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第十四章 「試練は強敵であるほど良い…」


「ねえ、私のどこが変わったか分かる?」

「んーーー、髪切った?」

「私のこと、いつも見てないの?」

「あーー!分かった分かった!髪色かえた!」

「あーもういいですいいです。
 どうせ私のことなんてどうでもいんでしょ。
 もういいです。死ねばいんでしょ。
 いてもいなくても変わらないんでしょ。
 はいはい。もういいです。死にます死にます」

「ごめんって〜!!冗談!ほら、冗談冗談!
 やだな〜本気にしたのー?いや困るな〜」



同棲してからは、
毎日こんな会話だった気がする


結局、変わっていたのは

「爪を切った」とか
「シャンプーを変えた」とかその程度の話だ。


いま思うと、あの同棲期間は
クソをするのと同じくらい無駄な時間だった


いや、過言ではない。





もはや

ずっとクソをしていた方が有意義だったような

そんな気さえしているくらいだ。


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夜逃げ計画が失敗におわった僕は

スタンド能力はおろか
生きる気力を保つので精一杯だった。

ここからは事の詳細を説明しよう。



ヤツは僕がアパホテルに避難してから


このままでは結婚できないと察したのだろう。




あろうことか、被害者面をし、
なんと自分の親に泣きついていたのだ。

信じられない。

泣きたいのはこっちだ。 


あたかも僕が彼女に結婚を申し込み

無理矢理、彼女を浜松に連れて来た挙句

私のことを捨てて別の女と遊んでいると

泣きながら吹き込んでいたのだ。


結婚すると説得されて

浜松にきたのに
あいつには初めから結婚する気なんてないと。


本当に、つくづくいい迷惑だ。

おまけに彼女には多額の借金まであるとなると


もう、いよいよ
ジョジョのテンションでは話せない。


どう考えてもオーバーパワー案件だ。



「あ、令和ってえげつない時代なんだな〜」


控えめに言って

当日のぼくは完全にはめられていた。

あればかりは完璧に詰みであった。 



ぼくが友達と外で飲んだくれているときに
向こうの親が手配した弁護士から電話がきて


「婚約者が不貞行為をすると
 賠償金が発生するのは認識されてますか?」

といきなり言われたりと、



ぼくが生きていたあの世界線は
完全に「地獄」で間違いはなかった。


こんなポップに話していられるのは


たぶん僕の頭のネジが足りていないだけで
常人であれば死んでいてもおかしくはないだろう


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「なんか弁護士から電話きたんだけど」

「は?知らないんだけど」

「なんか知らない男の子がインターホン押してるけど、知り合い?」

「は?出ないでくれる?関係なくない?」

「このゴムなに?」

「…知らないんだけど、浮気したの?最低!」


これを地獄と言わずして

いったい、何を地獄と呼ぶのだろうか?



ヤツは僕の携帯を煮付けておきながら

勤務先で他の男と浮気をしており

尚且つ、

謎に弁護士を雇って結婚詐欺として

僕からお金をむしり取ろうとしていたのだ。



吐き気を催す悪とは!!!

何も知らない無知なるものを利用することだ!

自分の利益だけのために利用することだッ!!




ヤツが何をやっているのか分からないだろうが

ぼくにも、ヤツの行動は理解不能だった。




ある日の夜
僕はヤツを問い詰めたことがあった


「浮気しているよね?」
「プロポーズとか婚約とかしてないよね?」
「あと弁護士は、あれは何の真似っこ?」
「さすがに別れようよ」


「…ウッ、、、WRYYYYYYYYY!!!」
「俺は人間を辞めるぞ!ジョジョーー!!!」


奇声と共に
3秒後には壁に穴があいていた。


ほらみろ。

これだからメンヘラのスタンド使いは。


これ以外にも、別日でまた破壊活動があり

メンヘラによる被害総額は17万円にも及んだ




いま振り返っても胃が痛む……



試練は強敵であるほど良い。

試練は流される血で終わる。

by      ファニー・ヴァレンタイン


ここから先は、僕が歩き出す物語だ。


肉体がという意味ではなく、

青春から大人という意味で。


僕はまだマイナスなんだ!!!!
ゼロに向かって生きたい!!!!!!


決着をつける権利は、
僕にだけあるッ…!!!!!


次回 「エンポリオ、会社を辞める」



…To be continued









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