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社外取締役の要件

多くの受験生を悩ませるのが、「社外取締役」「社外監査役」の要件です。これを一度に覚えようとすると大変なので、まず、社外取締役の要件から押さえていきましょう。

2条15号
社外取締役 株式会社の取締役であって、次に掲げる要件のいずれにも該当するものをいう。
イ 当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役(株式会社の第363条1  項各号に掲げる取締役及び当該株式会社の業務を執行したその他の取締役をいう。以下同じ。)若しくは執行役又は支配人その他の使用人(以下「業務執行取締役等」という。)でなく、かつ、その就任の前10年間当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役等であったことがないこと。
ロ その就任の前10年内のいずれかの時において当該株式会社又はその子会社の取締役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)又は監査役であったことがある者(業務執行取締役等であったことがあるものを除く。)にあっては、当該取締役、会計参与又は監査役への就任の前10年間当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役等であったことがないこと。
ハ 当該株式会社の親会社等(自然人であるものに限る。)又は親会社等の取締役若しくは執行役若しくは支配人その他の使用人でないこと。
ニ 当該株式会社の親会社等の子会社等(当該株式会社及びその子会社を除く。)の業務執行取締役等でないこと。
ホ 当該株式会社の取締役若しくは執行役若しくは支配人その他の重要な使用人又は親会社等(自然人であるものに限る。)の配偶者又は二親等内の親族でないこと。

【STEP1】

特に重要なところ抜き出すと、以下のようになります。
これを押さえておけば、大体なんとかなるので、最低限、ここまでは踏ん張って覚えてください。

イ その会社の業務執行取締役ではない(現在+就任前10年
イ 子会社の業務執行取締役ではない(現在+就任前10年
ハ 親会社の取締役ではない(現在)
ニ 兄弟会社の業務執行取締役ではない(現在)
ホ その会社の取締役の配偶者又は二親等内の親族ではない(現在)

過去要件(就任前10年間)があるのは、「その会社」と「子会社」だけです。
・「親会社」は、「業務執行取締役」ではなく「取締役」となっています。例えば親会社の社外取締役も、親会社の取締役である以上、子会社においては社外取締役とはなりません。
・「ホ」はやや細かめですが、ここも「取締役」である点に注意です。

【STEP2】

ここまで押さえておけば万全です。

①「執行役又は支配人その他の使用人」
条文を見ると、「執行役又は支配人その他の使用人」が所々出てきますが、これをセットで考えて、以下「支配人等」と記載します(正確にはホは「『重要な』使用人」ですがそこまで気にしなくて結構です)。
「支配人等」は「イハニホのすべてに出てくる」と覚えれば足ります。

②「親会社等(自然人であるものに限る。)」
条文の「ハ」「ホ」には「親会社等(自然人であるものに限る。)」という謎の言葉が出てきます。これは要するに「自然人である大株主」だと考えてください。

以上を踏まえて、やや細かいところまで含めて、イハニホをまとめます。


その会社又は子会社の「業務執行取締役」(+支配人等)ではない。
就任の前10年間その会社又は子会社の「業務執行取締役」(+支配人等)ではない。

親会社の「取締役」(+支配人等)ではない。
・大株主ではない。

兄弟会社の「業務執行取締役」(+支配人等)ではない。

・その会社の「取締役(+支配人等)又は大株主の、配偶者又は二親等内の親族ではない。

【STEP3】

最後に、ロは、過去要件(就任前10年間)に関する規定です。ここは細かく押さえる必要はありません。

これは、業務執行取締役を辞めてから「空白の10年」があれば、「社外」になれるというものです。
業務執行取締役を辞めて、10年間会社に関与しなければ、社外になれます。10年経つ前に関与してしまうと、また関係が深まり、社外にはなれません。

・業務執行取締役を辞める 
→10年経過(空白の10年)
→関係が薄まる 
→その後取締役になると社外取締役

・業務執行取締役を辞める
→8年後に取締役・監査役・会計参与になる 
→関係が深まる
→その地位を退任してから、更に7年後に取締役に就任
→社外取締役にはならない(空白の10年がない)

・業務執行取締役を辞める 
→8年後に取締役・監査役・会計参与になる 
→関係が深まる
→その地位を退任してから10年経過(空白の10年)
→関係が薄まる 
→その後取締役になると社外取締役

ここでまで説明してきましたが、
「全部を覚えようとして、何も覚えられない」ということを避けることが大事です。
まずは、【STEP1】をしっかり頭に入れてしまいましょう。


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