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写真家の頭の中(石内都さんインタビューを観て)

写真を撮ることが好き、写真プロジェクトに興味があるという人におすすめの動画。いや、写真好きに限らずおすすめ。

3年前にYoutubeにアップされた動画なので古いんだけど、今日偶然(というか、アルゴリズムの作為によって)わたしのYoutubeのトップ画面に出てきてくれた動画。写真家の石内都さんのインタビュー。(海外のチャンネルですが、インタビューは日本語です)

石内都さんについては「ひろしま」の作品をいろんなところ(メディア)で目にしたことがあって、お名前は知っていたけど、そのほかの作品や、どんな方なのかというのはお恥ずかしながら存じ上げず。(そういえばこの間、図書館の写真のコーナーにあった「都とちひろ-ふたりの女の物語」という本は読んだのだったけど、これは主に彼女のお母様といわさきちひろさんについての本だった)

撮った写真にメッセージは込めず、キャプションも書かない。見た人に自分で考えて欲しい、感じて欲しいというようなことを動画の中でもおっしゃっていた。それでも、どういう考えやきっかけでプロジェクトが始まって、展示や写真集という形でアウトプットされたのか、その思考やプロセスにはとても興味があるので、そこを語ってくださるこの動画はとっても興味深かった。

わたしは、写真は、あくまで表現方法の一つだと思っていて、それで何を伝えたいのか、伝えたくないのか、ということが重要だと思うし、それは写真だけじゃなくて、ビジネスにおいてもそう、ほかのアートでもそう。全ての写真やビジネスには「世に訴えたいこと」がなければならない、とまでは言わないけれど、そういう課題解決の方法としてのプロジェクトに興味があります、昔から。

わたしが撮るのはいわゆる「家族写真」だけど、それでも。

いわゆる「社会課題」と言われることとか、石内さんのいう「自分の問題」と向き合ったり、(結果的に)社会にも問いかけることになったり、誰かが考えるきっかけになったりする役割が、この場合の写真やソーシャルビジネスや、アートにあったりする。いろんな人がいろんな思いで、実は同じ「叶えたい未来」に向かってそれぞれの場で発信しているかもしれないし、その力を合わせる「コレクティブインパクト」あたりにも興味があったり。まあこれはわたしの話。

話を石内さんのインタビュー動画に戻そう。もう一つ面白かったのは、石内さんが写真を始める前に染織を専攻されていた時期があったということ。のちに暗室で写真を焼くことになったときに、糸を染めるときと同じく酢酸という薬品を使う(しかもどちらも定着のためですね)という共通点を見出していた。その匂いが懐かしいなと思ってね、と笑う。(酢酸、くさいんですよね。)
これはつい先日、私もフィルム自家現像の定着液として、毛糸の染色にも使っている「クエン酸」を流用したので、同じことを考えていたところだった。(注:わたしは毛糸を染めて販売する毛糸屋をやっています。)
写真と、ファイバーアートの交わるところ。面白いなあ。

わたしの染色室から覗く糸棚。次は何色にしようかとここで考える。

石内さんは、自分が写真家らしいことをやってきたつもりはない、というようなこともおっしゃっていた。たまたまその手段が写真だっただけ、とか、自然とカラーフィルムで撮る必然性が出たとか、とそういう感じらしい。自分の問題と向き合って、消化していくプロセスとしての写真。それが自分の手を離れて、国を超えて人の心を動かすこともある。

写真だけやっていればいいわけじゃない、いろんなことに興味を持たないとだめ。ーー本当にそうだなあ、と。わたしは毛糸屋だけど、布を使って服も作るし、写真も撮る。それは自信を持ってこれからもやっていこうと思った。それぞれを突き詰めていくと、どこかでお互いが交わるところが出てくる。それだけじゃない、悩みや後悔、「はて?」の気持ちと向き合う今は時間の無駄ではない、とも。写真に直接写らないはずの「時間」や、他人からは見えない「努力」も、それを振り返るときの自分にはきちんと見えているから。

(この時間の話や努力の話も良いので、動画ぜひ見てね)

再掲:

こちらは続き:


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