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「パラベン」って何?なんでみんな嫌いなの?

化粧品のパッケージなどで良く見かける「×××フリー」。アルコール、界面活性剤、防腐剤、パラベン、などの色々な×××フリー化粧品がありますが、その中でも、なんだか良くわからないのが「パラべン」。

「パラベンフリーの化粧品って良く見かけるんだから、多分、なんか肌に良くないんだろうなぁ。まぁ、パラベンがなんなのか良くわからないけれど。」

と、思われてませんか?そんな、なんだか良くわからない化粧品の成分が、なんとなくちょっと知ってる成分になる。そんなnoteです。


■パラベンって?

パラオキシ安息香酸エステル総称のこと。化粧品では主に「メチルパラベン」「エチルパラベン」「プロピルパラベン」「ブチルパラベン」の4種類が主に使用されており、医薬部外品では「パラオキシ安息香酸メチル」や「パラオキシ安息香酸プロピル」などパラオキシ安息香酸×××と表示されます。

化粧品に配合できる防腐剤は、決められた成分しか使用できず、最大配合量も定められています。パラオキシ安息香酸エステル(パラベン)は配合可能な防腐剤で、パラオキシ安息香酸エステルとそのナトリウム塩は、100g中の最大配合量は合計1gまで、と配合制限が設けられています。(*1)何種類かのパラベンが配合されているとしても、最大1%の配合量となっています

どのパラベンも、広範囲の様々な菌に高い抑制効果を発揮します。抗菌力の強さは、

と、ブチルパラベンが一番強い抗菌力を持っていますが、菌を抑制する力が強いほど水に溶けにくいため、水分量の多い化粧品には使用しづらくなってしまいます。化粧品で利用される頻度は、

とメチルパラベンが一番多く利用されているようです。


■パラベンの種類

パラベン類やそのほかの防腐剤を組み合わせることで相乗効果を得て、製品全体の防腐剤の量を減らす処方がされている化粧品もあります。防腐剤の成分名が何種類か記載されている場合は、防腐剤がたくさん入っているのではなく、防腐剤の配合量が少ない可能性もあります。

▷メチルパラベン

(パラオキシ安息香酸メチル、4-hydroxybenzoate)水に溶けやすいため、多くの化粧品に使われています。また、防腐効果もパラベン類の中でもマイルドで、低刺激とされています。防腐剤として、単体で利用されるほか、他のパラベンと組み合わせて防腐効果を上げていることもあります。

▷エチルパラベン

(パラオキシ安息香酸エチル、ethyl 4-hydroxybenzoate)溶性のパラベン。メチルパラベンと組み合わせて利用される事も多くあります。

▷プロピルパラベン

(パラオキシ安息香酸プロピル、propyl 4-hydroxybenzoate)メチル、エチルパラベンと比べて抗菌力が強い、油溶性のパラベンです。また、肌トラブルを起こしているお肌には刺激になる可能性があります。

▷イソプロピルパラベン

(パラオキシ安息香酸イソプロピル、isopropyl 4-hydroxybenzoate)

▷ブチルパラベン

(パラオキシ安息香酸ブチル、butyl 4-hydroxybenzoate)メチル、エチル,プロピルパラベンと比べて抗菌力が強い、ほとんど水に油溶性のパラベンです。また、肌トラブルを起こしているお肌には刺激になる可能性があります。

▷イソブチルパラベン

(パラオキシ安息香酸イソブチル、isobutyl 4-hydroxybenzoate)

▷ベンジルパラベン

(パラオキシ安息香酸ベンジル、benzyl 4-hydroxybenzoate)


■噂のパラベン

パラベンはいったいどんな成分なんだ?と、パラベンを検索してみると、毒性がつよい、人体に影響を与える成分、などお肌にヨクナイ噂がたくさん出てきます。

▷がんになる物質!?

近年、乳がん患者の乳房組織から、パラベンが発見されました。

パラベンは弱いエストロゲン様作用(女性ホルモンの一種と似たような働きをする)を持っているので、それが乳がん発症に関連しているのではないか、という仮説が立てられ、様々な調査がされている様です。

しかし今の所、反対意見も多く、データ不十分で、決定的な結果は出ていません。(*2)(*3)

▷パラベンは環境ホルモン!?

環境ホルモンとは、いろいろな生体の代謝や成長、生殖になどに必要なホルモンの働きを狂わせてしまう物質のこと。科学的には、内分泌かく乱物質と言います。

パラベンは、動物実験での結果、関与している可能性があるそうです。

しかし、この内分泌かく乱物質、まだまだ研究されている途中で、わからないことも多いそう。鳥や魚、爬虫類などの野生動物では、内分泌かく乱物質による生殖機能の異常やふ化能力の低下など多々報告されているのですが、人間での異常は報告されておらず、パラベンも含め、影響は不明なのだそうです。(*4)(*5)

▷皮膚に吸収される毒!?

確かにパラベンは皮膚に浸透する成分です。

ただし、体内で分解され、排出されることもわかっています。5~75時間で排出されるそうです。(*6)


■なぜこんなにも嫌われる?

1980年、化粧品の成分が全成分表示の決まりがなかった頃、「体質や肌質によってはごくまれに肌トラブルや、アレルギーが起こる可能性がある成分」と、定められた特定の成分のみを表示する義務がありました。今では旧表示指定成分と呼ばれています。

表示指定成分が定められていた頃から比べると、化粧品の精製度も高まり、成分に含まれる不純物も少なくなりました。また、安全性に関するテスト回数や、化粧品開発の技術も進歩しました。過去に表示指定成分に定められていた成分でも、今では安全性が認められているものもあります。パラベンもその内の1つです。

しかし、過去に表示指定成分となっていた事、乳がん発症の可能性などのパラベンに関するニュース、また、化粧品での配合上限も定められていますが、防腐効果が高いことも不安に思う要素なのかもしれません。

まだまだ、いろいろな研究が進められているパラベンですが、防腐剤としてのパラベンの歴史は長く、今の所はとても安全性の高い防腐剤として多くの化粧品に配合されています。


■最後に

パラベンだけでなく、防腐剤が入っていない化粧品も好まれるようになってきました。しかし、栄養となる成分が多く入った化粧品を、防腐剤なしで安全に使い切るのはなかなか難しい事です。使用期限内だとしても、湿度や室温などの環境の変化で、気づかないうちに雑菌や微生物が繁殖してしまう可能性も考えられます。

また、防腐剤フリーと謳い、旧表示指定成分であるパラベンは配合せず、別の防腐効果のある成分を配合している事もあります。パラベン以上に、刺激や毒性の強い防腐剤などの成分もありますので、防腐剤フリーやパラベンフリーが全て安全、というわけではありません。


なんだか良くわからない化粧品の成分「パラベン」。なんとなくちょっと知ってる成分になったでしょうか。

どんな成分でも、全ての肌質に合うと言い切れません。成分を知るのも大切ですが、お肌と合うかはもっと大事。初めて使うスキンケアなどは、テストしてから使用するよう、心がけましょ。

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■参考文献

*1:厚生労働省「化粧品基準」2000年(最終閲覧日:2019/06/10)
*2:Kirchhof MG, de Gannes GC.「The health controversies of parabens.」2013 Feb;18(2):5-7.(最終閲覧日:2019/06/10)
*3:COSMETICSINFO「Paraben Information」https://www.cosmeticsinfo.org/paraben-information(最終閲覧日:2019/06/10)
*4:環境省 保険・化学物質対策「化学物質の内分泌かく乱作用」http://www.env.go.jp/chemi/end/index.html(最終閲覧日:2019/06/10)
*5:厚生労働省 医薬食品局審 管理課 化学物質安全対策室「内分泌かく乱物質ホームページ」http://www.nihs.go.jp/edc/edc.html(最終閲覧日:2019/06/10)
*6:Draft Report for Panel Review「Amended Safety Assessment of Parabens as Used in Cosmetics」Cosmetic Ingredient Review,2018年(最終閲覧日:2019/06/10)



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