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特別講義編「組合契約」

今回は特別講義編として,「民法:組合契約」を取り扱います。


【1】 意 義

組合契約とは,各当事者が出資をして共同の事業を営む契約をいう(667条1項)。

〔具体例〕 ABC(組合員)の3人が,それぞれ土地や資金を提供してする共同事業を営む契約がこれに当たる。

【2】 特殊性

 ⑴ 他の組合員の債務不履行

組合契約には,同時履行の抗弁権及び危険負担の規定が適用されない≪確認問題①≫(667条の2第1項)。組合は契約ではあるものの社団に類似した関係という特殊性があるからである。

〔具体例〕 出資義務を履行しない組合員がいることを理由に出資を拒むことはできず,また,ある組合員の出資義務が履行不能となっても出資を拒むことはできない。
〔補足〕 組合員は,他の組合員が組合契約に基づく債務の履行をしないことを理由として,組合契約を解除することができない(667条の2第2項)。組合には特別な規定として脱退,除名,解散の規定があることからである。

 ⑵ 他の組合員の一人についての意思表示の無効等

組合員の一人について意思表示の無効又は取消しの原因があっても,他の組合員の間においては,組合契約は,その効力を妨げられない(667条の3)。

〔趣旨〕 組合員の一人の意思表示の無効又は取消しにより組合契約全体の効力が否定されると,組合と取引をしていた第三者が害されることになるからである。

【3】 共同所有の形態

①組合財産は組合員の持分の処分が第三者に対抗できないとされていること(676条1項),②組合員は組合財産である債権について,その持分についての権利を単独で行使することができないこと等から(同条2項),組合財産は,潜在的な持分は認められるものの,共同の目的により制限された共同所有形態である合有であると解されている。

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【4】 組合債権と組合債務の法律関係

 ⑴ 組合債権 ~組合が債務者に対して有する債権~

組合員は,組合債権についての自己の持分を処分しても,これをもって組合及び組合と取引をした第三者に対抗することができない≪確認問題②≫(676条1項)。また,組合員は,組合債権について,その持分についての権利を単独で行使することができない(同条2項)。

 ⑵ 組合債務 ~組合が債権者に対して負担している債務~

組合の債権者は,組合財産についてその権利を行使することができる(675条1項)。また,組合の債権者は,その選択に従い,各組合員に対して損失分担の割合又は等しい割合でその権利を行使することができる≪確認問題③≫(同条2項本文)。

〔補足〕 組合の債権者がその債権の発生の時に各組合員の損失分担の割合を知っていたときは,その割合による(675条2項ただし書)。

【5】 組合員の債権者との関係

組合員の債権者は,組合財産についてその権利を行使することができない(677条)。そのため,組合員の債権者は,当該組合員の組合財産上の持分を差し押さえることができない。

〔趣旨〕 組合員固有の債務のために組合財産である債権が減少することは望ましくないからである。

【6】 組合の対外関係と対内関係

次の3点に着目して下記の表を押さえよう≪確認問題④≫≪確認問題⑤≫。

「①基本的には組合員・業務執行者の過半数で決定する」
「②常務はそれぞれが単独でできる」
「③対内関係の場合は 他の者の異議があれば常務であっても過半数が必要

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【7】 最後に

今回の内容は以上です。最後に次の確認問題に取り組んでみてください!この記事がみなさんの学習のお役に立てば幸いです。

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★確認問題の正解はこちら★


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