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読書記録

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個人的な読後連想の記録
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2021年11月の記事一覧

読書記録(羅列版)〜リタイヤした小説編

2ヶ月ほど前、「つまらない本のあきらめ時」という投稿をした。 読み始めたものの退屈極まりない本をどこまで引っ張って、どういうタイミングで放り出すか。その見極めが難しいという内容だった。 大量消費派かつ乱読派なもので、中には最後まで読まないまま放り出してしまうものもある。 放り出す理由もさまざまだが、そういう読書記録も面白そうだと思いたった次第。何の役にも立たないけれど、自分がどこに引っかかってしまったのかを明らかにしておくのは悪いことでもなさそうだ。 というわけで今回の読

読書記録(羅列版)#6

このところあまり読書のペースがよろしくない。 飽きっぽい性格があちらこちらに顔を出し、ひと所に落ち着かないせいだ。 それでも少しずつでも読んでいる本はちゃんとあるので、振り返ると数冊程度は記憶に残るものもある。 例によって余計なことを一言ずつ付け加えて、最近読んだ記録を残しておくことにする。 +        +        + 『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』 ウンベルト・エーコ/ジャン=クロード・カリエール  言わずと知れた『薔薇の名前』の著者で記号学者

読書記録(?) 『味噌汁は朝のブルース』 片岡義男

 ここ20年、新しい音楽はまったくと言い切れるほど聞いていない。  その点、小説はせっせと新しいものを読んでいるなあと気がついて、原点回帰というほど大げさではないけれど、片岡義男の小説を数冊まとめて読んでみようと思い立った。  我が家には著作のほぼすべてがどこからしらにあるはずなのだが、丁寧にしまい込みすぎて、家の中で行方不明になっている。  探し出す労力をかけるのも面倒で、まとめて図書館から借り出してきた。  片岡義男の初期の小説は、「小説」と聞いて思い浮かべるような起承

読書記録 『一人称単数』 村上春樹

 「正しい嘘のつき方」を教えてもらったのは大学生の頃のことだ。  教えてくれたのは常連客が毎夜溜まっている東京の片隅の小さなレストランだった。  今風に言えばカフェ・レストランとでもなるのだろうが、看板にはしっかりと「レストラン」と書かれていたし、毎夜集まってバーボンだのウオッカだのを飲んでは夜中まであれこれと喋っていたとはいえ、店主のSさんは「ウチはレストラン」と譲らなかった。  常連の一人だったU先生が教えてくれたのが「正しい嘘のつき方」だった。  U先生曰く「最も本当っ