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条文の読み方のキホン
みなさん、こんにちは。伊藤塾司法書士試験科講師の高橋智宏です。今回は、法律初学者の方に向けて、条文の読み方の基本をお伝えします。
【1】条・項・号
法律の条文は「条」と「項」から構成されています。「項」とは、その「条」の段落のことを指し、一般的な縦書きの六法では算用数字で表されます(第1項だけは数字が付されません)。また、「号」とは、いくつかの事項を列挙(箇条書き)するときに使われ、六法では漢数字で表されます。
なお、法令などで、並ぶ「条」の間に新たな条文を加える時、今までの番号を変えないように、「○○条の2」といった要領で枝番号が付されることがあります。
〔参照条文〕
民法 第166条
債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から10年間行使しないとき。
2 債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から20年間行使しないときは、時効によって消滅する。(以下略)
【2】但書(ただし書)、括弧書、柱書
「但書」とは、前の文章〔本文〕の内容について条件や例外を記すものです。また、「括弧書」とは、「( )」で括られた、その手前の文言の定義や略称を示すものです。
なお、「柱書」とは、条文の中に「号」がある場合の、「号」以外の部分を指します。
〔参照条文〕
民法 第5条
未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。(以下略)
〔参照条文〕
民法 第622条の2
賃貸人は、敷金(いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。以下この条において同じ。)を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。
一 賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。
二 賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。(以下略)
【3】接続詞(又は、若しくは、及び、並びに)
①「又は」
「又は」は、あるものを選択する際に用いる接続詞であり、英語の「or」を意味します。「又は」の意味で複数並べたい場合には、最後だけ「又は」を使い、それ以外の場所は「、」で繋げます(e.g.「A、B又はC」)。
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〔具体例〕 民法 第7条
精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。
②「若しくは」
「若しくは」も意味は「又は」と同じですが、選択的に並べられる語句に段階がある場合には、1番大きな意味の選択的な語句の繋がりには「又は」を、2番目以下の小さな意味の選択的な語句の繋がりには「若しくは」を用います(e.g.「A又はB若しくはC」)。
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〔具体例〕 憲法 第31条
何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。
③「及び」
「及び」は、いくつか並べられた事項を併合的に用いる接続詞であり、英語の「and」を意味します。「及び」の意味で複数並べたい場合には、最後だけ「及び」を使い、それ以外の場所は「、」で繋げます(e.g.「A、B及びC」)。
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〔具体例〕 民法 第206条
所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。
④「並びに」
「並びに」も意味は「及び」と同じですが、併合させる語句に段階がある場合には、1番小さな意味の併合的な語句の繋がりには「及び」を、それよりも大きな意味の併合的な語句の繋がりには「並びに」を用います(e.g.「A並びにB及びC」)。
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〔具体例〕 憲法 第62条
両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。
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