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【クリエイティブとLIFE Vol.3】整骨院でVelladon&テンテンコが演奏?「施術×ライブイベント」を掲げた特殊企画、その意図を主催者に聞いてみた!

[クリエイティブとLIFE]Vo.3(特別編)
インディペンデントなアーティストが宇都宮に集結し、音楽マニアの間で話題となった『林整骨院音楽祭』。その主催者である林副院長が、「施術×ライブイベント」をテーマにした新たなイベントを立ち上げた。さらに今回は、これまでひとりですべてを仕切ってきた林副院長に加え、静岡在住の会社員・emi氏が参加し、ふたりの共催で行われる。果たしてどのような経緯でイベントが誕生したのか? その真意を林氏、emi氏のふたりに聞きました。(森樹)

主催の林氏とemi氏。


林整骨院音楽祭と、林氏についてはこれまでのインタビューもどうぞ!
↓2017年のインタビューと音楽祭紹介↓
https://note.mu/itsuki_mori/n/nd0638c3ceb85
↓2018年のインタビュー(with池永正二)と音楽祭紹介↓
https://note.mu/itsuki_mori/n/na2dccba2325b
今回のイベント
http://uroros.net/eventnews/99079/
林整骨院とは
http://hayashi-seikotsuin.net/
栃木県真岡市にある整骨院。無類の音楽好きである副院長の林氏が、音楽イベントを定期的に開催している。ライブハウスで開催するのが『音楽祭』、整骨院内で開催するのが『音楽会』で、今回は『音楽会』の新機軸イベント「施術×ライブイベント」の一環である。無印良品が手掛けたおしゃれな院には、おむつ替えスペースがあるほか、施術中の無料託児サービスなども用意。子供連れのお父さんお母さんにも大変優しい場所となっているのが特徴。ちなみに院長(副院長の父)は柔道5段。

2019年、新たに掲げた「施術×ライブイベント」


2017年、2018年の2年間、宇都宮HEAVEN'S ROCK 宇都宮 VJ-2で開催された『林整骨院音楽祭』、そして整骨院内で行われる『林整骨院音楽会』を主催する林世詩成氏。彼が2019年、新たに仕掛けたのが「施術×ライブイベント」というフォーマットだ。これまで裏方として制作業務に徹していた林氏が、パフォーマーと共に施術者として舞台に立ち、来場者へのマッサージを行うこの企画(マッサージは予約制)。初回となった「GOTO×オータケコーハン」とのイベントでは、ドラム、ギター、サンプラーを縦横無尽に駆使したふたりの即興演奏をバックに、林氏が体験者の状態を見つつマッサージを行ったほか、なぜか筋肉のひとつひとつを読み上げていくアンビエントな朗読も披露。整骨院内は摩訶不思議な癒し空間が漂った。そこで手応えを得た彼は今、ライブハウスを使った大きなイベントではなく、身近な輪を広げることに興味が向いているという。

「ヘブンズロックで『音楽祭』を2度開催したことで、自分の中に満たされた気持ちが生まれたんです。大好きな「あら恋」(あらかじめ決められた恋人たちへ)を地元で観る、という夢も実現しましたし、子供たちもそれなりに大きくなって、フェスにも連れていけるようになって。その中で、自分がやりたいこと、できることって何なのか、見つめ直したんです」(林)

2018年『林整骨院音楽祭』より。あら恋のライブを最前で楽しむのは、林副院長。本人曰く「号泣していました」とのこと。

個人でのイベント制作には、多岐にわたる調整が伴う。本業と並行してそれをたったひとりでやり切るには、それなりのモチベーションが必要だ。また、やるからには自分の中での目標も必要――そこで林氏が出した結論は、『音楽祭』と並行して続けている『音楽会』の充実であった。

「『音楽祭』と並行してやっていた整骨院内での『音楽会』は、子供連れの方がすごく多かったんですよ。特に、見汐麻衣さんと三輪二郎さんのツーマンでは、子連れの人の方が多かったくらいで。元々、『音楽祭』も子連れの方に来ていただきたくて昼帯でのイベントにしていたのですが、ライブハウスはやはりハードルが高いのを実感しました。だったら、自分の職場でもある整骨院内でのライブを充実させようと考えたんです」(林氏)

「施術×ライブイベント」の第一弾となった「あらかじめ健康的な音楽会」の様子(photo by 武田 政弘) GOTO×オータケコーハン×林氏の施術

『音楽会』より、三輪二郎のパフォーマンス。子供たちがそこにいる、その風景がイベントの何よりの魅力である(photo by 武田 政弘)

林整骨院でのイベント、初の共催

 そして「施術×ライブイベント」第2弾となるのが、11月3日に林整骨院内で開催される『There is no beginning or end』。これまでとは趣が異なるタイトルになっているのには理由がある。今回は林氏だけでなく、フライヤーやTシャツのデザインを手掛けるemi氏との共催イベントなのだ。emi氏もイベントを開催する立場になるのは初であり、今回は林氏とのSNS上のやり取りがきっかけで、整骨院内での開催となった。また、emi氏は静岡・伊豆在住ということで、まさにローカル(宇都宮)×ローカル(伊豆)で手を組んだことが今回のイベントのキモである。

「以前からVampillia(ヴァンピリア)のファンで、都内のライブにも足を運んでいたのですが、Vampilliaが出演するということで2017年の『林整骨院音楽祭』にも遊びに行ったんです。そこではじめて、林先生がひとりでイベントを主催したことを知って。自分も、いつかはライブイベントを主催したいと考えていたのですが、『音楽祭』もひとつのきっかけとなって、本格的にイベント開催へ向けて動き出しました。その結果、ようやく去年くらいから、具体的にイベントができるのではないかという確信が自分の中に持てるようになってきたんです。そのときにまず声を掛けようと考えていたのが、ソロとして活動をはじめたVelladonさんで」(emi)

emi氏。好きなバンドはVampillia、toe、ホテルニュートーキョー。

Tweetがつなげた、Velladonと林整骨院の縁

 VelladonはVampilliaの元メンバーであり、現在はソロアーティストとして活動を精力的に行っている。まるで日記を付けるかように創作活動を行い、驚異的なペースで楽曲をアップするVelladonの活動を追っていたemi氏は、「みんなが寝静まってもずっと音楽を演奏していたい」と彼がTwitterでつぶやいたことに反応。「そういうイベントを企画したい」という主旨のTweetをアップする。リプライではなく、あくまで個人のTweetとして行なったものであったが、そこに林氏がリプライを行い、今回のイベント開催へとつながるというSNS時代らしい発端があった。

「私のTweetを見た林先生が、『じゃあ、整骨院でやりましょうか』って、冗談っぽく返事をしてくれたんです。そしたらVelladonさんも『むしろ施術を受けながらライブをしたい』とリアクションをしてくれて。“こんなにあたたかい反応があるんなら、ここがチャンスかもしれない。すぐにやろう”と決心しました」(emi)

「僕はそのTweetを見て、単純におもしろそうと思いました。整骨院のイベント、すごくお客さんからもアーティストからも評判が良いんです。GOTOさんもオータケさんも“やりたい!”って言ってくださいましたし、過去に出演いただいた見汐(麻衣)さんや三輪(二郎)さんも、マッサージ好きらしくて、すごく楽しんでいただけました。だから、今回は新しい形ですが、『音楽会』のステップアップになるかなと」(林)

普段はメールを介してやり取りしているというふたり。アーティストブッキング、交渉は手分けして行なっているそう。

音楽家の名にふさわしい、Velladonの魅力

 
ヴィンセント・ギャロとのコラボや、ヴェネチアン・スネアズ&スピードランチの怪作『Making Orange Things』のリミックス、さらにThe Novembers・ケンゴマツモトと君島結によるユニット「When」での活動など、ソロを主軸にしつつも怒涛かつ多彩な創作を繰り広げているVelladon。その魅力を、ふたりはこう語る。

 「Velladonさんって、まさに“音楽家”という言葉がぴったりで。常に音楽を作っていないといられない人なんだなと思います」(林)

 「まさにそういう人なんですけど、音楽に依存しているということではなく、才能もものすごくある方なのは間違いないです。メンバーとして八面六臂の活躍だった前バンドでもその才能は輝いていたと思うのですが、ソロになってより解き放たれたというか、自由になった印象があります。あと、Velladonさんは即興が得意とおっしゃっていたので、そこも期待している部分ですね」(emi)

 「僕も即興を期待していますし、Velladonさんもこの日のためにいろんな仕込みをしてくれているみたいなんですね。なので主催側としては、Velladonさんが満足できる音の環境を整骨院内に用意できるか、不安なところもあります。前回のGOTOさんとオータケさんのときも、そのあたりは慎重に進めていったのですが、やはり機材面はわからないことが多くて。偶然、親戚に楽器屋の方がいるので、レクチャーを受けながら進めていますね」(林)

Velladon=1984年5月16日生まれ。Gebacondor Rec主宰。男性。 シンセサイザー、ガジェットマシン、ギター、ボーカル、ピアノ、コンピューター、 ユーロラックモジュラーシンセサイザー 、ストリングスなど数々の楽器を駆使して、音楽を構築していく(公式HPより)

Velladonから、本イベントへのコメントが到着!
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破骨細胞と骨芽細胞。
骨について学ぶと、日々生まれ変わる細胞の過剰な働きを意識することが出来ます。
破壊と創造を絶え間なく繰り返すなんて、まるで即興演奏みたいですね。
また、骨とその周囲は、膨大な量の神経と血管が詰まっているそうです。「複雑で精巧な骨のような音楽を即興で奏でる」
これが今回のテーマです。
今回のライブでは、4台のドラムマシンと4台のシンセサイザーを駆使して即興演奏を行います。
一般にドラムマシンには、16種類のサウンドが用意されています。
人体には全部で68個もの関節があります。
(16 x 4) + 4 = 68
なんて素敵な偶然。
ぼくは、全神経、全細胞を総動員して、
68色の音関節をコントロールします。
ぼくの肉体(と心)が過剰に働いて出す音だから、
若返りも期待出来ますよ。
なんて。
ホネホネテクノで踊ろう!
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女性アーティストの視点を。
もうひとりのアクト「テンテンコ」

 Velladonのほか、もう一組、今回のイベントに出演するのがテンテンコだ。元BiSという経歴ながら、その後はノイズ~ニューウェーブに影響を受けたオルタナティブ/アヴァンギャルドな音楽性で活躍している彼女。タイプは異なるとはいえ、多作かつ場所を問わないスタンスはVelladonとも共通していると言える。彼女を呼んだのには、林氏のひとつの考えがあった。

 「テンテンコさんを呼びたいと言ったのは僕の方ですね。アイドルにはあまり詳しくないのですが、今年遊びにいったFFKT(惜しまれながら2018年に終了した野外フェス「TAICOCLUB」の後継イベント)で、テンテンコさんのライブを観て「こんなことをやってるんだ!」と衝撃を受けて。あと、FFKTの「女性のアーティストや海外のアーティストの割合を増やしていく」という理念にも影響を受けました。そういう意識は、規模はまったく違いますけど持っていたいと思っていて」(林)

 「林先生からそれを聞いて、私もすぐに面白いと思いました。テンコさんってオリジナルのCD-Rを出しているんですけど、もう50枚近くあるんですよ。そういう多作ですぐに世の中に問う部分もVelladonさんに共通するし、ふたりはお互い、グループに所属していた時代から交流があるとのことで」(emi)

 「テンテンコさんの出演もそうですが、イベント側にも女性というか、emiさんの視点があることってやっぱり大きいですね。これまでひとりでやっていたときとイベントに対するアプローチが確実に違っていて。全体のデザインもそうですし、イベントが持っている雰囲気も」(林)

テンテンコ=1990年8月27日生まれ。北海道出身。身長142cm。 2013年BiSに加入し、2014年の解散とともにフリーランスとして活動を始める。 2016年にTOY'S FACTORY / MIYA TERRACEとマネージメント契約。 「90年代からの日本の"インディー霊"を全て背負っているといっても過言ではない、ヴァリエーションに富んだアヴァンギャルド表現者」と人は彼女を評し、オーバーグランドとアンダーグランドを自由に行き来し、朝から真夜中まで型にはまらない聖域なき活動を行っている(公式HPより)

テンテンコから本イベントへのコメントが到着!
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私たち人間、に限らず哺乳類達は、
骨格となる"骨"に形付けられていて、
その周りに血管や神経、そして肉、皮膚がくっついてきて完成されていますよね。

確かに私が作る音楽も、そんな側面があるな〜と考えさせられるのですが、
やっぱり重要だなと思うのは、
一番太いキックの音を中心としたリズムに、
ベース音といった、いわゆる"骨格"となる部分!
まずそこがあってから、色付けや飾り付けとなる音たちを配置していきます。
そうして、一つの曲が出来上がるのかな。

でも音楽の面白いところは、そんなことを全て無視して、"音"があれば、いや、もはや"音"すらなくても、それが音楽となるところ!!!

じゃあ、私たちも肉体から抜け出した"私"になることができるのかな。
もともと私たちは波間に生まれた泡の粒だったはず...。

林整骨院さんでのライブは、骨格を意識しながら、骨格からも抜け出す方法を考えていきたいと思っています!

身体の中から響くような、強く暖かい音を出したい...!


ふたりだからこそできる役割分担

 Velladonとテンテンコという、趣の異なる電子音楽家が競演するのもポイントのひとつだが、やはり整骨院という環境、そして音楽の波動を感じながら林氏の施術を受けられるというのも大きな特徴である。

 「地方でなかなか見られない組み合わせだと思いますが、それだけにしたくない気持ちはありますね。治療行為は、僕が身につけている技術なので、栃木の整骨院まで来てくださった方々に提供できるのは個人的にも嬉しいことです。また、これは現実的な話ですが、ドリンクの提供も特にしていないので、お客さんの満足度を高めることができるサービスとしては一番かなと。それが結果的にイベントの継続に繋がればと考えています」(林)

 一方で、emi氏は高校~大学で美術や服飾を学んでいたこともあり、フライヤーやTシャツのデザインを担当。整骨院の環境整備や当日の施術・送迎を担う林氏を支えるべく、奔走している。

「整骨院の環境整備や当日の送迎などは林さんの担当で、私はフライヤーやTシャツのデザイン、プロモーションなどを担当している形ですね。私は学生時代にデザイン関係の勉強をずっとしてきて、過去にそういう仕事についたこともありました。でも、様々な事情から辞めてしまったこともあり、それが少しコンプレックスになっていたんです。でも、今回いろいろとデザイン面でご協力できたことで、それが解消されたというか、自分のパーソナリティーが活かせる機会ができたことがすごく嬉しいですね」(emi)

↑すでに販売されているイベントTシャツ。今回のキービジュアルが使われている。骨と花がモチーフにされたクールなデザイン。

ローカルと音楽、その意義の拡大を目指して

 ライブハウスで2度にわたりイベントを開催したことで、『音楽会』の充実と継続をチョイスした林氏。一方で今回が初めてのイベント制作となるemi氏は、2017年の『音楽祭』への参加を機に単独でのイベント開催をひとつの目標に定め、現在も邁進している。最終目標は、地元・伊豆で大規模な音楽イベントを開催すること。林氏が宇都宮から発信した音楽が、また別のローカルへと波及していく。その「ゼロ」から「1」への広がりこそ、大きなムーブメントの基礎になるとも言えるだろう。

 「ノウハウもないし同じようなことをやっている人もいない中、とにかく大きくやらないと次がないと考えて2017年の『音楽祭』を開催したんです。その『音楽祭』にわざわざ静岡から足を運んで来てくれたemiさんが、こうしてイベントを共催することになった状況に驚いています。それは本当に想像できなかったし、感慨深いものがありますね」(林)

 「ゆくゆくは地元の伊豆で音楽フェスを開催したいなと思っているんです。そこに向けて手探りでいろんな計画を立てていた段階で、今回は運良く林先生の土台にのっけてもらって。この制作でいろんなことを学ばせてもらって、その経験を基に都内でもイベントを開催したいと思っています。ひとつの目標である伊豆のフェスが開催できることになったら、林先生には真っ先に声を掛けて、アーティストのマッサージをお願いしたいと思っています(笑)」(emi)

 「施術担当がファーストラインナップということで(笑)。ぜひ伊豆のフェスにも呼んでもらえるように、今回も施術をがんばります!」(林)

イベント概要
タイトル : There is no beginning or end
開催日時 : 2019年11月3日(日)
open 13:00 / start 14:00
開催場所 : 林整骨院
(栃木県真岡市熊倉町4802-12)
料金 : 施術あり 5,000円 (10組限定)/施術なし 3,000円
高校生まで施術なし無料(施術あり2,000円)
JR石橋駅より往復送迎500円
※無料駐車場10台あり
※駐車場利用及び送迎はSNSにて要予約
アクト : Velladonテンテンコ
WEBサイト : http://hayashi-seikotsuin.net
twitter : https://twitter.com/hayashimokacity
facebook : https://www.facebook.com/hayashi.mokacity/

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編集者/ライター森樹 batbeats.k@gmail.com 執筆:Quick Japan/SAVVY/Meets Regionnal/MUSIC MAGAZINE/Quick Japan Web/OTOTOY etc...

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