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必要のない

必要ないものを買う

日銭を稼いでは、
必要のないサブスクに加入し、
成分の知らない高いシャンプーとコンディショナーを買い、
時間を買う為に電車に乗る。

使わない調理器具を選別し、
この季節にしか着ないオシャレな服を、少し高くても買う。
他人より少しでもいい物を。

スタバで期間限定の飲み物を飲んでSNSに写真をアップしたり、
並んで流行りの遊園地に行ってみたり、
IKEAや北欧家具をカタログ買いしては、これじゃなかったと、
もう一度買い直したりする。

SNSに写真を上げるために生きる人生。
したくもない仕事を何時間も何日もして得たお金で、
わざわざ画面越しに写真を撮りに出かける。
自分の目で見るのは、ほんの数十秒だ。

限定と書かれただけの消費され尽くした大量生産品を手に入れては、
次の日にはスマホを眺めて自分は何が欲しいかと選び始める。

センスがいいものを。
色鮮やかで、
わかる人にはわかる上品さで、
美しいフォルム。
可愛く写り、
持っていることそのものがステータスで、
そんな加工品を買う。

経験を得ることではなく、
経験したという事実にお金を払い
消費することで満足する。
消費しなければ社会的には孤立しているからだ。

でも本当に欲しいものは、
見たいことは、
したいことは、
なんだったんだろう

明日、地球絶対破壊ミサイルが降ってきて、
天変地異が起こって、
地震が起こって、
その時にいつも通り暮らす人と友達になれるだろうか

映画、本、食事
メディア、レジャー、旅行
ハイブランド、

高貴な死
お金のかかった死に方

消費される性

淘汰される言葉

ゴミ箱に棄てられた賞味期限切れの高級菓子
冷蔵庫に詰められたご褒美の割高なドリンク

ドリップ式の珈琲
喫茶店
丁寧な接客
ドレスコード

品性

品性を
買う

必要のない
品性

欲しい
品性が欲しい

品性が欲しかったのだ

欲しいと言える人生が
欲しかったのだった

人に当たり前にある死や美しさを、 詩や文で紡いでいます。 サポートをしていただければ製作の糧になります。 是非よろしくお願いいたしますm(__)m