イノシシが憑依する女

男性のいる場では話す事がタブーとされていた“月経”について、
近年徐々に公の場でも話題に上がるようになってきた気がする。
漫画 生理ちゃん は共感できる事が多く、
私も更新を楽しみにしている読者の一人だ。

私は、生理前になると自らの心音にさえ苛立つ期間が訪れる。
私はこれをイノシシモードと呼んでいる。

誰彼構わず怒りに任せて突進するようなイメージである。
イノシシモードに突入すると、
心のHPの減り方が尋常ではない。
常に何かに苛立ち、
終いには何に苛立っているのかもわからない状況に陥り、泣く。

働いている頃は毎月イノシシになっていたが、
訳あって働いていなかった数ヶ月間は
イノシシが私を蝕むことがなかった。
病的な気にしぃと、
あらゆる方面で不安を抱えていたストレスも
私をイノシシにさせる原因だったのかもしれない。

数ヶ月ぶりに社会復帰した先月から
明らかにホルモンバランスが崩れていた。
そして今月、久々にイノシシが私に憑依した。
今朝目覚めた瞬間から苛々が抑えられない。
カーテンからもれる朝日に苛々し、
涙でジワジワと視界がぼやける。
イノシシの朝は早い。

「イノシシさん、
 今日は仕事なので勘b『プギィィィィィッッッ!!!!!!』」

私は上司に休む事を伝えた。

今現在、薬を飲んでイノシシを眠らせた状態で
この文を綴っている。
どうか起きないでくれ。

月経前症候群(PMS)と呼ばれるこの症状を
男性に理解させる事はとても難しいと思う。
実際、私のイノシシモードのせいで
旦那とも度々喧嘩になった。

婦人科に相談し、
軽めの精神安定剤を処方された私は
イノシシが憑依してきたと気付いた瞬間に
精神安定剤という名の麻酔銃をイノシシに放ち、
なんとか眠らせている。
(一時的なのでいずれイノシシは目覚める)

この麻酔銃を手に入れてからは生活が明るくなった。
上手いことイノシシをコントロールし、イノシシ使いになれた。
なんだ、イノシシ使いって。

しかし、つい先程まで
センチメンタル・イノシシが憑依していた私は
「死にたい、どうして生きているんだろう、
無価値な自分が酸素を吸っていいのだろうか、
あぁ死にたい今すぐ死にたい誰か殺してくれ」
という気持ちが頭に渦巻き、泣いていた。
このセンチメンタル・イノシシがまともに憑依するのが
久々だったため、精神的にも身体的にもかなり堪えた。
麻酔銃のおかげで今は人間に戻れたが疲労感でいっぱいだ。
あぁ疲れた疲れた。

麻酔銃の効き目が切れて
またセンチメンタル・イノシシが夜に目覚めると、
再び絶望感に苛まれて
涙で眠れなくなってしまうので
ヤツが起きてくる前に私は寝る。
センチメンタル・イノシシよ、
お前は加藤ミリヤを聴いて眠っておけ。
インスタのストーリーに天井の写真と
ノミくらい大きさの文字でポエム載せるような
病んでるアピールだけはやめろよ、絶対。

これを読んで下さっている方、
まとまりのない文章で終わらせようとしていて
すみません。
読んで下さっている方の性別は問いません。
近くに苛立っている女性がいたら
イノシシが憑依している可能性が高いので
優しく見守って、
時には温かいお茶などを差し出してあげてください。
とにかく甘やかすのです。
イノシシが去ってからあなた様の気遣いと優しさが
人間の女性には必ず伝わると思います。

イノシシモードという言い方、
イノシシに対しても
女性に対しても
なんだかあまり良い表現ではない気もしてきた。

もののけ姫なんてどうでしょう。
ジブリに怒られてしまうか。
やめよう。
あ、伊之助モードとかは…?
いや、やめよう。
権利的な問題がチラつくから。

では、イノシシが起きる前に眠ります。
おやすみなさい。

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