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第42回(令和5年度)食品ヒット大賞レビュー【後編】

そんなわけで食品ヒット大賞レビュー後編です!

あ、これもPR記事ってことにしておきます!
自社製品が入ってたらPRになってしまうのでPR記事と言っているだけで、自社製品が入ってても入ってなくても単なるレビュー記事でしかないです!
本当に自社製品が入ってるかは言いません! カモフラやで!

前編はこちら!

よっしゃサクサクいくぞー!


11.アサヒスーパードライ ドライクリスタル

個人的には今年一番気に入った商品だったりする。

透明感、は便利な言葉。あとで水グミでも出てくる。

実は僕は、普段の夕食ではほぼノンアルビールを飲みます。理由としては、
「お酒を特に飲みたいわけでもないけど、炭酸は欲しい」
だったりするのですが。

でもまぁ、たまにアルコールを入れたいなと思うときに、ビールほど重くなくノンアルではないもの、だとここが刺さるんですよね。

飲み口は低アルコールだけに軽く、スーパードライらしいキレもあって好きです。
ただ、発売当初めっちゃ売れてたので売れてるんだろうなと思ったら、どうも初動の後がよろしくないみたいで。消えないでほしいと願うばかり。

「颯」にもあったTI法のグラフ。
最近アサヒはTI法大好きなので、スーパードライやドライクリスタルにも出てくる。
なおグラフの落ちは遅ければ「深い余韻」、速ければ「キレ」と書けるので大変便利。

アサヒはストロング系やらない宣言(まぁ、ストロング系元々強くなかったからってのも大きいのだろうけど)とかして、ビアリーみたいな商品を出してたり、「スマドリ」なんて言葉を作ったりで、低アルコール路線にシフトしている感はありますね。同業他社とは別のポジションを取り始めた気がします。今後に注目。


12.サッポロ ニッポンのシン・レモンサワー

レモンサワーは5年くらい前からずっと根強く市場が形成された感があります。どのメーカーも趣向を凝らしたレモンサワーを出してきていますよね。日本コカ・コーラが「檸檬堂」なんかを出してたりするわけで。

さて、サッポロはやっぱりポッカレモンのポッカがグループにいるわけで、レモンサワーというカテゴリでは頑張らなければいけない、という空気がおそらく社内にあったのではないのでしょうか(未検証)。
弊社ならそういうのめっちゃ言われる。

そりゃ迷うくらい商品出てるからねぇ……。

そんなわけで「レモンマイスター」と作ったレモンサワーとのことですが、個人的にこれはパッケージの勝利だと思ってます。視認性が良いのと、他のレモンサワーと一線を画してるんですよね。

同じサッポロの「濃いめのレモンサワー」、サントリーの「こだわり酒場のレモンサワー」やキリンの「麒麟特製」とかもそうですけど、なんか字体が堅いじゃないですか。それがシン・レモンサワーはなんかカクカクしている。で、色合いもベージュでなんか一見レモンサワーっぽくない。でも、なんか手に取りたくなるデザインしてるんですよね。
専門家の方がいたら解説してほしいなぁ。

味は文句なく美味しいですが、レモンサワーは正直並べて飲み比べないと僕は区別がつけられない自信があります(良くない)。でもあえて指名買いをするのであれば檸檬堂かこれかな、という気がしています。パッケージで。

13.サントリー生ビール

サントリーは緩急の使い分けがすごいよね……。

さっきのシン・レモンサワーとは逆方向で、捻りすぎないネーミングはやっぱり強かったりしますよね。「ザ★®チャーハン」とかもそうだけどさ。
そういう意味で「サントリー生ビール」。直球160km/hど真ん中みたいなネーミング。

既に「プレミアムモルツ」という確固たるラインがある中で、もう一ライン持ってくるのはこういう方向性なんだなぁ、など。

フォロワーさんにビールのプロフェッショナルの方いっぱいいるので、僕みたいな加工食品マンが語るのは大変おこがましいのです……。
なので以下は完全に僕の感想ですが、プレモルって香りが強いというか、アロマを味わう感があるんですよね。それに対してこちらは飲みやすさとコクがあるようなビールかなと。

しかし、ビールって難しいカテゴリですね……前回緑茶が死のグループと表現しましたが、ビールも思いっきりそれを戦ってますよね。
お酒の世界は奥が深い。


14.ジャックダニエル&コカ・コーラ

これは素直に面白い取り組みだと思いました。ジャックダニエルとコーラの融合、しかもオフィシャルで。

「RTD(Ready To Drink)」という言葉は割と業界では定着している中、酎ハイやハイボールが大体一巡したかなというところで飛んできた商品です。

RTD商品ってどうしても果実の種類かお酒の酒類の方向に行くんですが、コーラって完全に一つのフレーバーだよな、と。
その使い方の極致みたいな商品です。
これ、コカ・コーラだからいいんだよなぁ。

ジャックダニエルも結構香りが華やかで特徴的なウイスキーですが、コーラのフレーバーが相乗効果をもたらしていて、さすがオフィシャルの組み合わせだなと思いました。

この製品、日本だけでなく世界展開らしく、やはりコカ・コーラになるとスケールが違うなと思います。世界の本気の「ジャックコーク」、味わえるのは幸せなことですね。


15.白チャーハン

僕が言うまでもなく、「ザ★®チャーハン」の対極に置いてきた商品ですね。

ザ★®チャーハンってあちこちで記事がある通り、ターゲットが「家族向け」ではなく「男性向け」なんですよね。

だからかなりにんにくとかうま味がガツンと来る一方で、結構しょっぱいなというのも正直なところあります(もちろん、狙ってそういう設計にしているのは理解しております)。

ただ、これだけ売れたなら「家族向けもやってみてぇなぁ」と思うのは仕方ないところであります。
となると、減塩で行こう。味は薄めになるから、混同しないように対極の白でいこう。商品特徴デカデカと書いたあのパッケージは継続で、量は女性が食べることを踏まえて少し減らしとこう…

…というのは完全に僕の妄想ですが、そんな感じの味に仕上がってます。
コクは大事にしたかったんだろうなというのが見えて、塩気の割にコクはしっかりしてます。塩分控えめの分物足りないと思うかもしれませんが、家族向けならこんな感じになるかなと。

対抗はニチレイの本格炒め炒飯になると思うのですが、色合いとかパッケージもそことはうまく差別化できてると思います。今後の展開ははてさて。


16.スジャータ ざくろ100%

……ごめん! これだけは試してないので商品のレビューなしです。
てか売ってないのよ周りで。ほんとに。なんでやねん。

(3/7追記)飲みました! 3/5に買ってあるのに3/7まで試すのが伸びたのは、一人で飲む勇気がなかったからだよ!

この記事書いてから4件目のスーパーで遭遇しました。迷わずゲット。
ちょっとテンションが高くなってしまったのに62個もいいねありがとうございますほんとに……。

さてまぁ、「エラグ酸」とか「ポリフェノール1,320mg」とか。
なんでしょうね、世の中の人は「ポリフェノールたくさん入ってるの、健康に良さげ~」と思うんでしょうか。
僕が飲む前に思った率直な感想は「ウワァ絶対渋い奴じゃん」でした。

ポリフェノールって渋くて苦いんですよ。基本的に。

植物は基本的に動けません。動けないから日光からの紫外線による酸化ストレスをモロに受けます。なので、酸化はもう受けることを前提として、ポリフェノールみたいな抗酸化物質で対抗するわけですね。なので、命の源となる種はガッチガチに守るためだと思いますが、ポリフェノールがメチャクチャ入ってます。だから苦い。

このヂュース、ご丁寧に「種ごとしぼった」と書いてます。

心の声

そんなわけで、なかなか手つかずにいましたが、普段からざくろイーターの奥様が飲んでくれるというので一緒に分け分けしました。

「(序盤)ん、そんなに苦くない、甘い……? (中盤)いや、渋々々! (終盤)……あ、でも後味はそこまで尾を引かないかも……?」

みたいな感じでした。まぁ、渋いは渋いけど、ざくろの種をそのまま食べるともっと渋味・苦味が尾を引くらしく(奥様談)、これはよく出来ている商品なのだそうです。
でも濃いなぁと思うし、僕は苦渋いと思うので、何かで割るのもいいかもです。炭酸水とかだとスッキリするかも。

ただ、伊藤園とかのざくろドリンクは見るので、ざくろ自体はちょっと来つつあるのかな? と思ったりします。
アサイーが流行ったときは裏にフルッタフルッタがいたけど、ざくろって誰か持ちまわってるの??

軽く調べた感じだと、エラグ酸の美白効果(があると言われているようですが、ちゃんと僕は調べてないので話半分に)が少しウケがよい感じみたいですね。
ビタミンCのサプリとか化粧品も今少し流行っているようですが、コロナ明けで外に出るようになったので、美白効果への訴求も上がってるのかもしれません。

しかしヒット商品に輝いたというのに、特設ページがないのです。これ。
多分今回の特集ではこの商品だけです。なんか製法とか特殊なことしてないのかなぁ、気になる……。


17.香ばし麺の五目あんかけ焼そば

昨年は冷やし中華が優秀ヒット賞に輝いたニチレイ、今年は「香ばし麺の五目あんかけ焼そば」が優秀ヒット賞です。

冷凍食品はホントここ数年でまた次のステージに来たというか、麺類のレベルアップは本当に著しい。前はパスタかうどんくらいかな……って感じだったのが、ラーメンももうそのレベルですね。

直接開発に携わったことはないのですが、レンジ商品って超開発難しそうなのよ。だってまだ古いレンジだとターンテーブルだしさ、マイクロ波のかかり方も上からだったり下からだったりするしさ、出力同じワット数でも全然メーカーによって出来上がり違うしさ。そんなん網羅できんわって感じ。

話は戻ってこちら。面白いのはちゃんと炒めてから凍らせてるのよねこれ。ラインに1つ焼く工程入れたっていうことなので、想像するだに大変だなぁ……と思います。レンチン時もメイラード反応起こすような感じにしてるのかな。ちょっとわからん。

香福幸福。スポーツチームのスローガンみたいだな。

あんかけ焼きそばの冷凍食品は今までもあったので、明確な違いとしてはこの「香ばし麺」の部分なのですが、まぁやっぱ焦げたらうまいよ。
日本人はちょっと焦げ感あるのが好きだという話もありますしね。これはちょっと眉唾物なんですが。

ただこの「炒めて凍らせる」という設備投資を伴う話、他社からするとやたら参入しにくいっす。ほんとに、食品みたいな単価の安い商材だと、設備こそ最大の参入障壁ですよ……。


18.ピルクル ミラクルケア

2年前「ヤクルト1000」が切り開いた乳酸菌による睡眠ケア市場。アサヒの生ジョッキ缶がなければあれは大賞だったのでは……と思うほど品薄でした。今も引き続きかなり売れているようです。

しかし、ヤクルトは何と言っても高い!
というかノーマルのヤクルトも高い! おのれガゼイ・シロタ株!

そんな土壌があれば他社参入するのが世の定め。今年の優秀ヒット賞は「ピルクル ミラクルケア」でした。機能はもちろん睡眠ケア。

「日常生活の疲労感を軽減」は乳酸菌飲料では初のクレームらしい。

何がいいって、安いのよ。そして公式が安いと開き直る潔さ。
このマーケティングは日清の血を感じる。

睡眠、皆さん悩んでおられますね。我が家も奥様は眠りが浅い方なので、ずっとミラクルケアを常飲されております。やっぱ常飲しようと思うとある程度価格は安くないと厳しいんですよね。サブスクみたいなもんなので。

味はまぁ、ちょっと普通のピルクルとは違う……かな? くらいで、そこはまぁ菌株がちょっと違うからなんでしょうくらいで普通の乳酸菌飲料の味です。

ミラクルケアは多分6本入りなので、1本や3本入りのヤクルト1000よりお店に並んでありやすかったというのも良かったと思います。買いたいときに置いてあることって、かなり重要ですよね。


19.モーニングサーブ

これは一回つぶやいたことがありました。

もうこのツイートで書いちゃったのが全てなんですけど、「あー、こういうの欲しかったかも」ってなる商品なんですよね。ありそうなんだけどなかった商品ってこういうのを指すと思うので、食べたことない方はぜひ。

調理も焼いても美味しいし、時間なければレンジでも良いのが良い。ちょっとスパイスが強めで塩気も強いので小さいお子さんには数を絞った方が良いかもですが。あと新庄監督の主張が強すぎるのは、これは訴求力あるんかなぁ。新ジョーシキ。

ちなみにモーニングサーブ、実は以前終売しているんですよね。なんでまた復活させたのかはわかりませんが、その間にあったのはシャウエッセンの電子レンジ解禁宣言でしょうか。
レンチンできる肉シリーズということでモーニングサーブなのか。あるいはがっちりマンデーで見た「ふんわり仕上がる製法」の技術が消費者にとって価値になったのか。

真相は社員の方しかわかりませんが、温故知新は大事なのだなぁと思わされる商品でした。


20.torochi(トロチ) モッツァレラチーズ入り

チーズソース系商品、地味に各社コツコツ出してきておりますが今のところ先行しているのがtorochiということなのでしょう。

「いろいろ使える」にこれほど説得力のある商品もない。良い。

このジャンル、初めて認識したのはハウスの「まぜのびチーズソースの素」なんですけど、これ面白い商品だなと思う一方で、お湯入れなきゃいけないのはやっぱ面倒だったんですよね。
あとまぁ、こういうのはやっぱり乳業メーカーが作るともっと美味しくはなるのかな……と思わなくもなかったりで。

そこに出てきたのがtorochiです。冷蔵庫にパウチを入れておいて、出してかけるだけ。イージィー。
伸びるというよりは、やっぱりかなり液感はありますけどね。

ちょっと思うのは、明治も森永も多分業務用ではチーズソースってカテゴリとして持ってると思うんですけど、出してこないのかな、とか。

調べたら3/1からリニューアルがかかったようで、雪メグはちょっと力を入れ始めたようです。売れてからリニューアルかけるの、食品メーカーあるあるですが、お客様に当たってはメーカーが本気になった証(あるいは、追い込まれた証)だと思ってください。

21.無限のり

来た! 買った! 食った!

揚一番は子供の頃すごく好きで、あれがあると喜んでいたのですが、ちょっと自信ないけど形一緒では……?
ただ揚一番ほど固くない。

「のり感強かったらやだなぁ(好みの問題)」と思っていたのですが、意外にのり感より塩気の方が強めで、僕としてはわりと美味しくサクサクいただけました。うん、これ結構尾を引く感じかもしれない。

ただ思うのは、こういうのもヒットする土壌があるんだなぁ……というか、ちょっとずらしてるけど煎餅は煎餅なんですよね。いや、嫌いじゃない。おいしい。揚一番もいまだに貰ったらちょっと嬉しい。くれ。

こっから余談ですけど、亀田製菓の現社長は元ロート製薬、その前太陽化学にいたジュネジャさんというインド出身の方です。一族経営が跋扈する食品メーカーにおいて、外国人の方が社長になってる会社って大変珍しいので、新潟の地から新たな旋風を巻き起こしてくれることを期待しています。


22.水グミ

水で、グミ。水グミ。

コムドット! コムドットじゃないか!

もう、コンセプトとネーミングの勝利だと思います。水グミ。
これ、夏に売ってたら絶対手を出すでしょうと思ったもん。案の定僕より奥様が先に買ってた。お菓子貯蔵庫に3つくらい積まれてた。

グミはこの人口減少社会に入った日本において右肩上がり↑↑を実現できている数少ないカテゴリーで、各社もう力の入り具合がすごいです。嗜好性の強いカテゴリーなので、次から次へと色んな商品出てきますよね。

たぶん、こういうクリアなグミを作ることって技術的にはそんなに難しそうじゃないというか、何となく僕は製法のイメージも沸いちゃうのですが、それを水グミと表現したのはもうコンセプトとネーミングの勝利だと思います。

味は普通のグミです。でも透明感があると言われると透明な気がする。
鼻をつまんで食べると多分透明になる(邪悪な提案)。


23.ザクザクやみつきクランキー

「え、クランキーって元々ザクザクじゃね?」と思った方、正解です。
ただ、こちらのザクザクやみつきクランキーは板チョコではなく、パフなんですね。

↑この形だよ↑

なんていうか、それ以上でもそれ以下でもないからこれ本当にコメントに困るやつなんですよ……。
味は想像通りの味です。
いろいろな食感があってザクザク楽しいやつです。
上司から「これ明日の朝までにやっておいてね」と夕方16時に投げられた資料の作成も、こいつが空になるまでは頑張れるような、そんな商品です。1本50kcal、18本で900kcal。体重計よ消えよ。

本当にコメントに悩んでるのが伝わってくるかと思うのですが……ちゃんと把握してるわけではないので本当に憶測なんだけど、意外にこのサイズのパフ系で食感があるものってなかったのかなぁ、とか。
一口ルマンドとかもそうですけど、ああいう一口二口で食べられて食感に変化があるもの、ちょっと求められてる気がしますね。時代的に。


以上!
手を出してしまったのが結構失敗だったかもしれないと思いましたが何とか完走しました!
ロングセラー賞は書かねえぞ!!

……誰か新技術・食品開発賞の解説書いてください笑


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