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【緊急】Twitter社の解雇・退職勧奨は違法なのか?―突然の解雇・退職勧奨への対応策

Twitter社の大量リストラ

テスラの創業者で知られるイーロン・マスク氏が、Twitter社を買収し、社員を大量解雇したとの報道がありました。

その後、上記のような「解雇」ではなく、「合意退職に向けた話し合い」であるとの情報もあります。

いずれにせよ、合意退職が成立しなければ、解雇をされるリスクな残ります。
この場合であっても、整理解雇をすることは許されるのでしょうか?

Q Twitter社は外資系企業なので日本の労働法は適用されない?

いいえ。日本の労働法が適用されます。

まず、①準拠法が指定されていない場合、契約時の「最密接関係地」の法律が適用されます(通則法12条3項)。
通常は、①ーⅰ「労働契約において労務を提供すべき地」が最密接関係地と推定されます(同2項)。①ーⅱ「労務を提供すべき地」が明らかでない場合は、「労働者を雇い入れた事業所の所在地」となります(同2項括弧書き)。

他方、②準拠法が指定されている場合もあります。
どの国の法律を適用するのかは契約書で自由に選べるところ(通則法7条)、労働契約でも選択した準拠法が尊重されます(12条1項)。
もっとも、労働者が㋐最密接関係地の法律の㋑強行法規(契約で変更できない法律の規制のこと)を適用すべき旨の意思を使用者に対し表示すれば、これが適用されることとなります。

①準拠法が指定されていない場合、Twitter社の従業員が日本法人の社屋で勤務しているならば、①ーⅰにより日本法が適用されます。他方、リモートワークの場合であっても、①ーⅱにより、日本法人で雇用されているならば、やはり日本法が適用されます。
他方、②準拠法が指定されている場合であっても、上記の通り、最密接関係地は日本法であるところ、労働法は㋑強行法規にあたりますから、結局のところ日本法が適用されるのです。

Q 日本の解雇規制に基づいても適法なのか?

違法となる可能性があります。

解雇は許されないのが原則

日本の労働法では、会社が一方的に従業員を解雇することは許されないのが原則です(労働契約法16条)。

(解雇)
第十六条
 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

労働契約法

労働契約が期間の定めがある場合(有期雇用)の場合、契約期間内であれば解雇にあたりますが、契約期間終了による退職は解雇には該当しません。
ただし、3回以上契約が更新されている場合や1年を超えて継続勤務している人については、契約を更新しない場合、使用者は30日前までに予告しなければならないとされています。

解雇が許される場合

もっとも、労働契約法に書かれているとおり、解雇に「客観的に合理的な理由」があり、かつ、「社会通念上相当である」と認められれば、解雇も有効となります。
また、労働基準法や労働組合法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法等には、一定の場合には解雇をしてはならないという解雇禁止事由も定められています。

整理解雇が違法になる場合

Twitter社は、2022年4~6月期の決算は約370億円の赤字でしたから、業績の悪化等を原因とする「整理解雇」だと思われます。

一般に、解雇には、従業員の制裁としてなされる「懲戒解雇」と、それ以外の「普通解雇」に区別されます。
今回のTwitter社による整理解雇は、制裁としてなされたものではありませんので「普通解雇」の一種となります。

整理解雇が適法になるためには、次の4つの要素から判断されます。

  1. 人員削減の必要性:人員削減措置の実施が不況、経営不振などによる企業経営上の十分な必要性に基づいていること

  2. 解雇回避の努力:配置転換、希望退職者の募集など他の手段によって解雇回避のために努力したこと

  3. 人選の合理性:整理解雇の対象者を決める基準が客観的、合理的で、その運用も公正であること

  4. 解雇手続の妥当性:労働組合または労働者に対して、解雇の必要性とその時期、規模・方法について納得を得るために説明を行うこと

近年は、このうち①人員削減の必要性があるか、②解雇回避の努力をしたのかが特に重視されているところです。

今回の整理解雇は違法となる可能性も

今回のTwitter社の整理解雇は、上記の4要件を満たさず、違法となる可能性があります。

まず、①人員削減の必要性は、ITテック企業においては赤字を継続しても、資金調達をすることで継続的に成長を目指す場合があり得ることです。
そのため、上記の赤字であることを理由に、直ちに人員削減の必要性が肯定できるかは疑問があるところです。

②解雇回避の努力と④解雇手続の妥当性ですが、これに関する情報は現時点では確認できていないものの、今回は突然の発表と解雇でしたから、争う余地は十分あるでしょう。

なお、③人選の合理性については、情報が少ないので判断することはできませんが、それ以外の要件を満たしていない以上、整理解雇は違法となる可能性があります。

Q 解雇を通知されたらどうしたらいいの?

絶対に会社の命令に従わないようにしてください。

解雇が無効ならば、あなたは勤務を継続することができます。
何を言われても、説得されても、解雇には納得せず、勤務を継続したい旨を申し出ましょう
会社側は、あなたを何とか説得しようと、粘り強く、あの手この手で言いくるめてきますが、絶対に「わかりました」と言ってはいけません。
「解雇は絶対に嫌です」と言い続けてください。

それでも、会社側から「勤務をするな」と言われたら、その記録を残しておいてください。
自宅待機になっていたとしても、会社の命令で、やむを得ず、勤務ができなかったという証拠を残すことが重要です。
こうすることで、解雇が無効となった場合も、自宅待機期間の給料を請求できる場合があります。

録音をしても大丈夫です。
なんらの犯罪行為でもありませんし、裁判でも有力な証拠となります。

退職届にサインをしたり、解雇予告手当を請求したりと、少しでも解雇を受け入れたといわれるような行為は絶対にしないでください。

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