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授業中に助け合う大人のESL教室

私が通っている大人のESL教室では、よく先生が


「分からない問題があったら近くの人と話し合ってほしい。助け合って。喋っていいから。勉強はみんなでするものだから」

と言うんです。
そうはいうものの最初のうちはやはり喋りにくかったりしました…。
自分が分からないことがバレるのも恥ずかしいし、相手も分からない…となったときにお手上げ(気まずい沈黙)、になりそうな感じがするからです。
そもそも日本の教育を受けてきたので、授業中に発言することに慣れていません。

また自分が分かっているときも、隣の席の人に「なんか手伝うことある?」と声をかけるのはしにくいです。。
相手に恥をかかせる気がして…。


他の人もそう思ってたのでしょう、先生が「助け合って」と声をかけても無言…ということが何ヶ月続きました。


先生がエラいなあ、と思ったのはそれ以上無理に助けあえ、と言わなかったことです。
Okay.と言って答えを言ったり
(余談ですがこの先生は答えが間違っていたときは赤ペンで直すのではなく、消しゴムで消して書き直しなさいと指導します)
あくまでさらっと流して、雑談やクイズを入れたりします。
自分のエピソードを話したり。
例えばこんな感じです。

今から黄色い果物をできるだけ考えてみよう、ノートに書いてみて!
僕のおばあちゃんがブルーベリージャムを毎年秋に作っていて、ガラスのボトルの中に煮詰めたジャムを入れて、最後はwaxでフタをして保存していたなあ。

先生の雑談その1

またある時はこんな話でした。

昔僕が若い頃にスペイン語を話す人たちのパーティーに行ったんだ。
パーティーの参加者を一人ひとり引き合わせてくれて、頑張ってHola!と挨拶だけはスペイン語を覚えていって喋って回ったよ。

自分に話しかけてくれるときは彼らも英語なんだけど、他の人の話が盛り上がっちゃうとスペイン語で話し出すから、僕には分からなくなっちゃうんだよね。
場違いなところに来たのかなあ…と思ったことを覚えている。
だから君たちが外国語として英語を話すことはすごい努力だってことはよく分かってるよ。

今は言葉が通じなくて辛いかもしれないけど、長い目で見たら君の母国語と英語、2つの言語を喋れるようになるんだ。
それは英語しか喋れない人よりすごいことだ。

先生の雑談その2



こんな雑談を2-3分でやって、また授業に戻るのです。
こんな先生の雑談を聞いているうちに、なんとなく私も隣の人に「この問題分かる?」と聞けるようになりました。

振り返って考えてみると、先生の雑談から「この教室では間違えても気まずくならない」と判断したからのような気がします。

他の人たちも分からないところをみんなで話し始めました。
ただそれには2-3ヶ月かかったのですが。


私は自宅で小学生の娘の勉強に付き合うことがあります。
足し算の繰り上がりとか、九九とか、正直どう教えたら良いのか分からないです。
「これくらいなら分かるかな?」と思って出した問題が意外と答えられなくて、娘を怒らせたことが何度もあります。


恥をかかせちゃダメですよね。
かといって「この問題どうなってるんだろうね?」と言うと「本当は分かってるのに演技してるでしょ!」などと言われるのでドキッとします。


特に解決策があるわけでないのですが、ESLの先生がしてくれた雑談にヒントがある気がします。
一方的に教える人、一方的に教わる人になるのは楽しくないですから。


そんな娘は学校から支給されたパソコンにインストールされた算数アプリを解くのが大好きです。
問題を解けば解くほどコインが貯まるんだそうです。
機械に何回間違っても恥ずかしくないし、ポイント溜まって楽しいし、格段に勉強しやすい環境になりましたよね。いい時代だと思います。

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