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【あおもり紀行】第9話。十和田湖はブラタモリに「入る」くらいヤバい鍋

もうわんつか(ちょっと)十和田湖を取り上げたい。
とりあえず基本情報をいくつか。

☆位置:青森秋田両県の県境部。十和田八幡平国立公園内にあり。
☆標高: 400m。酸ヶ湯は標高900mで、萱野茶屋がある萱野高原は528m。
☆水深: 326.8mで国内第3位。
☆透明度 :10.9メートル(令和元年)。※1
☆周囲:約46㎞。
☆面積 61㎢。
☆十和田湖から流出する河川は奥入瀬川のみ。
☆十和田湖に生息する魚類:ヒメマス、サクラマス(ヤマメ)、イワナ、コイ、ギンブナ、ワカサギ、イトヨ、ヌマチチブ、ウキゴリなど
・・・だど。

透明度などのランキングを調べると、サイトによってバラバラだった。小さな池や沼、ダム湖を加えるかどうかで順位は変わるようだ。

※1.ここのデータです。

休屋に設置されている乙女の像

「十和田湖」という名前についてトリビア。トリビアってもう古いかな?おっさんだから許して♡

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十和田市にある湖だから「十和田湖」という名前になった、ではなく、「十和田湖」があるから自治体の名前が十和田市になった。
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「十和田」はアイヌ語の「トーワタラ」が語源。「トー」は湖、「ワタラ」は岩という意味だから、岩がいっぱいある湖ということなんだべな。トータワラに「湖」をつけると「湖岩湖」になってしまうけどな。まあ「Tokaido Road」とか「Nihonbashi Bridge」みたいなもんだな。

もう一つトリビア。
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かつて、十和田市と十和田湖町という二つの「十和田」があった。
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青森県民はご存知の方も多いでしょうが、県外の人は知らないと思うんで。十和田湖周辺は今は十和田市だけれども、2004年までは「十和田湖町」という別の自治体で、平成の大合併で二つの十和田が合併して一つになった。

ちなみに十和田湖から十和田市の中心市街地までは約35㎞離れていて、車では1時間ほどかかる。35㎞というと東京だと新宿~八王子間とほぼ同じで、電車だと中央線は朝ラッシュの1時間(つらい~)、車だと渋滞の中央道で2時間くらい(それでも下道より早い)かな。

十和田湖で泳ぐうちの子。おぼれているわけではない。

2022年1月14日、15日に南太平洋のトンガ諸島で海底火山の噴火が発生した。この噴火は100年に1度レベルで、噴火の規模を示す火山爆発指数(VEI)では5~6だと言われている。江戸時代の富士山の宝永噴火(1707年)は5、1991年に発生したフィリピンのピナツボ山の噴火は6だから、それらと同じくらいのレベルだ。

トンガ諸島や南太平洋の島々といえばディズニーの「モアナと伝説の海」の舞台。溶岩の悪魔「テ・カァ」はまさに噴火のイメージ。日本で言うとダイダラボッチというところか。一見おだやか~で、のんびり~な十和田湖が、実はこれらと同じくらいのヤバい火山なんだど!

そしてブラタモリに出るくらい地学的に珍しい湖なんだど!
2017年9月2日に入っていたんだど。もう5年以上前なので、NHKオンデマンドでは見られないようだ。残念!
ちなみに青森ではテレビで放映されることを「はいる」という。なして「入る」んだべが?


☆☆☆十和田湖は日本で唯一の二重カルデラ湖です!☆☆☆

カルデラって何?
長崎発祥のお菓子。それはカステラ!
砂糖を煮詰めて作ったお菓子。それはカルメラ!→カラメル、キャラメルもモノは違うが語源いっしょ。
ラーメン屋台が吹いている物。それはチャルメラ!(今時見ないな)
卵と生クリームのパスタ。それはカルボナーラ!離れてる!イタリアだし!

カルデラはスペイン語で鍋を意味する「caldera」が語源なんだど。どうりでカステラ、カルメラ、チャルメラが似ているわけだ。これらはみんなポルトガル語で、ポルトガルとスペインはお隣さんだから似ていて当然。

話を戻して、火山の噴火でできた湖のことを「カルデラ湖」っていうんだって。誰が付けたか知らないけれど、きっと鍋の形をしているんだべな。

カルデラのイラストを作ろうと思ったけれど、画像検索すればたくさん出てくるのでやめました。コスパ悪いので。この場合はコストではなくてタイムパフォーマンスだけど。タイパっていうのかな?画像検索して見て下され。

御倉半島。手前が中湖(なかのうみ)

十和田湖は2重のカルデラ、つまり火山が2回噴火してできた湖だ。1回目は15,000年前。15,000年前と言えば青森が誇る世界遺産の縄文時代草創期。外ヶ浜町蟹田の大平山元遺跡の頃だ。

火山が噴火して、穴が開いて、鍋の形になって、水がたまった。
縄文時代の人達は、なんぼ、どってん(びっくり)したべ。

2回目は915年で平安時代。「後」じゃない方の醍醐天皇の時代で、「延喜の治(えんぎのち)」と言われているくらいだから、きっといい時代だったんでしょう。十和田湖は噴火したけど。古今和歌集ができてから10年後。
「延喜」は元号で、901年~923年。

この噴火はヤバかった。フンガトンガフンガハアパイと同じレベル、VEI5だ。フンガトンガフンガハアパイは噴火したトンガの火山の名前ね。このトンガ噴火と同レベルの噴火が十和田湖の中湖(なかのうみ)で発生した。わんつか(ちょっと)前に。1000年以上前だけど、地学的には「わんつか」なんだど。

NHKのトンガ噴火の特設サイトがすごくいい。衛星の映像を見ると噴火の威力が伝わってくる。

気嵐(けあらし)。わんつか(笑)

湖が噴火して、さらに深い穴が開いて、鍋の形になって、水がたまった。それが中湖だ。カルデラ湖の中に、さらにもう一つカルデラ湖ができたから二重カルデラ湖と言うわけだ。
ちなみに、伊豆諸島の青ヶ島も二重カルデラだけれども、そっちは水が溜まってないから、地形は分かりやすい。画像検索して下され。

このページの十和田湖歴史ガイドが分かりやすいのでおすすめです。PDFだけど。

国土地理院湖沼図を加工して作成

中湖は十和田湖の中で最も深い。第1カルデラ(中湖以外)は深くてもせいぜい100m程度なのに対して、中湖は326.8mで東京タワー(333m)とほぼ同じ。ビルでいうと、1階の高さは4m程度なので、第1カルデラは地下25階、中湖は地下82階まで下がるイメージ。

ちなみに陸奥湾の一番深いところは75m。十和田湖の標高が400mだから、標高でいうと陸奥湾の方が深いのだが、水面からで比べると十和田湖の方が深い。

11月。水面が凍り始めた。

そんな深い中湖があるからこそヒメマスは生きられる。ヒメマスが生息できる水温は低く5℃~15℃で、夏は水面近くの水温が上がるため深い場所に、冬は逆で浅い場所に移動しているのだそう。

元々、十和田湖に魚はいなかった。カルデラ湖のため外から魚が入ってこられないのと、栄養が少ないために魚が生きられない。ヒメマスは1903年(明治36年)に元南部藩士、和井内貞行氏らが初めて稚魚を放流し、養魚に成功した。現在、十和田湖には生息するニジマスやイワナなどの魚は、全て放流された魚の子孫だ。

この和井内貞行氏は功績が称えられ、今は神様になっている。十和田湖西岸に和井内神社が建立され、妻と一緒に祀られているのだ。天神さま(菅原道真)や東照大権現(徳川家康)と一緒。

木と木。十和田湖西岸で。

そんなわけで、十和田湖は富士山と同じレベルでヤバい活火山だ。気象庁は常時観測火山に登録して24時間体制で火山活動を観測している。青森県内では他に岩木山と八甲田山が常時観測されている。



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