見出し画像

ドキドキ初版本

友人が本を上梓した。
「自分のやりたいことがわからない人のための本」 大多喜ぺこ著
自分の半生で行動したこと考えたこと等々を描くことで、これからの生き方で悩んでいる人たちへのエールになっているという本。
彼女を知っていても知らなくても、生き方に迷っていても迷っていなくても面白い本。ぜひご一読ください。
今後、出版にまつわる裏話?を語る講演会(zoom)なども企画されているのでご期待ください。

初版本で思い出すのが「ある童話」のことだ。
今から二十数年前のこと、年上の友人(オジサマ)から折り入って頼みがあると東京に呼び出されたことがあった。
「あのな、タカヨちゃん、今度ボクの親しい出版社が社運をかけて本を出すんや。それをな皆に広めてほしいわけよ。まったくの新人の本でさ。しかもイギリスの人なんだわ。あんまり勝ち目は無いかも知れんけど、友達の会社やし何とかしてやりたいから。な、あんたの友達に広めてやって。頼むで。」
そんな大雑把な依頼にワタシは
「はい、ガッテン承知。友達に宣伝するよ。名古屋地方は任しとき。」と答えた。
「童話ってどんな内容なの?」
「知らん。ま、子供向けの絵本やわ。エエ話らしいわ、頼むで!」
そう言い残し、多忙なオジサマは颯爽と去っていったのだった。

さてどうやって広めるか?絵本といえど、まずは自分が読まなきゃ良さは伝えられないよね。
出版されるのはふた月ほど後と聞いた。当時まだAmazonも無かったと記憶している。懇意にしている職場近くの本屋へ行き、とりあえず10冊注文した。注文するとともに顔見知りの店員さんにも
「この本はとっても良い内容らしいよ。ヒット間違いなし。お店としても沢山仕入れといたほうが良いんじゃないかな。」とささやいておいた。

二ヶ月が経ち、本屋から「ご予約の本が入荷しました。どうされますか?」と端切れの悪い言い方をされた。
「どうされるか?って持って帰るに決まってるじゃん。仕事帰りに行くわ。」と電話を切った。
仕事終わりに本屋へ行くと店員が「本当に10冊きょう持って行かれますか?」と訊く。
10冊は多いかも知れないけれど、しょせん絵本だ。腕力には自信がある。当り前じゃないの持って帰るぞ。
「紙袋に入れてよね。」
「紙袋にはちょっと入りきらないかも…」
困った顔で持ってきた本は分厚い単行本だった。
これを10冊はそりゃ無理だ。

絵本じゃなかったんだ…
本のタイトルは『ハリー・ポッターと賢者の石』

2冊ずつ本屋から持ち帰り、面白いよと友人に配り歩いたものだったが、ワタシの宣伝より海外からの評判が届くほうが早く、ご存知の通り日本でも瞬く間にベストセラーとなっていった。

さて、友人の本。
二十数年ぶりにこのワタシがかかわったのだ。この本も瞬く間にベストセラーにならんことを願っている。
お金儲け云々ではなく、著者の想いが沢山の人たちに伝わってほしいと切に念じている。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?