見出し画像

令和4年度認定考査を終えて

令和4年度認定考査を受験された皆さま、お疲れさまでした!

予想どおり、昨年に引き続き「第2問」が独立した事例設定の問題でした。
令和の時代に出題される問題としては当たり前になってきていますが、
それ以前と比べれば小問数も多く、解答に要する時間(書く時間)をしっかり確保しないと時間切れになるような分量でした。

しかし!
伊藤塾の「認定考査対策講座 模擬演習編」を受けてくださった方は、「出題予想問題演習 第1回」に出題していた登記請求訴訟を消化していれば、出だしは自信をもってスタートを切れたはず!
訴訟物・請求の趣旨・請求原因は問題無く書けたのではないでしょうか。
抗弁1 登記保持権限の抗弁
抗弁2 所有権喪失の抗弁

に対する、
再抗弁1 弁済の再抗弁(抗弁1に対し)
再抗弁2 相殺の再抗弁(抗弁1に対し)
再抗弁3 詐欺取消しの再抗弁(抗弁2に対し)

も、詐欺取消しが未出論点であったため自信が持てなかったかも知れませんが、
該当の言い分(Xの言い分6)を引っ張ってくれば大枠は形になったのではないかと思います。

小問(6)の時効の論点は、難しかったです。
結論的には、売買代金債権の時効が完成する前に相殺適状に至っているため、判例の立場を前提とした場合、自働債権の債権者が相殺に対して持つ期待を奪うことができないことから、時効主張は主張自体失当になるというのが解答の筋になるかと思います。
しかし、明らかに債権法改正前の事実関係であり、「令和4年4月1日において施行されている法令に基づいて解答するものとし、法令改正に伴う経過措置等を考慮する必要はない」という指示があるため、現行法を前提に解答しなければならないわけですが…現行法を適用することに違和感を持たざるを得ず、ここに思考が奪われてしまい、相殺との絡みに思考が進まなかった方が少なからずいるのではないかと思います。ここは落としても、他の部分で十分合格点を取れるので、上手くいかなかったとしても肩を落とす必要は全くないと思います。

それ以降の小問(7)2段の推定小問(8)自白の撤回第2問のうち業務範囲と反訴第3問倫理過去問焼き直しの典型論点が中心だったため、それなりに解答出来たものと期待します。

第2問のうち一部請求と残部請求の論点は自信が持てなかったかも知れません。
一部請求において一部棄却の判決がなされた場合、一部敗訴原告が残部請求の訴えを提起することは、実質的には紛争の蒸し返しとなってしまうため、判例の立場を前提にすれば、「特段の事情のない限り、信義則に反して許されない」ことになります(最二小判平10.6.12)。民事訴訟法の知識として、言われれば「あ~」と思い出しますが、文章として表現するのはややハードルが高かったと思います。

詐欺、相殺適状と相殺主張、一部請求と残部請求が上手くいかなくても、
それ以外の論点は基本の積み上げで構成されているため、
時間切れを起こさない限り全体的に解答は埋まっただろうと想像します。
合格ラインの40点を超えるハードルはそれほど高くはなく、
高い水準での合格率は今年も維持されると思います。

認定考査が終わり、これで本当に「受験生活」からの卒業です。
だからこそ!勉強を継続して行きたいですね。
目の前の依頼人のために、今日も、これからも頑張っていきましょう!

伊藤塾司法書士試験科 講師 坂本龍治

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?