする。

翌日、Bちゃん、Cちゃんに加え、前日が公休日だったDちゃんとEちゃんも出勤だったので、気を取り直して彼女たちにも訊いてみる。

「Dちゃんは、電球が切れたときにこうやって確認するの知ってる?」

「いや~知らないです」

「だよね、Dちゃんまだ若いもんね。10代の子は、そりゃ知らないよね」

最後の砦であるEちゃんは、彼女らとぼくの中間くらいの世代の人。Eちゃんなら、きっとわかってくれるはず。

「Eちゃん、もうね、若い子たちみんな知らないっていうんだよ。電球が切れたときって、こうやってシャカシャカするよね?」

「えー!?わたし、そんなの知らないですよー」

…ま、知ったところで若い子には今後の人生にまったく必要ないことだろうし、世の中的にも益々不要になっていく豆よりも小さな知識なんだけれど。

それにしても、何だか自分が随分とおじさんになったような気がしたな。

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