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Blackout Tuesdayのこと

今週の火曜日、SNSのタイムラインに黒塗りの画像が続出した。
"Blackout Tuesday”というタグとともに投稿された画像が、なにを意味するのかわからず、面食らってしまった。

アメリカ・ミネソタ州で起こった黒人男性の事件に端を発する抗議活動にはじまり、ショービズ業界や音楽業界が、「ショーを一旦止めて、考える(The show must be paused)」と、運動を始めたのが広がったようだ。

黒い画像をアップしてタグをつけるだけのことだから、深く考えずに「共感・連帯の気持ちを表現しよう」と、SNSに黒い画像を上げた人もいるんだろう。

僕は人の好き嫌いが激しいし、自分を博愛主義の平等主義だなんて思ったことは一度もない。でも人種差別など肯定する気持ちも微塵もない。
それでも黒い画像をアップする気にはなれなかった。
実際の差別に直面している人たちにとって、黒い四角がどれだけ役に立つのかと考えてしまったのだ。

餓えた子供が食品サンプルのラーメンをじっと見ている隣に立って、「おじさんもラーメン好きだよ」と言ったところで、子供の腹が満たされるわけじゃない。
それと同じじゃないかと。

旅行をしていて小さな差別を受けたことはあるにせよ、僕が経験しているのはその時に気分を悪くした程度のシロモノだ(その時には日本語で無茶苦茶罵倒して、殴り合い寸前にまでなったことだってあったが)。
日常的に差別に晒されて生活している人たちのことは、正しくわかっているとは言い難い。

黒い画像をアップする前に、自分の回りを見渡して、小さな差別をしていないかどうかを考えてみる。日頃、差別に晒されている感覚のない僕らは、そこからしか始められないように思う。
「格好つけてばかりの関東の人間は」とか「関西人なのに面白くない」とか、意味不明の小さな差別は日常的に転がっているんだから。

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