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令和2年認定考査の合格発表を受けて

早いもので、12月となりました。
12月1日、令和2年度(2020年度)簡裁訴訟代理等能力認定考査の結果が発表されました。

考査受験者数(A)   625名
認定者数(B)     494名
認定率(B/A)   79.0%

民法(債権関係)改正の全面施行後のはじめての認定考査でありながら、
過去の認定率の平均値を上回る非常に高い水準となりました。
高水準の認定率となったという意味では率直に喜ばしい結果であったといえます。

しかし、気になるのは人数ベース。
平成31年度司法書士試験の最終合格者が601名(以下「新合格者」と呼びます。)。
認定考査の受験者数が625名。
今年の特別研修が開始された1月末には、まだCovid-19の影響はほとんどなかったこと、特別研修が終わる3月上旬もようやく警鐘が鳴らされ始めたタイミングだったことを考えると、新合格者601名の大多数の方が、例年どおり特別研修に参加し認定考査の受験資格を獲得し、そして、8月終わりに実施された認定考査を受けたのではないかと推測します。

仮にそうであるならば、認定考査の受験者数が625名、新合格者601名、その差わずか24名。
平成31年度認定考査に残念ながら不合格となった方々はどうしてしまったのでしょう。

平成31年度認定考査で不合格となった方は190名いましたから、今年の認定考査受験者数は800名近くとなっておかしくないのですが…

参考に平成31年度の認定考査を見てみると、平成30年度司法書士試験の最終合格者は629人に対して、認定考査受験者数が936名と、300名近くの旧合格者の方が認定考査を受けていました。

旧合格者の方々が積極的に受け控えてしまった結果、認定率が高水準を維持した、ということなのだとすれば手放しには喜べません。
(確かな検証結果があるわけではありませんが、新合格者の認定率の方が高くなる傾向にある、と言われています。確かに、司法書士試験までの猛烈な勉強の延長戦上に認定考査を受けた方が知識面では有利なように思います。)

今後、補償や給付によって表面化していない法律問題が、補償や給付の打ち切りと同時に一気に社会問題化するのではないかと思います。
具体的には、労働問題や賃貸借関係の問題が同時期に噴出する、といったことです。

認定司法書士にもやれることがたくさん出てきます。
多くの認定司法書士の活躍が望まれます。
令和3年に実施される認定考査では、高い認定率を維持すると同時に、受け控えた方々も含めて合格することを切に願います。

伊藤塾専任講師 坂本龍治


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