私のファン、Kさん
舞台俳優として活動していた頃、ありがたいことに私にも「ファン」と呼ばれる方々がいて、力をもらっていた。
なかでも、私が10代の頃から応援してくださっていた方がいて、ずいぶん助けていただいた。仮にKさんとしよう。
Kさんは元々、私の師匠の劇団のファンで、そこに出演した私に目をつけていただいたのだった。以来、商業演劇から習い事の発表会(!)にいたるまで、足しげく劇場に通ってくださった。
私が上京してからは、時間の合う限り大阪から東京に来てくださり、観劇してくれた。
気の遠くなるほどたくさんの舞台を観ていらっしゃる方だったので、時に厳しいご意見をいただいたり、ごくたまーーーーに褒めてくださったり(笑)
とにかく、よく育てていただいた。
私が結婚してからも、時折ご連絡をいただいたり、偶然劇場でお会いしたりした。息子が生まれたときに少し連絡を取り合ったのだが、以来ずいぶんとご無沙汰してしまっていたのだった。
ある夜、ふと「そういえばKさんは元気かな?数年前にご病気されたと伺ったけど……」と思い出した。
Kさんは「観劇ブログ」を運営されていた。観劇した作品や読んだ本の感想を、率直なお言葉で綴られていたのだ。
そのサイトにアクセスしてみると、Kさんは2年前、お亡くなりになっていたことがわかった。
その事実を知って、しばし茫然とした。
まだ亡くなるようなご年齢じゃなかったはずなのに。ご家族の方が代筆されたというその記事に、詳しいことは書かれていなかった。でも、やはり病気が関係しているのかもしれない。
Kさんは、私がとある演劇の個人賞を3年連続で受賞したとき、楽屋口まで大きな花を届けてくださった。花を持って、座組の仲間たちのまんなかで嬉しそうに笑う私の写真は、今でも大切な思い出の品だ。
でも、私はKさんの人生についてほとんど知らない。一緒に食事をしたこともないし、じっくり話したこともない。もったいなかったな。
Kさんの人生は、どんなものだったんだろう。私などその片隅の、とるにたらないものだったかもしれない。でも、少しでもKさんに関われたことに感謝しています。
Kさん、ありがとうございました。
(Day.13)
▼昨日の記事。息子ってどんな子かな?▼
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