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読書記録2022 『それでも世界は回っている 1』 吉田篤弘

現実とは全く違う浮遊感。
物語がなさそうである、荒唐無稽なようで現実味のある、不思議な吉田篤弘の世界。
絵本を読んでいる感覚。大人が読んでリラックスできる絵本。
もちろん装丁も。クラフト・エヴィング商會らしいシンプルで雑味のない装丁が心地良い。
吉田篤弘の本が書棚にあることが、なんだか心に余裕があるんだなと思えるような感じにもなる。
(背見出しが白地にゴシック・黒文字の自己啓発本が並んでいるのとは対極にあるような)

『月とコーヒー』に登場した青いインクを作る話とどこかで繋がっているような、でもどう繋がっているのかはまだわからない、細く淡い期待がこの作品を一気に読んでしまった理由。
物語に引き込まれたのは間違いない。でもなんだか違う。小説の世界に没入するのとは違う感覚。物語に並走しているような。
やっぱり絵本みたいな小説というのがいちばん近い。
続編に期待。

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