いつき@食品メーカーの中の人

食品メーカーに勤めています。noteはXのまとめやXで書くにはキャッチーではないキャリ…

いつき@食品メーカーの中の人

食品メーカーに勤めています。noteはXのまとめやXで書くにはキャッチーではないキャリアの話や価値観の話、日々の思索をつづっていきたいと思います。Amazonのアソシエイトとして、当アカウントは適格販売により収入を得ています。

マガジン

最近の記事

  • 固定された記事

ヤマサとキッコーマンの醤油商品の事例から、食品における容器・包材の重要さについて語ろう。

 醤油のパラダイムシフトが起こったヤマサとキッコーマンの事例から、食品における容器・包材の重要さについて語ろう。  2010年に、醤油にとって大きなパラダイムシフトが起こった。  ヤマサが発売した「鮮度の一滴」という商品の全国発売である。発売自体はその前年からエリア限定で行っていたが、評判が良くて全国展開になった。  評判が良いのも無理はない。実際に僕も初めて食べた時はそれはもう驚いたものだ。 「あれ、醤油ってこんなに明るい色で、香り高いものなの?」と。  30代以上

    • 食品表示から配合を推測してみる試み

       ハローボンジュール、いつきさんです。  実はこんな依頼をXでいただいておりました。2月に。本当に遅くなってごめんなさい……。  だいぶご依頼から間が空いてしまったのですが💦、ただざっくり返すだけだとつまんないかなーと。  せっかくなので僕がどんな風に食品表示を見てるのかというところを、消費者の皆様にも知ってもらうと面白いのかもというところで、じっくり記事にしてみようと思った次第です。  とはいえあまりこういうのやったことないので、見方は特殊かもしれません。一般的に食

      • 食品における消泡剤の必要性について語ろう

        先日シリコーン樹脂が少し話題になっておりました。 シリコーン樹脂ですが、用途としては消泡剤として使われます。消泡剤とは文字通り、泡を消すために使う食品添加物です。 正直気持ちはわかる気もするのです。「シリコーン樹脂」、字面だけならシリコンのペコペコの容器とか想像しますよね。タイヤの原料の天然ゴムは炭化水素鎖で出来ているので、シリコンも関係ないんですけどね(嫌われる言い回し)。 シリコンとシリコーンの違いは信越シリコーンさんのページが分かりやすいので貼っておきます。ケイ素

        • 第42回(令和5年度)食品ヒット大賞レビュー【後編】

          そんなわけで食品ヒット大賞レビュー後編です! あ、これもPR記事ってことにしておきます! 自社製品が入ってたらPRになってしまうのでPR記事と言っているだけで、自社製品が入ってても入ってなくても単なるレビュー記事でしかないです! 本当に自社製品が入ってるかは言いません! カモフラやで! 前編はこちら! よっしゃサクサクいくぞー! 11.アサヒスーパードライ ドライクリスタル 個人的には今年一番気に入った商品だったりする。 実は僕は、普段の夕食ではほぼノンアルビール

        • 固定された記事

        ヤマサとキッコーマンの醤油商品の事例から、食品における容器・包材の重要さについて語ろう。

        マガジン

        • 食品について語ろう
          9本

        記事

          第42回(令和5年度)食品ヒット大賞レビュー【前編】

          【はじめに】 さすがにこれだけ紹介する商品が多いと、自社商品を紹介している可能性があるので、この手のレビュー記事はPR記事ということにします。 商品画像は各社HPから引用しております。 では本題。 君は食品ヒット大賞を知っているか!? はい。食品業界の皆様しかあまり関心を持っていない、その年のヒット商品を表彰する会です。主催は日本食糧新聞社で、毎回ホテルニューオータニで派手な表彰式、もとい経営者の集いが行われています。 今回は、そんな食品ヒット大賞・優秀ヒット賞の受賞

          第42回(令和5年度)食品ヒット大賞レビュー【前編】

          「食べるラー油」の事例から、ヒット商品の難しさと食品開発の醍醐味を語ろう。

           桃屋から「辛そうで辛くない 少し辛いラー油」が発売されたのは2009年のことだった。  ちなみにこの商品が発売された背景に、その前から「沖縄系ラー油」と呼ばれた「具材入りラー油」が少しずつ広がりかけていたということがある。  しかし、この商品が日本全国にもたらした爆発はその比ではなかった。  僕は、初めて食べた時の衝撃を今でも覚えている。  ラー油ってそれまで餃子食べるときにしか使ったことがなかったのよね。  でもこれは、食べた瞬間に新ジャンルだと思った。  ザクザ

          「食べるラー油」の事例から、ヒット商品の難しさと食品開発の醍醐味を語ろう。

          自己紹介とサイトマップ

           25本目の記事にして、ようやくはじめまして。  食品メーカーに勤めているイツキといいます。  食品メーカーに入社して10年以上が経過しました。研究開発をメインに仕事をしてきて、今は企画系の仕事をしています。  Xをメインに活動していますが、noteではXで書いたまとめや、Xではなかなか説明しにくい食品の面白いトピックなどを、技術・市場・マーケティングなど、色々な形で切り取ってご紹介できればと思います。  だいたいの記事が4,000~5,000文字くらいと多めです。  読み

          自己紹介とサイトマップ

          糖度と甘味は全然別物だって話

           スーパーの果物コーナーとかでよく見る「糖度」と「甘味」は全然別物だって話をしよう。  まず個人的な想いなんだけど、糖度っていうのは言葉が先行しすぎてしまった悪い例だよなと思っている。  というのは、糖度って別に砂糖の量を指しているわけではないからなんだ。  糖度を測るのには糖度計という機器を使う。  例えば果物の糖度を測定するとき、果汁を絞って糖度計で測定したりする。そうすると数字が出てくるんだけど、これは果たして何を示しているのか。  答えは、光の屈折率。  超ざ

          糖度と甘味は全然別物だって話

          家庭用パスタの歴史から、食品メーカーの時短・簡便ニーズへの対応を語ろう

           家庭用パスタ周りの歴史を振り返りながら、食品メーカーの時短・簡便ニーズへの対応について語ろう。  なお、ここでの「パスタ」はいわゆるスパゲッティの話に限定します。文字数の問題です。  さて、これを書くにあたって「好きな麺ランキング」でパッと検索してみたけど、パスタってかなり上位なのよね。 アンケートをとった媒体にもよるけど、大体1〜4位のどれか。特に女性だと1,2位争い。  そんな日本国民に愛されているパスタ、日本で家庭で食べられるようになったのは1950年代のこと。他

          家庭用パスタの歴史から、食品メーカーの時短・簡便ニーズへの対応を語ろう

          【新生活セール版】Amazonセールで買うべきアイテムのご提案

           えるしっているか  あまぞんのつぎのおおきなせーるは7がつまでない  大きいセールではないのですが、新生活セールに合わせて正月セールの記事をリライトしました。  少しだけ品数追加と情報のアップデートをしています。  3/5までです。短い!  今回のセールでは ・Amazon Music Unlimitedが3ヵ月無料(まぁでも、よくやる) ・本のまとめ買いセール(これはお得!)  ↑の2つは新生活セールにはなさそうです。 「安くなっているものは安くなっている」くらいの気

          【新生活セール版】Amazonセールで買うべきアイテムのご提案

          2024年に消化したい積読本

           本が読めなくなってきた。  昔から本が好きでした。それこそ、マンガも小説も隔たり無く読んできたつもりです。中高の時は、それこそ文庫本を1日1冊ペースで読んでいたのではないでしょうか。主にスレイヤーズとオーフェンが悪い。  それが社会人になって、家庭を持って子供も持ってになると、まぁ時間が取れない。通勤時間にちょこっとkindleで読むくらいになってしまいました。電車もそんなに乗ってる時間が長いわけではないし、何よりウマ娘という強敵がいるのです。あとX。SNSよくない。

          2024年に消化したい積読本

          2023年SNS戦略の振り返り

           今年5月、ゴールデンウィーク明けにちゃんとSNSをやろうと決めました。  元々Xもnoteも、このアカウントは3年前、研究所にいた頃から作っていたものでした。  プロフ絵なども作っていただいてそれなりに気合を入れて始めたけれども、当時は自分の投稿もレベルが低かったうえ、半年くらいで異動となり、研究とは全く畑の違う仕事になりました。こちらがまぁ激動で、しばらくSNSどころじゃないなーという感じで放置していたのですね。  そんなわけでしばらく遠ざかっていたのですが、仕事にも

          有料
          1,000

          【食品研究職向け】なんか新商品に他部署の人がノってくれない時のガイドライン【後編】

           後編です。前編はこちら。2ヵ月も空いてしまった……  前編では赤線の下から8つ紹介したので、続きから。 9.商品の市場性・展開の広がり ある商品を出したときに「これ、このシーンでしか使えないのでは……」と思われる商品は、なかなか提案として受け入れられにくいです。  というのも、販売する側としては 「売れなかったら終売するかもしれない」 →「終売すると代替品を提案しなければならない」  →「特化しすぎているだけに代替品も出せない……」  という地獄ループを想定してしまう

          【食品研究職向け】なんか新商品に他部署の人がノってくれない時のガイドライン【後編】

          界面活性剤と乳化剤、そして乳化について語ろう

           食品添加物の中でもなぜか嫌われるランキング上位の「乳化剤」について今回は語ろう。  思うに、乳化って一番理解出来ないから嫌われてるんじゃないのかなと思ってるんだよね(偏見)。よくある論調が↓に示すようなやつ。そこら辺のヤフー知恵袋から拾ってきた。  なんていうか、真実が2割くらい入ってるのがまたやらしいところ。  あ、8割は嘘なんですけど。  そんなわけでこのエントリでは、そもそも界面とは? 乳化剤とは? 乳化とは? というところを語っていきたいと思う。 ・そもそも

          界面活性剤と乳化剤、そして乳化について語ろう

          山崎製パンが爆ギレした件から、食品表示と食品添加物について語ろう。

           2019年、パンメーカーの最大手山崎製パン(以下「ヤマザキ」)から突如リリースが出され、食品業界の一部が騒然とした。  リリースのタイトルはこうだ。 『「イーストフード、乳化剤不使用」の強調表示について』  これは今でもヤマザキのトップページから読めるので、ぜひ一度覗いてみてほしい。詳細に読まなくても、熱量のエグさが伝わる。  背景から説明すると、ヤマザキってパン業界ではぶっちぎりのトップなんだよね。2位のフジパン、3位の敷島製パン(以下「パスコ」)でが3強なんだけど

          山崎製パンが爆ギレした件から、食品表示と食品添加物について語ろう。

          伝統食品でもまだまだ進化していることを、日本が誇るスーパープラントベースフード・豆腐を例にして語ろう。

          ※トップ画像は相模屋食料株式会社HPから引用しました。  伝統食品でもまだまだ進化していることを、日本が誇るスーパープラントベースフード・豆腐を例にして語ろう。  2012年、突如それは襲来した。まだ覚えている人も多いだろう、そう、「ザクとうふ」である。  ちなみに僕はガンダムは全然詳しくない。00しか見たことない。  ……ほんとだよ?  これを販売したのは今や年間400億円を売り上げるメーカーとなった相模屋食料。 最近だと、「ビヨンドとうふ」や「ひとり鍋シリーズ」と

          伝統食品でもまだまだ進化していることを、日本が誇るスーパープラントベースフード・豆腐を例にして語ろう。