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【あおもり紀行】第6話。浄仙寺で飲んだコーヒーはちょっとだけ苦かった。

浄仙寺の続き。

わぁが前に浄仙寺を訪れたのは2008年10月8日。って、13年前!?
いやいや5年前くらいの感覚なんだけど。年を取ると時間が過ぎるのが早くなるというのは本当だな。

2008年10月8日に撮影

浄仙寺に着くと黄金色に輝くイチョウが出迎えてくれた。
「WELCOME!」と言われているようでうれしい。中野もみじ山を出た直後に雨が降ったので、空気が澄んでいて心地よい。

イチョウだと思わせておいて、この写真はカエデ

浄仙寺の山門には仁王像と巨大なワラジが設置されている。
仁王とは金剛力士のことだが、なぜ仁王と言うのかはわからない。わぁの勝手な推測だが「仁王」は「ニ王」とも書く。もともとは、左右一対で設置されることから「ニ王」と呼ばれるようになったのだけれども、漢字のテストとかで、誰かがまちがえて「仁王」と書いてしまった。それを見た人が、こっちの方がカッコいいじゃん!てなことで「仁王」になった。
確証はないので信じる信じないはご自由に~♪。

仁王像と大わらじが一緒に奉納されているのは日本各地にある。東京では浅草の浅草寺が有名だ。金剛力士には健脚のご利益があるとされているため、足と言えばわらじ、ということでわらじを一緒に奉納するようになったのだそう。
また、これほど大きなわらじを履く者が境内にいるため、入りこもうとする悪霊は驚いて逃げてしまい、お寺は守られるという説もあるのだとか。

浄仙寺の山門

浄仙寺の仁王像は、
右側が密迹金剛(みっしゃくこんごう)で、口を開けた阿形(あぎょう)、
左側が那羅延金剛(ならえんこんごう)で、口を閉じた吽形(うんぎょう)だ。
この左右の位置は絶対ではなく、お寺によって違う場合もある。

ペア、コンビ、アベック、カップルなどなど、二人の息があって同じような行動するときに「阿吽の呼吸」と言うが、この「阿吽」は古代インドのサンスクリット語だ。

「阿(a)」は口を開いて最初に発する音、「吽(m)」は最後の音。そこから万物の始まりと終わりを表す言葉とされている。五十音が、最初が「あ」で最後が「ん」で終わるのも、この阿吽が由来だという。

ちなみに狛犬でも阿吽、口を開いたのと閉じているのと対になっているのが多い。仁王像は寺で、狛犬は神社。これもまた日本ならではだ。

仏様の世界には会長、社長、専務、常務、部長、課長、係長といった役職ランキングがある。社長が如来、専務や常務が菩薩、部長が明王、課長が天部といったところ。

金剛力士は天部のひとり。名前に「天」は付かないが七福神の弁財天や大黒天、寅さんで有名な柴又の帝釈天などのお仲間だ。なお、金剛杵(こんごうしょ)を持っているから「金剛力士」と命名されたそうで、もし持っていなかったら〇〇天という名前になっていたのだろう。

わぁが中学生の時だったろうか、法事の時に住職さんが語ったことを今でも覚えている。如来は修行を終えて悟りを開いた人だから、見栄や欲や執着がなく質素な身なりをしている。それに対して菩薩はまだ修行中の身で、見栄や欲や執着があるため着飾っているのだと。

言われてみれば、奈良の東大寺の大仏(盧舎那仏、大日如来のこと)は、布をかけただけのような服を着ている。
わぁは、服にはまったく興味がないから質素でもいいんだけれど、如来の服は青森では寒そうだな・・・。防寒服を着た大仏様ってあるもんだべか。

浄仙寺の本堂

境内に入ると広く開けていて、色づいた山を背景にお堂や鐘楼が目に入る。庭園のような趣きと、お寺ならではの清々しさがとても気持ちがいい。平泉の毛越寺にも通じる心地よさを感じる。

中野もみじ山は神社のきりっとした空気感があるけれども、浄仙寺は仏様の優しい清々しさが感じられ、どちらもパワースポット(という言い方は好きではないのだが)ならではの、自分が浄められるようなエネルギーが満ちている。

境内のところどころに観音様が鎮座している。西国三十三所巡礼の写し霊場とのことだ


浄仙寺の境内には「お茶処 松風亭」がある。女性は雰囲気のいい場所や絶景スポットなどに行くとティータイムしたくなる、とよく耳にするのだけれども、たしかにここではお茶したくなるのもうなずける。

母が存命だったとき、黒石に来るとよく「浄仙寺でコーヒーが飲める」と言っていた。その時はお茶処があるとは知らず、参拝すると住職さんがコーヒーを入れてくれるのかな?今どきのお寺はそういうサービスをしているのかな?と思っていた。

お茶処松風亭

13年前に訪れたときは、母と母の友人達が一緒だった。休みだったのだろうか、なぜかお茶をせずに浄仙寺を後にしている。記憶も記録もない。

その後も黒石に来る機会はあり、今度来たらコーヒーを飲んでいこうと言っていたのだが、結局、一度もお茶をすることはなかった。
それがずっと心残りだったのだけれども、今回、ようやく訪れることができた。

店内はきっと13年前と変わっていないんだろうな。
コーヒーを注文し、来るまでに店内を見回すとあおもり草紙のバックナンバーが売られていた。読んでいないのが何冊かあり、せっかくなので買っていくことにした。

コーヒーがきた。
何はともあれ、まずは記録だ。
冷めてしまうことが分かっていながら撮らずにはいられない。もはや職業病だな。アップ、ひき、店内も入れて、、、困ったもんだ。

冷めた。
カメラをおいて、コーヒーを飲みながら、心の中で「やっとこれたね」とつぶやいた。


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